「自立」、このことは障害をもっている人、もっていない人に関わらず誰にとっても突き詰めて考えれば、大きく、難しいテーマだと思います。
しかし、私たち障害をもつ者が「自立」を考えるときに、一番重要なこととして上げられるのが、日常的な援助の問題ではないでしょうか。
特に、私たち頚髄損傷のように重い障害をもつ者にとって、日常生活を営む上で必要不可欠な援助をどのような形で確保し、また、社会参加をどう勝ちとっていくかは、最大のポイントとなります。
僕自身も15才で受傷して以来、入院生活→退院→進学→就職→自立生活スタート・・・と、その時々で、壁にぶち当たり、社会の設備や施策が整っていないために、社会参加が狭められていることを痛感してきました。
例えば、街づくりにしても車イスで自由に移動を確保できるところは、まだまだ少なく、バリアフリーやユニバーサルデザインの実現が望まれます。次に進学や就職では、車イスだからという理由で断わられるケースも多々あります。さらに障害者の訓練校や入所施設の一部でも「身辺自立ができていないと難しい」等といわれ、歯がゆい思いをすることも事実です。
しかし、どう考えてもこの現実はおかしいものであって、社会を変えていかなければなりません。なぜなら、車イスに乗っていることも、身辺自立ができないことも、頚損になった以上、一生変わらないことだからです。
だからこそ、社会の側がそれを認め、どんな重い障害をもっていても憲法25条にある基本的人権が尊重され、生活や社会参加の場を公的責任において保障されることが最も重要だと考えます。
えー、だんだん、前置きが長くなってきたようなので、まずは、実際の僕の自立生活を紹介したいと思います。
僕が現在生活しているのは、岸和田市にある身体障害者福祉ホーム「山直ハイツ」(以下:ハイツ)というところです。
このハイツは今から3年前(1996年4月)に開所されました。
“障害者も住み慣れた地域で安心して暮らせる保障を!"という願いとともに「泉州に障害者の生活の場づくりをすすめる連絡会」が結成され、「障害者の生活の場づくり」がスタートしました。
街頭宣伝や募金活動を何度も重ね、市民のみなさんのご協力とご理解のもと、運営主体を社会福祉法人いずみ野福祉会に依頼、運動でつくられてきたことが大きな特徴です。
この福祉ホームの形態は、全国でも数は少なく、大阪府下では初めてとなっています。
定員は10名で、プライバシーが守られた一人部屋が確保されています。
各居室は、6~8畳程度、バス・トイレ・ミニキッチンが完備されていて、いわゆるワンルームマンションほどの居室となっています。
入居の契約は、入所施設のように福祉事務所に申し込むのではなく、法人との直接契約となっていますので、民間アパートの契約とほとんどかわりありません。
頚髄損傷となって以来、自立生活を始めるまでの10年余り、家族の介助を受けながらやってきました。しかし、時が過ぎると家族に介助されることが当たり前になり、家族に頼らざるを得ない状況(ホームヘルパー制度等の不十分さ)の中で、「主たる介護者が家族でなければ生活が成り立たない」という意識になってしまうのではないでしょうか。(実際に僕自身もそうでした。)
でも、こういった意識の芽生えは、介助を受ける側にも介助をする側にも“お互いが我慢のしあいで生活を成り立たせるのはおかしい!"という権利要求さえ失わせいくものでしかありません。
だからこそ、障害をもっていても人権の守られた生活がおくれるようにするために私たち自身が語り合い、要求を出し合って、権利にしていく必要があるのです。
こういった思いもあり、自分の地域で今、“障害者の生活自立をすすめる会"を結成し、権利要求の実現に向け、日々奮闘しているところです。
今後も「自立とは何か」を追及しつつ、いろんな人々と連帯しながら運動や仕事、生活の面の向上に向け、がんばっていこうと思います。
また、いずれ新たな報告もしていきたいと思います。会のみなさん今後ともよろしく。僕の自立生活でした。
見学等の受付もしております。ご気軽にご連絡下さい!!
生活の場づくり基金にご協力下さい!!