頸損だより1999夏(No.70)

'99年度 春の勉強会報告『障害者の就労あれこれ』

比嘉昌美

3月22日(祝・月)、なみはやドーム大会議室において春の勉強会が行われました。当日参加者は、会関係者46名(ボランティア 17名)、部外者25名、計71名でした。今回のテーマは『障害者の就労あれこれ』。ということで、本会会員の5名のパネリストを迎え、自分が携わる仕事についてのお話を聞きました。

お話を伺っていく中で、内容とパネリストのバランスも良かったと思います。職業訓練校に通われ技術を身につけた上で就職されたり、もともと働いていた職場に復職された方など、その他にも受傷後の就労の色んな形を知ることが出来たからです。

何よりも、お仕事をされている皆さんが、生き生きしていて輝いているように見えました。確かに、色々と大変なことはあると思いますが、社会の一員として責任をもって何かをするというのは、『生きがい』というものにも繋がるような気がします。

一言で「仕事をしている」と言っても、皆さんそれぞれ勤務形態が違い、まだまだ一度も働いた経験のない自分自身にとっても、この勉強会でのお話は貴重なものになりました。

この勉強会では、部外者の参加が思ったより多く、「もっとPRすれば増えたのでは…?」 と言う意見がありました。「それにひきかえ、会関係者が少ないのでは…?」 と言う意見もありました。パネリストのレベルを示しておかなかった分、自分には無理・関係ないと思ってしまった人がいたかも知れません。

次回も是非、もう少し内容を掘り下げて、この様な勉強会が出来ればいいなと思います。


パネリストプロフィール

  1. 自己紹介・障害状況
  2. ご自身の仕事内容
  3. 雇用状況について
  4. 仕事をするに至ったきっかけおよび道のり、現職に就いてからの年数
  5. 仕事をするうえでの良い点・問題点・今後の目標など
  6. みなさんへ一言
  1. 1971年8月15日生まれ、AB型
    障害状況:C6
  2. イベント商品・粗品・記念品等、ノベルティー商品の仕入れから発送準備、経理。主にパソコン使用。
  3. 正社員・常勤
    通勤手段:車 所要時間:50分
    勤務時間:8:50〜5:30
    各種会社保険制度 有り
  4. 平成9年4月から平成10年3月まで兵庫障害者職業訓練校に1年間通学。
    在学中の平成10年1月末のマイドーム大阪で開かれた障害者合同就職説明会で今の会社を面接、同年2月末内定。平成10年4月1日入社。
  5. 新たな生きがいをみいだせた。
    充実した1日が過ごせる。
    世の中の流れにのっていける。
  1. 1962年11月30日生まれ
    障害状況:C6 受傷して18年
  2. 出版会社(学習教材)。コピーされた地図に該当者宅を探して印をつけていく。
  3. 正社員・在宅勤務
    勤務時間:10:00〜7:00 休日:基本的には日曜日のみ。
    各種会社保険制度 有り
  4. 車の免許を取得したことで、大阪市職業リハビリテーションセンターに行くよう勧められ一年間通い、そこの紹介で現職に就きました。年数:1年4ヶ月。
  5. 良い点:経済的に安定する。毎日の生活にメリハリがつく。
    問題点:自分のペースででき気を使うこともないので気楽ですが、反面コミュニケーションがとりにくく疎外感を感じることがあります。
  1. 8年前、野球プレーヤー中によるケガでケイソンとなる。C6。
  2. 社内のコンピュータによるシステム設計業務。
  3. 正社員・常勤
    通勤手段:車 所要時間:15分
    勤務時間:土日祝日を除く 9:30〜17:30
    各種会社保険制度 有り
  4. 受傷以前も同社・同部署に所属しており復職というかたちで、現在に至る。延べ12年。
  5. コンピューターを使用しての仕事という事は、手の不自由な私にとって有利にあった。やはり書類整理や雑用を頼む時など気を使う。
  6. 何でもチャレンジ。可能性は、たくさんあると思います。
  1. 1947年生まれ。学生時代に交通事故で受傷(C4・5)
  2. 無認可作業所「RC企画」と移送サービス「レインボーキャブ」の運営、保健所や障害者センター、高齢者サービスセンターを通じて、地域への福祉情報提供と自助具制作、住宅改造相談などの委託事業とともに、レクリエーションや交流会、啓発活動への参加。「RC企画」「レインボーキャブ」にて、渉外、移送サービスのコーディネーター、営業、その他、相談事業などを担当。
  3. 「RC企画」「レインボーキャブ」の代表。
    渉外、営業、相談事業を除きほぼ在宅勤務。概ね、月25日勤務。
    勤務時間:7:00〜21:00 休日は、主に日・祝日。
    各種会社保険制度 スタッフについては、労災・傷害・生命保険など有り
  4. 自宅の改造を、介護福祉住宅改造“M.A.C”にお願いしたのがきっかけで、仕事を手伝うようになり、気が付けば自宅が障害者やお年寄りが集まる場となり、それを作業所にしてボランティア運営委員会による「移送サービス」、その他の事業を始め、5年になります。
  5. 良い点:自宅の一室が事務所であるという事。
    問題点:一見、住宅・フレックス就労のような感じがありますが、束縛時間や勤務日数など、自分や家族のプライバシーが守られない場合もあり、スタッフのミーティングは送迎の合間に、運営委員会議やボランティア・送迎利用者への連絡も夜になりますから体調が悪くても無理をすることが多くあります。
  6. 私自身、仕事や活動を始めようと思った事はありませんが、自宅の改造をきっかけに、自由に外出ができるようになり、気付いた時には、イベント企画や工務店などに 出入りしていました。玄関の一室をお年寄りや障害者の交流の場として提供し、それが作業所・レインボーキャブの事務局になり、現在では、軒先を貸して母家を取られるという状態です。
    しかし、作業所・移送サービスのブレーン(運営委員)が、自分の仕事のブレーンとして受け入れてくれていますし、いわゆる障害者扱いをせず、仕事のミスやツメの甘さなど厳しく指摘され、時には絶縁状態になるときもあります。
    身体のことについては多少の配慮はあっても、仕事や付き合いに付いては、対等に扱っていただけているように感じています。 障害を盾にするようなことがあれば、その時点で、互いの関係が違ったものになるのではと、身体のことを忘れ日々、綱渡りの状態のような生活です。現在、近くに作業所を探しています。
  1. 1964年2月27日生まれ。宝塚市在住。受傷15年目。C6レベル。
    日常生活動作は自立(自宅でのトランスはリフター使用)
  2. 肢体不自由者の団体(個人)見学対応。リハビリテーションセンターの案内等。
  3. パート 通勤している。
    通勤手段:車 所要時間:1時間半
    勤務時間:月・火・木出勤 9:00〜16:00
    各種会社保険制度 断っているので無し。
  4. リハビリセンター内の自立生活訓練課に入所中、センターの職員からすすめられ面接を受けて、入社。リハビリセンターという事もあり、ハード面では一切問題なし。入社に関しても、さほど問題なく、すんなりと決定。現在で丸2年勤務。
  5. 仕事をはじめてから特に体調管理に気をつかうようになった。色んな意味で自信もついたし意欲もわいて、自分の存在感を自分自身が感じられるようになったのが嬉しかった。仕事柄、毎日色んな方と接するので、自分自身を見つめなおすきかっけになることもあり、仕事とはいえ楽しい思いをしている。問題点は、特になく、ハード面での環境でも人間関係も問題なく2年が経過。ただ、私の気持ちの中で、この環境に甘えすぎているという思いが出てきたこと…今後は、もうすこし厳しい状態の中に自分を置いてみて、どこまで頑張れるのか試してみたい。4月転職予定です。
  6. ケイソンで就職というのは、やはり大変だと思うんですけど、自分のできること・やりたいこと・可能なこと、ドンドンアピールして自分をわかって貰う事が大切だと思います。そして、自分の要求する条件も、あきらめないで、とりあえず言ってみる事も必要です。(信じられないけど、なかには、わかってくれる人もいるんです)そして、チャンスがあれば、とびつくことです。自分の就きたい職種の情報を集めてれば必ずどこかにチャンスがある筈です。その時をのがさないでください。職場に障害者が居るって素晴らしいことだと思います。皆さんも、頑張って下さい。
    ○4月からは、福祉介護機器店にて販売・レンタル・事務。要望として、月、15日勤務。屋根付き駐車場と車椅子トイレを設置。社内の段差をなくす。全てお願いし、OKでした。
    (自分の時間も大切にしたいと思っているので週4日以内の勤務にこだわりました。)
本名・勤務先等の情報は除いてあります。

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