頸損だより2001夏(No.78)

「あの頃の未来」

赤尾広明

もし今幼い頃の"ボク"が突然目の前に現れたら、ボクは現在の僕を見てどう思うだろう? 想像もしなかった車椅子姿に愕然とするかもしれないし、夢が現実になってないことにガッカリするかもしれない。幼い頃のボクが思い描いた未来に今の僕は立ってないし、気が付けば夢はいつしか忘却の彼方に消え去ってしまいました。机の引き出しから取り出した小学校時代の文集をめくってみたら、10歳のボクの夢は「ウルトラマンになること」と書いてあります(笑)。さすがにそれは無理ですが、でも、ボクは夢を追いかける努力をしただろうか? ウルトラマンにはなれなくてもウルトラマンのように強くなることは出来たはずなのに...。

映画「遠い空の向こうに」はそんな遠い日に置き忘れてしまった夢を思い出させてくれる作品でした。現在、NASAでアドバイザーをしているホーマー・ヒッカム氏の自伝を映画化したもので、ソ連が打ち上げた人工衛星が空の彼方を通過するのを見たときに、「自分もロケットを作って空高く打ち上げる」という夢を持った少年が幾多の困難や失敗を乗り越えて夢を実現させた実話なんです。少年が生まれ育った町は貧しくて、スポーツマンか成績優秀なエリートでもない限り、将来は炭坑夫になるしか道はないんですが、そんな中で見つけた夢は少年にとって未知の世界に繋がってる道で、強い信念と揺るぎない意志を持ってその道を突き進めば夢は必ず現実になるということを少年は証明してみせました。今まさに夢に向かってる人や挫折しそうになってる人は是非この映画を見てください。きっと勇気づけられると思いますよ。


「遠い空の向こうに」('99アメリカ)

原題:OCTOBER SKY

自伝タイトル:ロケットボーイズ

<ストーリー>

1957年10月4日。ソ連が初の人工衛星スプートニク号の打ち上げに成功した。アメリカの貧しい炭坑町に住む高校生、ホーマー・ヒッカムはスプートニク号が空の彼方を通過するのを目撃し、自分もロケットを作って大空に打ち上げることを決意した。その日からホーマーは何度も打ち上げに失敗し、父親に反対されながらも仲間と共に夢の実現を目指すが...。(ビデオレンタル中)


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