頸損だより2001夏(No.78)

巻頭言

ケア付きコレクティブハウジングは絶対必要!?

― メジャーリーグから学ぶ・・・ ―

三戸呂克美

今、アメリカのメジャーリーグが非常に面白い。もちろん日本人選手の活躍がすごいからでもあるが、なんといってもテレビ中継が多くなったことで観る機会が増えたことにある。その中継を観ていて解説者が言ったことで印象に残ったことがある。それは、メジャーの監督は、選手を育てるのに選手の持つ良いところを誉めるそうだ。その誉め方が実にうまく、例えば、打てない選手であれば打てない事にこだわるのでなく、守りで貢献できるような誉め方をするそうである。よく言われる、走・攻・守、三拍子揃わないと選手でないというのではないようだ。

私は、障害を持つ者にとって非常に理解しやすい社会と感じた。自分の持ち味を生かすことで生きていける社会が個人を尊重するアメリカにはあるのだ。では、日本ではどうだろう。経済的自立をするため仕事につきたいので「訓練校で勉強したい」、と言えば「ADLはできてますか」、と聞き「仕事につきたい」、と言えば「自力で通勤できますか」、とくる。「車を運転したい」と言えば「自力で運転席に移動できますか」、とも。

自分の持ち味を生かすことよりも、持ち味を生かすまでに潰されてしまうのが情けないかな我が国の現実である。

自立した生活がしたい。それが一人暮らしという形であっても。そして、親や兄弟姉妹、身内の人たちに楽をさせてあげたい、と思うのは当たり前である。もちろん、周りの人たちだけでなく自分も楽しい日々を送りたいと願うのも当たり前である。自分の持ち味を生かせる生活。それがケア付きコレクティブハウジングにあるように思えるのである。

注 写真は省略しました。

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