頸損だより1999冬(No.72)

「アイズ・ワイド・オープン」

赤尾広明

「人生を大きく変える瞬間がある日不意に訪れる」。

これはある映画の冒頭のモノローグなんですが、

僕にとってその瞬間が訪れたのは17歳の誕生日のちょうど1ヶ月前でした。

それまではまさか自分が一生車椅子生活を送ることになるなんて

想像もしませんでしたが、

ほんの一瞬の出来事が僕の人生を大きく変えてしまったのです。

そう、ほんの一瞬の出来事が。その瞬間が訪れてから早いもので13年が過ぎました。

正直言って今でも心のどこかではまだ「現実」を受け入れられないでいるから、

気持ちが後ろ向きになることがあるんですが、

そんなときは自分に今この瞬間を楽しく生きようと

言い聞かせるようにしています。

今、この13年を振り返ってみると、

すごく無駄に過ごしてきた時間が多いような気がするからです。

とくに20歳前後はコレといって何かをした思い出がないから余計そう感じてます。

このままいつまでも「現実」から目を背けていたら、

そのうち僕にとって大切な何かを見失ってしまうかもしれません。

だから、これからは目を大きく開いて「現実」を見つめながら、

一日一日を大切に過ごそうと思ってます。

注 写真は省略しました。

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