頸損だより2000夏(No.74)

自立生活あれこれ

C4の一人暮し

田村辰男

2000年2月29日より一人暮しを始めました。

まだ2ヶ月余りで正直、先が見えないので何日まで続くのか?と言う状態での報告です。

高校3年生の夏にクラブ活動の器械体操練習中に事故。その後病院に4年半、自宅に3年半、施設に12年いました。頚損歴約20年。そして障害者でも地域で生きるという「自立生活」の言葉を知ったのは11年前のことです。長い長い年月ですが、この決心をするためにはやはりこれだけの時間が必要だったのです。最初にまとめを言うと自立生活にとって何よりも必要なことはそのための情報収集であることは間違いありません、しかし最後はその決断をし実行できるかどうかです。

●介護者について●

現在6名と臨時1名です。中心は夜勤2名と昼間ほぼ毎日1名の男性介護者で回っています。その他の4名はローテーションの合間をうめるようなかたちで週1,2回来てもらう程度です。トイレ、お風呂が夜の関係もあり、基本的には夜は男性介護者ですが、臨時で女性にも入ってもらうこともあります。市のヘルパー週6回(1回が3時間)以外はすべて有料介助で夜勤10,000円(18:00−翌9:00)。昼間時給800円(いずれも交通費別支給)。介護費用は50万円あまりかかる計算になりますが、姫路市には「全身性介護人派遣制度」があり、それをうまく使えば自己負担は30万円ほどになります。有料介助と言えどまだ介助者確保にかなり苦労させられています。介護者募集は「アルパ」と言う週間求人誌(15000円/回)で行っていますが、今週も新たな広告を出しています。

●家について●

今回、家探しには本当に苦労しました。一旦は家主もOKし、手付金を払った後に断られたこともありました。自分自身の希望物件の変化もあり二ヶ月あまりかかりました。当初の理想はワンルームでも良いから駅に近いことが条件でしたが、現実的には電動車イスではワンルームでは狭すぎるし、駐車場も必要です。最終的には2kmも離れた2DKアパートになってしまいました。トホホ・。周辺環境は。主に食料品は歩いて4,5分の距離のスーパーですが、たまに1km先の大規模ショッピングセンターに出かけたりもします。銀行、郵便局などその他一通りは1km以内でそろう意外と便利なところです。

●家の改造について●

「住宅改造費」の補助をもらい、お風呂(つるべーFセット、モリトー社)と居室(天井走行ボイジャー、カナダ製)にリフターをつけました。また建物内部への出入りはサッシの窓から2.4mのいスロープ(4つ折り式アルミ製、イーストアイ社)で行っています。お風呂(120*165cm)はユニット式ではありませんがやはり狭いです。ドアははずしてしまい、シャワーチェアーで出入りしています。身体を洗う時は湯船に板を載せ、その上に座って洗います。背中は壁にもたれいますのでかなり安定もしています。本来、2部屋とも和室ですが、コンパネを張りフローリングマットで洋室のようにしています。

●備品について●

冷蔵庫は一人暮しには不向きな大きな物を買いましたが、家具は部屋が狭くなるので全く買いませんでした。もともと使っていたスチール棚以外は電子レンジ台ぐらいで、小さなカラーボックスと衣装ケースですませています。あと、暑さ寒さには弱い頚損ですからエアコンは人一倍慎重に選びました。200Vが必要な強力なモノです。(日立のRAS4010)

2,3ヶ月後には生活保護に切りかえる予定で現在、貯金を食いつぶしながらの生活です。この綱渡りのような生活を安定させるかどうかのキーポイントは介護者費用が公的な補助で受けれるかどうかにかかっています。

注 写真は省略しました。

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