幸福亡命

車いすで伴侶(パートナー)さがし



ブックレビュー

げんた

私がヘキさんと出会ったのは、数年前、本書にも登場し、当ホームページのリンク集でも紹介している「SQ(重度四肢麻痺者メーリングリスト)」でした。ヘキさんとはここで、時には真面目な話を、しかし大部分は他愛もない話をやりとりして楽しんでいました。そしてこのメーリングリストを通じて、フィリピンへの移住や現地女性との結婚をリアルタイムで教えてもらい、その都度、そのバイタリティーあふれる行動力に感心したものでした。本書ではそんなヘキさんの受傷から結婚までの波乱万丈の半生を紹介しています。私も読んでから初めて、これほどまでにさまざまな経験を経て現在に至っていたということを知りました。本書完成のお知らせをいただいたとき、冗談で「著者名をペンネームにしてるのは、本名を明かすと債権者に追われるから?」などとひやかしたのですが、実際本書を読んでみると、本当に債権者に追われた経験をお持ちでした(^^;)。その他の何度もの挫折を持ち前の行動力で乗り越えていき、現在の幸せな生活を手に入れた過程を目にすると、自分の進歩のない毎日に負い目を感じてしまったりするのですが、また、それがいやで、障害者の著書に類するものはあまり読んだことがなく、有名な乙武氏の「五体不満足」も未体験だったりするのですが、今回一つ救われたのは、ヘキさんの動機が不純なこと(^^;)。本文の後半はフィリピンの女性と出会って結婚するまでに力点が置かれており、その執拗なまでの女性への執着心(?)は、世間一般の人が描きたがる品行方正な障害者像からはかけ離れてますが、実際、これが正確な障害者の姿だと思うわけです。そんな内容ですから、彼女を見つけたいと思っている障害者には、きっと参考になるでしょう。


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