頸損だより2000秋(No.75)

鈴鹿サーキット再び

西村ただお

と言っても鈴鹿サーキットに走りに行ったのではなくバイクレースを観戦してきました。

5月27日 土曜日、天候は朝から雨でした。でもレースの決勝は次の日なので土曜に雨が降ろうがヤリが降ろうがおかまいなしです。でも土曜は予選なのでライダー達はまいってたやろなー。僕はこの日、滋賀県に住んでるメールをしてる女の人と八日市のインターで待ち合わせをしていました。時間は昼の2時の予定。父親と母親に車で連れていってもらい八日市からその女の人とその彼氏と僕とで3人車旅が始まりました。向かうところは愛知県の尾張旭市。そこにも僕がメールをしている人がいます。その人は主婦で今回鈴鹿に行くメンバーの1人です。ちなみに滋賀の人は今回尾張旭市の人に会うのは初めて、ちゅうか全然面識がありません。もちろん彼氏もです。

今回鈴鹿に行くきっかけとなったのは僕と滋賀の人とで1度去年会っており今度は鈴鹿に連れて行ってと約束していましたがなかなか調整が取れず半年ほど過ぎたころに鈴鹿に行く計画が濃厚になったころもう1人の尾張旭のメル友にそのことを話したところ「私も行きたい」とのことで今回、その尾張旭の人の家に泊まることになったのです。滋賀の人と彼氏は近くの旅館みたいなとこに泊まりました。尾張旭市までの行く道中、大雨で「明日もこんな天気やったら鈴鹿は無理やなー」と話してました。実際その日の天気予報は日曜も曇りか雨でした。高速を飛ばし名古屋のインターで降り、地図に書かれたとおり進んでいき少し迷ったりもしましたが無事到着。ほほほ。

家の前に車を横向きに止め助手席に乗ってる僕を滋賀の人の彼氏が担いで家の中まで運んでくれました。ちなみにその彼氏は昔柔道をしていたので力はあります。車椅子に移ってからあらためて自己紹介みたいなんになりました。まず泊めてくれる人の旦那さんにも突然見ず知らずの車椅子に乗った男を快く泊めてくれることにお礼を言いました。旦那さんも車やバイクが好きみたいで鈴鹿へは同行されることになってます。着いてからも雨は降っており家の中では滋賀の人の彼氏と僕とでその家にいてるボーダーコリーの子犬と遊んでいました。旦那さんは用があるということでしばらく出ていきました。滋賀の人と奥さんは晩御飯の用意をしていました。その日の夕食はから揚げとサラダとミネストローネというトマトのスープみたいなやつでした。その家には小学生の2人の男の子がいるのですが朝から奥さんの両親、つまりおじいちゃんとおばあちゃんの家に泊まりに行ったそうです。あと僕のセルフとかは奥さんがしてくれました。、そのほかにはみんな協力してくれ特に大変なことはなかったです。夜の11時までに旅館に入らなければならないので10時半ころに滋賀の人と彼氏は奥さんの引導で旅館に向かいました。その間は家に僕と旦那さんだけでしたが車やバイクの話しで盛り上がっており明日の天気や、どのへんで観戦するなど興奮してました。奥さんが帰ってきてからはパソコンを3人で見てましたが旦那さんが眠そうやったんで僕がそろそろ寝る用意をしてほしいと奥さんに言いました。僕が寝るところは奥さんのピアノが置いてある部屋で床に布団と海やプールで使うエアーマットをひいてもらいその上にシーツをかけてもらいました。旦那さんも力が強く僕を1人で担いでくれ布団の上に寝かしてくれました。とにかく次の日の天気が気になってましたが晴れ男の僕は絶対に晴れると確信してました。次の日は朝の4時半ころからカーテンの向こうは少し明るく「絶対、晴れやな」と思いつつ寝ようとしたら犬が庭でゴソゴソしてたので寝れませんでした。6時になり奥さんがセルフをしに来てくれました。

僕はとりあえず8時ごろまで寝とくといいました。それから8時になり奥さんが起こしにきてくれてズボンを履かせてくれ旦那さんが車椅子に乗せてくれました。そして朝ご飯をよばれ歯を磨こうとした時に滋賀の人らが来ました。完全に雨は降っておらず天気の兆しになってました。そして9時過ぎ支度を済ませいざ、鈴鹿へと向かいました。車は2台にし僕は滋賀の人らと乗りました。高速に乗り鈴鹿で下りそれからサーキットまでは約5キロほど下道を走りました。着いた時には完全に晴天。思わず遠くから聞こえてくるフリー走行のバイクの音と天気とで興奮してきました。チケットは前売り券を購入しており車椅子の人は受付でゆうとなんか券をもらえるらしいです。正面ゲートから入りサーキットに向かいました。向かって左に行くとスロープがあるから車椅子でも余裕ですが勾配が急なので押すほうは大変みたいなんで注意してください。その日はバイクレースが何レースかに別れておりGP125cc,250ccとありスーパーバイクレースになります。最後にはネイキッドといってカウルなどが付いてないバイクレースも行われました。僕は250ccのレースから見たいといいました。時間はまだ余裕があったので飲み物などを買いコースに向かいました。観戦したところはホームストレートから1コーナー手前200メートルくらいのとこでした。スタート前になると各ライダーがピットから出てきましたが1台や2台ずつくらいで出ました。ちょうど目の前当たりで加速する練習などをするので音とカストロールオイルの焼けた匂いが当たり一面に広がりました。数年振りに嗅ぐこの匂い。思わず泣きそうになるくらい感動しました。だがその感動を超える感動はすぐおとずれました。30台のバイクのスタート時です。けたたましく鳴り響くエキゾーストノート。ツーサイクル独特の甲高い音が鈴鹿の晴天にこだましました。僕は身震いし鼻の穴がヒクヒクしたのを覚えています。そして一周周ってきてフルスロットルで走ってきたバイクは時速300キロ近くの速度で目の前を通りすぎていきました。全長6キロのコースをわずか2分少々で一周する。約20周足らずののレースは終わり無事大きな事故も起こらず250ccのレースは終りました。

次はいよいよスーパーバイクレースです。このレースは7月に行われる鈴鹿8時間耐久ロードレースの前哨戦とも言えるいわば各メーカーやライダー達の最終調整みたいなレースです。観戦する場所を変えるために1コーナーのほうに歩いていきました。ここも勾配がきつくしかも道もボコボコなので通りにくいです。

次に観戦した場所は1コーナーと2コーナーの間のスタンドです。ここは階段しかないので担いで上げてもらいました。レースが始まりました。直線からコーナーに入る時にはハングオンといいバイクを寝かせひざで調整するのですが僕と旦那さん意外はレースを直接見るのが始めてで驚いていました。僕にとってバイクを見ながら日に焼ける。最高のことですがなにせ単調な動きに滋賀の人や彼氏は疲れてきたみたいで日陰で休んでくると言い移動しました。さっきのレースは風が強くて気持ちよかったのですが今回のレースは直射日光でした。しかも先ほどより周回も多いのです。約1時間半くらいのレースやったと思いますが終った時にはみんなバテテいました。車椅子用のトイレもいくつかあり困ることはなかったです。帰りは途中まで2台一緒でしたがこっちの車にガソリンを入れるために別れました。行きも帰りもずーと滋賀の人が運転しておりかなり疲れたと思います。ちなみに僕は疲れませんでした。名神の途中のパーキングエリアでご飯を食べ滋賀の人にもセルフしてもらい豊中まで送ってもらい下りたとこで父親の車と待ち合わせしてました。僕が家についたのが夜の10時くらいでした。滋賀の人からは11時ごろ無事ついたと電話がありました。

今回の旅行についてですが介護する人も頚損どころか障害者の世話もしたことない人が僕の介護をしてくれ力作業は男の人がしてくれ、こっちがびびれへんかったら誰とでもどこにでも行けるんやなーと思いました。今度は便出しできる人を見つけて遠くに何泊もしようと思ってます。連れていってくれた人や手伝ってくれた人達には本当に感謝してます。

終り

注 写真は省略しました。

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