毎年4月中旬から下旬頃に大阪南港のインテックス大阪で開催される開催される関西最大の福祉機器展「バリアフリー2001」に参加してきました。今年は、4月19日(木)〜21日(土)にかけて開催されました。
大阪頚損連でも、ここ数年、「電動車いす試乗会」の宣伝を兼ねてこの行事に参加するようになっています。今年は、鳥屋、森、坂東、吉田、宮野、坂上で行ってきました。他の日に見に来られた会員の方も何人かおられたようです。
まず、全体の規模としては、参加企業・団体は319社・9団体で、海外からの出展は17ヶ国・1地域からでした。これは、昨年とほぼ同じということです。
一方で、品目別の出展状況を見ると下記のようになり、車いすをはじめとする移動機器、自動車、衣料や自助具を中心にした日常用品などを中心に出展企業数が大幅に増加しています。企業数はほぼ同じなのですから、ひとつの企業の出展品目が増えたということになるわけですが、見た感じでは大して品目が増えたようには思えませんでした。目立ったものとしては、バリアフリー/福祉関連の機器レンタル業者向けシステムなんてものが結構あって、介護保険の浸透ぶりがいやに気持ち悪くもありました。
移動機器および移動補助用品 | 193(79) |
身障者運転自動車 | 25(12) |
手すり | 31(18) |
昇降機 | 25(17) |
リフト | 31(20) |
トイレ設備および関連用品 | 56(37) |
おむつ | 33(24) |
洗面 | 3(3) |
入浴 | 97(48) |
キッチン | 4(24) |
いす・机 | 13(18) |
ベッド・寝具関連 | 125(58) |
日常用品 | 144(38) |
視覚障害者用具 | 15(9) |
コミュニケーション機器 | 10(7) |
シグナル・制御装置 | 16(13) |
介護用品 | 54(33) |
計測機器 | 2(5) |
リハビリ・トレーニング機器 | 17(6) |
スポーツ用品 | 13(4) |
施設用機器 | 33(20) |
その他関連製品 | 13(3) |
図書・文献・資料 | 10(9) |
全体の印象としては、自立を助けると言うより「楽に介護する」するための製品が目立っていたように思えます。逆に、高齢者や障害者が自分の意思で行動することを手助けする製品は、あまり目立たない印象を受けました。
昨年来、「リハビリテーション工学カンファレンス」や「WE'LL」誌上などで紹介されて、知る人ぞ知る「ジョンソン・エンド・ジョンソン」社の2輪走行ができる電動車いす「INDEPENDENCE 3000 IBOT Transporter」がなんと言っても一番人気でした。4個の大きい車輪の前に小さめの前輪が付いており、それぞれを使うことによって、4つのモードを使い分けることができます。6輪すべてを使う「平地走行モード」、中の2輪を浮かせた状態で走行する「悪路走行モード」、後ろの4輪を使っての「階段昇降モード」、後ろの2輪だけで走行する「2輪走行機能」の4モードです。このマシン一台で悪路走行、階段昇降、座面の昇降と電動車いすにほしい機能がほとんど含まれていることを考えると、ぜひともほしい一品です。しかし、いいことばかりはないようです。まず、重量が113kgと重く、日本家屋向きではないこと。担いでもらうにもちょっとしんどいかな。それから、高位頚損者では使いこなせない要素も多いみたいです。たとえば、チンコントロールができない、階段昇降時や二輪走行時には上半身の姿勢を変えてバランスを取らなければならない、などです。 米国での認可の関係で、米国で発売されるのが12〜18ヵ月後になりそうなのだそうです。それから、日本での発売となるともう少し待たなければなりません。価格は300万円と高級自動車並みです。
http://www.jnj.co.jp/independence/
個人的にもっとも興味を引かれたのが、AAIジャパンとカナダのアプライド・AI・システ ムズ社が共同開発している音声で操作できる車いす「TAO-6」です。「前」「後ろ」「右」「左」「右 前」「左前」など10種類程度の音声コマンドを記憶させることによって車いすの操作ができます。また、行動パターンをニューロコンピュータで学習して、ランドマークを使った走行システムである場所から他の場所への自動走行可能です。アームレストにカメラ、フットレスト付近に多数赤外線センサーがついていて障害物を回避できるようです。しかし、トラブル時に確実に止まれるかというところには、多少疑問符がつくところがあります。当然バッテリーを食うので室内用です、価格は300万円ほどとか。日本での販売は5、6年先になると言うことです。