頸損だより1999冬(No.72)

<巻頭言>

『インターネットの向こう側』

桜井龍一郎

機関誌などを通じて、多くの方は既に御存じかとは思いますが、私は最近、頸損連のホームページ関連で会の活動にわずかではありますが、お手伝いさせてもらっております。私が頸損連に入会したのは10年以上前、受傷後1年半の入院生活を終え、今まで日課のように行っていたリハビリに掻かぬ汗を流すこともなくなり、これといった目標もなく、ただ日々を過ごしていた私にとって、頸損連絡会との出合いは、新たな生活の目的を見つける上での、大きな基盤となってくれました。この頃は会の行事にも毎回参加し、機関誌の編集のお手伝いなどもさせてもらったりしていたのですが、その後、別の活動への参加や、仕事を始めたこともあって、会活動への参加は、徐々に少なくなり、しばらくは会報を読むだけの状態になっておりました。

それが最近、頸損連のメーリングリストに参加して、皆さんとお話しするようになって以来、また会の活動に目が向くようになり、また行事にも顔を出したりし始めることとなり、現在に至っています。いわば、復帰の一因がメーリングリスト(すなわちインターネット、さらにはコンピュータ)だったわけです。インターネットやコンピュータというと、何か無機質で人のつながりが希薄な世界、と思われがちですが、実はその逆で、人のつながりの上に成り立っている世界で、機械はそのための単なる道具にすぎない、ということを改めて体験した出来事でした。コンピュータの、その無機質な画面の向こうに、どんな出合いが待っているのかわからない、その広がりは無限大といってもいいのがインターネットの世界。現在会で運営しているメーリングリストやホームページは、まだまだその役割を十分に発揮しているとはいえませんが、皆さんの出会いの可能性の場になれば、そして会活動の発展の一助になればと思っております。


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