頸損だより2000夏(No.74)

春のフォーラム

「ビューティフル・ライフ」

障害者の趣味あれこれ〜私の楽しみお分けしマス〜

鳥屋利治

ここ数年恒例になっている、会員サンをパネリストに迎えての春のフォーラム。3/26(日)なみはやドームにて開催。新聞による案内のためか、連絡会外部の方の参加も多く大盛況のうちに終わりました。(注目を集めたテレビドラマのビューティフル・ライフにあやかったかな?)ちょうどその日ドラマ最終回を迎えたビューティフル・ライフに登場する彼女は、最後に亡くなってしまうという悲しい結末でしたね。あのドラマでは、相手の目線に合わせて物事を見てみることで、自分とは違う個性を持った他人と自然な形で付き合っていける。ということがテーマだったですかね。

さて、われわれのビューティフル・ライフは、ますます元気強く、いいな〜、楽しそうだな〜、なんだか自分もやってみたい。と思わせられる内容でした。

5名のパネリストが共通して言っていたことは、「目的のある生活」だったように思う。身体に障害を負ってしまうと行動に制約を受けてしまい、自らの意志のみで100%の身動きができるわけでなく、人の手を借りてはじめて目的が達成する。という場面が多々ある。

そんな中、ついつい自分の意志を自ら制限してしまうことすらあり、日々の生活まで全て受け身になってしまう人も少なくないでしょう。しかし、今回のパネリストは皆、自らが自分の「したい」事を行うために、自分が使いやすいように道具を工夫したり、人の手も積極的に借りながら、どんどん目的に向かって進んでいく。時には壁にブチあたるようなことがあっても、そこは「好きこそものの上手なれ」。気がつくとやっぱりまた続けてたりするんですよね。もう一つ共通して言ってたことの中で印象に残っているのは、「この趣味をやり始め、続けてきたなかで、それが縁で多くの人達に出逢え、人の輪が広がった。」ということ。

今後もみなさんのご活躍を注目し続けていきたい・・・と思う筆者であった・・・


パネリスト紹介
  1. 自己紹介、障害の状況。
  2. 趣味活動の内容と始めたきっかけ。
  3. 活動する上で、道具など工夫している点。
  4. 今の趣味活動をしていて良かったなぁ、と思う点。
    または、その楽しみの極意を。
  5. 今後の抱負、その他の夢などありましたら。

  1. 伊藤進氏

テキストデータがないので省略しました。


  1. 多田佳子さん

    兵庫県神崎郡在住の27才。
    病名は進行性脊髄性筋萎縮症による両下肢の機能全廃。
    机上の事なら何とか出来るが、筋力が殆どないので重い物は扱えない。
    家族介護の元、小・中・高と地元の学校を卒業。現在町役場等からイラストや説明漫画の仕 事を頂き、細々ながら在宅のイラストレーターとして活動。
  2. 趣味は描く事。油彩・水彩・デッサン・漫画・イラスト。特に漫画を描く事が好きで、高校時代にはサークル活動をしていた。「好き」を動機に、各分野を始めた
    きっかけは様々。
    • <水彩>腕のリハビリを兼ねて小学校時代児童画教室に通っていた事。
    • <漫画>在宅の仕事として漫画描きに憧れた事。
    • <デッサン>漫画を描く基礎として習おうとした事。
    • <油彩>高校時代に通った絵画教室の生徒さんの大作に憧れた事。
    結果的にそれらの事が活動歴に繋がり、絵画方面では個展を4回する幸運にも恵まれた。漫画の投稿もしていた事が、今のイラスト関連の仕事を頂けるようになった理由でもあり、趣 味活動が生活そのものになっている。
  3. 絵を描く上で首の保持が非常に難しく、用途に合わせて大・中・小の顎置きの瓶を使用。後、定規を使う際に押さえる力が弱いので、定規の裏の両サイドに簡易の両面テープを貼り付け て定規固定の補助にしている。
  4. 絵を通して色んな方と知り合え、友達が出来た事ですネ。自分では出来ない事が紙の上では 可能になる事が絵の醍醐味と言えましょう。何でもありの世界が魅力!自分の技術力のなさとの葛藤もありますが、完成した時の達成感は表現できない程のものです。「初めから上手 い人はいない」。この言葉さえ覚えていれば、怖いモノなし。とにかく本人が楽しんで描く事が 一番デス。
  5. 漫画描きの夢を諦めた訳ではないので、焦らずに自分のペースで投稿をまた始めたいと思います。

  1. 畠岡裕幸氏

    28歳、男、ちょっとおちゃめな天秤座、
    独身(もう少しの間だけ)、なんちゃってサラリーマン、
    障害:頚椎損傷C6、
  2. スキューバダイビング、はじめたきっかけは友人(頚椎損傷者)がスキューバダイビングをやったことがあるというのを聞いて、ダイビングショップの電話番号を教えてもらったのがきっかけ。なぜスキューバダイビングをやろうと思ったのかは良く分からないが、なんか気持ちよさそうだし、おもしろそうとかいったような興味からだったような気がする・・・。
    活動歴:4年か5年くらい前からはじめて毎年どこかの海で潜ってます。ここ3年は毎年沖縄に潜りに行ってます。あと、串本にもよく行きます。スキューバダイビングを初めてやったのは、奄美大島でした。スキューバダイビングのトータルの回数(潜った回数)は、40本(回)くらいかな。
  3. ウェットスーツは特注で作ったものを持ってます。道具はほぼレンタルです。便利なようにはいろいろ考えるけどなかなかいいものがありませんね。船酔いがひどいので、錠剤の酔い止めを液体の酔い止めで飲んでます。
  4. ぜったい!夏と海が好きになる。自分のことをダイバーと呼べる。陸上とは違う世界を感じることができる。沖縄に移住したくなる。さかなの図鑑を柄にもなく買ってしまう。お金をためる目的ができる。
  5. 沖縄に移住して好きなときに潜りに行きたい。いろんな所の海に潜りたい。ウミガメに海の中であいたい。たくさんのダイビング仲間ができたらいいなぁ。

  1. 竹田臣作氏

    51歳、妻と二男との暮らし。
    日本児童文芸家協会会員。頸髄損傷(不全麻痺)。
  2. 童話を書く、ワープロに思いついたことを書き込む。規定の枚数にして、公募活動。そのために、童話を書く人の集いに出て、作品の批評会をする。批評会である程度のものができれば、同人誌に発表する。
    同人募集を新聞でみつけなければ、書き始めていない。
    神戸新聞文芸入選2回、JOMO童話賞佳作、同人誌(年2回発行)
    会の主催により朝日新聞と兵庫県の共催で、ひょうご子どもの詩と作文コンクールを毎年実施。
  3. 家族の支えがあればこそ。
  4. 目的意識の芽生え、一つのものを完成させる喜び。
    他人と触れ合う場の獲得(例会・講演活動等)。
  5. 種々の文学賞を・・・・。

  1. 高橋義隆氏

    31歳。奈良県御所市在住。
    1986年、器械体操の練習中の事故で頸髄C4・5を損傷し、重度四肢麻痺者になりました。
  2. 3DCGを描くこと。活動歴約4年。始めたきっかけは、模型雑誌で「ガンダム3Dデータ集」の発売予定記事を目にし、また同時期に重度四肢麻痺者がパソコンを操作できる道具があることを知って、「自分にも出来る!!」と思ったから。
  3. 頭の動きと呼気でパソコンを操作する為、アップル社製「ヘッドマスター」を使っています。介護用テーブルにパソコン一式を載せ、テーブルを移動することによって、ベッド上で寝ながらパソコンの操作が出来ること。
  4. 殆どの事を周囲の方々に介助・介護してもらわなければならない中、自分自身で作業が出来るという充実感が得られること。また、趣味活動が在宅就労への道を開く第一歩になったこと。楽しみの極意は3Dモデリングでの苦労の末、思った形に仕上がった時、大きな喜びを味わえること。その逆もありますが・・。(笑)
  5. 更に技術を磨き、建築物など他の形状のモデリングにも挑戦して行きたいです。
注 写真は省略しました。

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