「頚損だより」の楽しいイラストや障害者の趣味をテーマに行った春のフォーラム「ビューティフルライフ」のパネリストとしてもお馴染みで、イラストレーターとしても活躍中の多田佳子さんが7/7〜19まで地元で作品展を開かれると聞き、最終日の19日に協力会員の木村さんと一緒に観に行ってきました。
多田さんがお住まいの兵庫県神崎郡市川町は、姫路市からさらに播但連絡道路とゆう有料道路ををずーっと北上した所にあるんですが、多田さんがいつも大阪で行う会の行事へ、電車で片道2時間半以上もかけて出かけてきて下さる所から、ここはメーリングリスト仲間の間では冗談で「最果ての地」とか「地球の裏側」とか呼ばれています。
そして多田さんのメールを通じて、時にはタヌキや野ウサギ、牛や鹿、さらにはキツネ(!)や初夏には蛍が見られて、家の屋根裏をドタドタと賑やかにイタチが駆け回る自然豊かなところだと聞いていたのですが、実際に訪れてみた印象は、まさに聞いていた通り、沢山の山と緑に囲まれ、のどかでの〜んびりとした、とてもいいところでした。
今回の個展は、実は多田さんにとっては4回目の個展で、過去に姫路や明石で行った際、それをご覧になった地元のあるボランティアの男性が多田さんの作品に感激して、是非地元でも開催を!と働きかけて実現したそうです。
会場となった市川郵便局は、小さいながらも障害者用駐車スペースを備え、入口から全てスロープで段差もなく、ドアーも自動扉でちゃんとバリアフリー対応ができていて、今回の個展の開催場所にはまさにうってつけでした。
展示されていた作品は、郵便局側からの依頼で、「夏」と「子供」をテーマにしたものを中心に27点。鉛筆画に水彩絵の具で色をつけるというシンプルな構成が、清涼感にあふれていて、真夏の暑い陽射しを逃れて入ってきたお客さんが、しばし冷房に涼みながら鑑賞するのにはまさにぴったりでした。それに子供たちの絵からは、多田さんが彼らを見守る優しい眼差しが感じられてとても良かったです。僕が特に気に入ったのは、「夏!」というタイトルのでっかいおもちゃのサングラスをかけた女の子の絵と、確か「お母さんと一緒」というタイトルで鏡の前でお化粧の真似事をしてる女の子の絵でした。また、これ以外に、油絵も数点出展されていて、その中には昨年秋に行った会の文化イベントで展示されていた2点も含まれていました。
作品展をじっくり鑑賞した後は、郵便局から車で約10分の距離にある多田さん宅にお邪魔して、絵の制作にまつわる裏話を聞かせていただいたり(例えば、多田さんがこれまで数々描いてこられたコレクションの一部だと思っていた今回の出品作が実は、油絵を除いて全てこの作品展用の描き下ろしのオリジナルであることや、絵のモデルは親戚の子供達で、写真を見ながら描いたものの、元の写真では掃除機を持っていたところを絵では花に持ち換えさせたりして描いたとゆう面白エピソードや、昨年の文化イベントにも出品した「ある日の風景」という絵は自室の窓から見える風景を描いたものだが実は実際にはそこにある墓地をわざとはずして描いたこととか、油絵は絵の具がすぐに乾いてしまうので一気に描いてしまう必要があり、体力がいるのであまり描くことができないことなどなど)、多田さんが絵の基本技術を身につけるためにずっと通っておられるデッサン教室で描いた数々のデッサン画を見せていただいたりして(初期の頃から順番に見せていただいたんですが、絵の技術が進歩して行く過程がうかがえてとても興味深かったです)楽しい一時を過ごさせていただきました。
なお、今回の作品展の模様は、実は8月2日放送のNHKテレビ夕方6時台のニュースの「ビデオレター」のコーナーで紹介されました。これは、全国各地のローカルな話題を視聴者からの投稿ビデオをもとに紹介するコーナーで、たまたま知り合いのアマチュアビデオカメラマンが撮影したビデオを投稿したところ、思いがけず採用され、多田さんもびっくりされたそうです。僕は運良く見ることができたんですが、皆さんの中にもきっとご覧になった方がおられるのではないでしょうか。
今年も年末にまた文化イベントを開催しますが、そこで再び多田さんの作品に出会えると思うと今から楽しみです。是非とも今回の出品作やデッサン画などを展示して下さるとうれしいです。皆さんも是非見に来て下さいね。