頸損だより2000秋(No.75)

ボランティア部勉強会2000

『ボランティアってなんやねん?』報告

森雄一

25名以上のボランティアさん、車椅子の会員を含めると30数名というボラ部の勉強会としてはまずは盛況といえる人数の参加のもと、7月23日(日)に大阪の西区民センターに於いて表題のボラ部勉強会を行いました。


今回は初の試みとして、午前2時間、午後3時間の2部に分け、どちらかのみの参加もOKという形で行いました。午前の部では南海福祉専門学校専任講師の新崎国広さんをお招きし、『ボランティアってなに?ハンディキャップってなに?〜そよ風のように街に出られる社会を共に目指して〜』というタイトルで講演していただきました。新崎さんはご自身、障害児施設で10年以上勤められたご経験をもとに、ご自分の実体験のエピソードを交えながら、参加者を飽きさせないように随所に巧みにゲームやユーモアも取り入れて、ボランティアの心得やハンディキャップについて、そして障害者と介助者の望ましい関係などについて、非常に熱く、そして分かりやすく説明して下さいました。僕自身は、ボランティア(VOLUNTEER)の語源が火山を表す”VOL”であり、つまりボランティアとはもともと自分の心の火山の噴火により、内なる熱い衝動に突き動かされて行動する人である、というお話が特に印象的でした。また、誰でも最初は初心者であり、失敗するのは当たり前。自分もある本で「経験」と書いて「しっぱい」と読む、という文章を発見して目からうろこが落ちた。だからボランティアをする場合も、失敗を恐れて最初から尻込みをするのではなく、あくまでも失敗から学ぼうとする姿勢こそが大切なんです、というお話もボランティアをする場合に限らず、人生のあらゆる場面で役に立つアドバイスだと思いました。終了後のアンケートでも、とても分かりやすくてためになったとみなさんに好評でした。


また、各自で勝手に近くのスーパーでお弁当などを買ってきてもらって、自由に楽しく交流しながら昼食をとってもらった後の午後の部(『頚損の達人講座』)では、これまでにも何度も行ってきたように、頚損という障害について説明しながら、今回は、特に実際に行事に参加してもらった際に要望のありうる介助項目に絞った実演を行い(具体的には、車椅子間の乗せ換え、プッシュアップの補助、起立性および低血糖貧血発生時の対応法など。排尿介助はイラスト入りの資料を配布)、最後にペアを組んで外へ出て、車椅子介助の基本となる段差の上げ下ろしと溝越えを参加したボランティア全員に交代でみっちりと練習してもらいました。


最初に書いたように、今回は、午前、午後いずれかのみの参加もOKという形で行いましたが、数名を除いてほとんどの方が両方とも参加されたため、車椅子の体験実習を終えて西区民センターに戻ってきたときには、みなさん長時間の講習でお疲れの様子でしたので、その後予定していたディスカッションを中止して、すぐに交流会、という形に変更しました。ですが、みなさん色々と話に花を咲かせて、とても楽しそうに歓談されていたので、結果オーライだったかなと思っています。こういうボランティア同士、そして、実際に僕たち障害者と触れ合っていただく「交流」も特に初参加でボランティア未体験の方にとっては、きっと単に講義を聞く以上に良い勉強になるはずだし、やっぱり大切だなと再認識しました。


今回は時間の都合もあって、一番メインの介助項目についてしか説明できず、特に排尿介助などについても非常に大雑把にしか説明できませんでしたので、もしできることなら、是非もう一度くらいはボラ部としての勉強会を行い、より突っ込んだ介助について説明する機会を持てれば、と考えています。その時は、是非より大勢の皆さんが参加して下さることを期待しています。


最後に、熱意のこもった非常に良い講義を行ってくださったにもかかわらず、今回はこのような当事者団体の勉強会の講師に招いてもらえたこと自体が自分としてすごくうれしくて、そして最初から自分としてはそのつもりにしていたからと、講師料の受け取りをあくまでも固辞され、結局無償で今回の講座を担当して下さった新崎さんに深く感謝申し上げたいと思います。


新崎さんの講演を録音しましたので、ご希望の方には送料実費負担にて貸し出しいたします。

問い合わせ・申し込みはokson@anet.ne.jp

注 写真、資料は省略しました。

戻る