大阪頸損連絡会主催・春のフォーラム
「スタート直前!
支援費制度
もう一度みんなで考えよう」
当日資料
1.「ヘルパー上限設定」問題と抗議行動
今年1月上旬厚生労働省は「ホームヘルパーの一人当たりの利用時間に上限を設けるように検討している」との情報がインターネットに流れ、その後、新聞報道でこの問題が明らかになった。
その内容とは、なんと!
1) | 身体障害者 |
| 一ヶ月上限120時間 |
2) | 知的障害者 | (重度) | 同上限50時間 |
|
| (中・軽度) | 同上限30時間 |
というものでした。こんなことでは24時間介助の必要な自立障害者の生活は破綻してしまう!ということで、障害者団体は猛反発し、「上限撤回」を求めて二度に渡る交渉を行いました。
1月14日に500名、16日には1200名というかつてない規模の障害者が厚生労働省前に詰めかけ抗議行動を行った。以降、2週間にわたり厚生労働省前での抗議行動や、マスコミ等へのFAXでの訴えなど、全国の障害者たちが一丸となっての抗議行動の影響もあり、新聞の社説等でも取り上げられ、マスコミも注目した。また、東京都や大阪府、大阪市をはじめ、多くの自治体が上限設定反対の緊急要望を続々出した。
その結果、1月27日に、以下のような「今回の国庫補助基準に関する考え方」が示された。
- 今回、新たに適応される障害者ホームヘルプ事業の国庫補助基準は、市町村に対する補助金の交付基準であって、個々人の支給量の上限を定めるものではない。
- 今回の国庫補助基準は、現在の平均的な利用状況を踏まえて設定するものであり、今後、支援費制度施行後の利用状況等を踏まえ、見直すこととする。
- 国庫補助基準の設定に当たっては、現在提供されているサービス水準が確保されるよう、現状からの円滑な移行を図ることとし、従前の国庫補助金を下回る市町村については、移行時において、原則として、従前額を確保するものとする。
- 検討会をできるだけ早い時期に設置することとし、支援費制度下におけるホームヘルプサービスの利用や提供の実態を把握した上で、在宅サービスの望ましい地域ケアモデル、サービス向上のための取組等、障害者に対する地域生活支援の在り方について精力的な検討を行うこととする。
また、国庫補助基準については、支援費制度施行後のホームヘルプサービスの利用状況等を踏まえ、検討会において、その見直しの必要性について検討するものとする。なお、検討会の運営等については、利用者の意向に配慮し、利用当事者の参加を求めるとともに、公正な運営が確保されるよう、適切な委員構成とする。
5. 今後とも、ホームヘルプサービスについては充実を図るとともに、そのために必要な予算の確保につき、最大限努力する。
2.もう一度、支援費とは。
【理念】
- 措置制度から利用契約型制度へ
- 自己決定の尊重
- 利用者本位のサービス提供
- 事業者との対等な関係に基づくサービスの選択
【移行するサービス】
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身体障害者福祉法 |
知的障害者福祉法 |
児童福祉法 (障害児関係のみ) |
支 援 費 制 度 の 対 象 サ │ ビ ス
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- 身体障害者更生施設
- 身体障害者療護施設
- 身体障害者授産施設
(政令で定める施設に限る=小規模授産や作業所は除く)
- 身体障害者居宅介護等事業
身体介護、家事援助 移動外出(介護人派遣事業の外出) 日常生活支援(介護人派遣事業)
- 身体障害者デイサービス事業
- 身体障害者短期入所事業
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- 知的障害者更生施設
- 知的障害者授産施設
(政令で定める施設に限る=小規模授産や作業所は除く)
- 知的障害者通勤寮
- 心身障害者福祉協会が設置する福祉施設(国立コロニー)
- 知的障害者居宅介護等事業
身体介護、家事援助 移動外出(ガイドヘルパー)
- 知的障害者デイサービス事業
- 知的障害者短期入所事業
- 知的障害者地域生活援助事業
(グループホーム)
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- 児童居宅介護等事業
身体介護、家事援助 移動外出(ガイドヘルパー
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【支援費に移行しないサービス】
- 補装具、日常生活用具の給付
- 手話通訳、盲ろう者向け通訳・介助者派遣
- 無認可作業所、小規模通所授産施設
- 身体障害者グループホーム、福祉ホーム、障害児施設
- 精神障害者の施策
【支援費制度での手続きの流れ】
- 相談
- 市町村窓口(大阪市では健康福祉サービス課)
- 市町村生活支援事業、障害者(児)地域療育等支援事業
- 身体・知的障害者相談員
等で相談を行っている。
- 支援費の申請
- 市町村の窓口で支援費の申請を行う。
- 申請を受けた市町村は、支給決定に必要な事項について、訪問調査、または面談による聞き取りを行う。
- 支給決定
次の8つの項目を総合的に勘案して支給決定を行う。
- 障害の種類及びその程度、その他の心身の状況
- 介護を行う者の状況
- 居宅生活支援費の受給の状況
- 施設訓練等支援費の受給の状況
- 支援費支給に係るもの以外のサービスの利用状況
- 当該障害者の利用意向の具体的内容
- 当該障害者の置かれている環境
- 当該指定居宅支援の提供体制の整備の状況
- 受給者証の交付
支援費の支給決定がなされれば、その内容を記した受給者証が送られてくる(サービス利用に当たっては、障害者手帳ではなく、この受給者証が元になるので大切に)
受給者証で書かれている内容(記載内容)は
- サービスの種類(居宅介護、デイサービス、短期入所等)
- 支給量(月 居宅介護 日常生活支援102時間、移動外出51時間…等)
- 支給期間(在宅サービスの場合は1年間。施設やグループホーム等は3年)
- 利用者負担額(利用者本人、並びに扶養義務者の所得に応じて負担。月額の上限がある)
- 施設訓練支援費では、障害区分(A、B、C)がある。施設サービスは、一年間見なし期間となり、2003年度中に申請−支給決定する。
- 支給決定に対する「不服申請」は一度だけ。
障害の程度、家族状況等に変更があった場合は「支給量の変更申請」ができる。(何度でも可)
- サービスの申込み・契約の締結
都道府県知事等の指定を受けた指定事業者・施設の中から選択し、サービスの利用に関しての契約を締結します。(サービスの契約に当たっては、受給者証を提示して行う。その際に、「重要事項説明書」や苦情の窓口など、契約の内容をしっかりと確認できるようにすることが大切。)
- サービス利用
契約がすめば、サービス提供が始まり、障害者はそのサービスを利用する。
- 利用者負担額の支払い
利用者は、サービス利用ごとに本人及び扶養義務者が負担能力に応じて利用者負担額を支払います。
(別紙参照)
- 支援費の請求
指定事業者・施設は、サービス提供に要した費用の全体額から利用者負担額を控除した金額を支援費として市町村に請求します。
- 支援費の支給
市町村は、申請に対し一定の審査を行った上で支給額を確定し、指定事業者・施設に支援費を支払います。(代理受領)
【基本的な取扱い】
【課 題】
- 単価の問題
- 身体介護と日常生活支援の併用ができない場合の引き下がり。
- 移動介護の「身体介護あり」「身体介護なし」の格差の大きさ
- 介助者の資格問題
- 今まで自立障害者を支えてきた学生の確保ができなくなる。
- ホームヘルパー資格と移動介護の問題
- 支給決定と利用できるサービス基盤整備の遅れ
- 支給決定が遅れている中で残り10日足らずの間で契約できるのか。
- セーフティーネットの問題
- 重要な相談窓口となる市町村生活支援事業、障害者(児)地域療育等支援事業の一般財源化問題