頸損だより1999夏(No.70)

淡路島だより 99夏

安藤ひさ子

4月桜満開の頃、俳句会よりお花見に誘われた。退院して日も浅く未だに通院している身ですので、お断りしたのだが、皆さんが、優しくて運んで上げますからとゆうことで、同行した。乗用車2台で朝から出発。ハイウェイを通って淡路島北淡え向かった。東浦町にある「花さじき」。明石海峡大橋開通に伴って新しく造園した観光名所の一つである。黄色い菜の花が一面の丘を飾り、その眼下は、播磨灘、右方向に和歌山が見え左方向には明石海峡大橋が一望出来る。前日の嵐がうそのように穏やかな海、静かに航行する帆船、島らしい光景である。車椅子の私は、その険しい丘の坂道を上に下えと押して貰い怖いながら楽しんでいた。観光客で賑わっていたし春の花々が目に沁みたことでした。淡路島も変わりつつあり感喜した。お昼前ここを出てすぐ近くにある明石海峡大橋え向かった。サービスエリアの二階までエレベーターで上がり明石大橋が目の前に眺めることが出来た。開通して一年目に始めて見た橋である。以前は淡路では夢のかけ橋と呼ばれていたのが、現実に開通となり我が目の前に眺めることが出来た。神戸まで一直線に見える。手を延ばせば、届きそうな感覚だった。雄大な光景に感動した。夢のかけ橋でなく現実に動き始めたのだなーと喜び叫び度い思いだった。昼食後しばらくしてハイウェイを下りて洲本市え向かった。州本城の桜は散り始めて居た。南え向かうと和歌山が一望出来る山の頂上近くまで車で上がるが天守閣まで車椅子をかかえて上げて下さった感激と感謝で胸が熱くなる。天守閣から北え向くと洲本市内が一望出来る。ここでは海峡大橋開通に伴って馴染みの洲本港船着場、フェリーボート発着場が同時に封鎖されたその日も静まり犬が一匹寝ころんでいたのがなんとも淋しい光景であった。

退院後始めての外出で久しぶりの遠出とあって、その上三ヶ所へ渡って行ったことも少し疲れたが、しかし楽のしく過ごさせて貰った一日である。5月のゴールデンウィークには、離れ住む子や孫達が帰郷して賑やかに過ごせたことも嬉れしいことであった。車椅子者になって5月末に9年を過ぎた。長い年月だったが、ここまで生きさせて頂いたことを喜び、あらためてたくさんの人々のお世話に成り、支えられ応援して頂いていることに心より感謝を申上げる。今日では福祉事情もだんだんよくなりつつあり、私達障害者にとっては嬉れしいことであり在難いことである。私は年と共に老いを感じるようになったがまだまだ負けてはいけないと、おしゃれに心がけて老いと戦っていく意気込みのこのごろである。

菜の花の香りの中の車椅子

ナイターの話などして医師帰る


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