頸損だより2001秋(No.79)

ぽんぽこ山の不思議の森

ぽぽんた

お薬って飲んでいますか。好物は薬ですってこれはちょっと恐いよね。クスリ間違いかもしれないねえ、やだあ。でも、病気や怪我のときは必要なときは飲まないと。しかしい、ややこしいものもあるんだろうか。と、いうことで今回は名前は良く聞く『ステロイド』について考えてみました。


ぽぽんたも、相棒も『ステロイド』にはお世話になっています。大きな手術をされた方は、術後の点滴で使っているかもしれないし、市販品の痒み止めにも、ちょっぴり使われたり気がつかないうちに皆のまわりにあります。


でも、ちょっと昔に使い方を誤ったために、今でも恐い薬ということだけ一人歩きしています。


ぽぽんたの病気にも欠かせない薬です。じゃあ、良く聴く薬でも、これがどういう薬ってわからないよね。ちょっと、薬の森に入ってのぞいてみましょ。


1948年にヘンチと言うお医者が、始めて慢性関節リウマチの患者に合成コルチゾンを使いました。これがまた、劇的に効きました。ぽぽんたもその効果には、びっくりしました。リウマチの患者さんが、妊娠や黄だんなどで症状が良くなる時があるので、ホルモンが関係していると気がついたんです。でも、この劇的な効きかたがこの薬の不幸だったかもしれませんね。第2時世界大戦ではドイツ軍でどんな過酷な戦闘でも耐えるということで兵隊に注射されたりなんて使い方もされました。そして、ヘンチはノーベル賞を受けますが、あまりに効きすぎる薬の魅力に医師達はどんどん使いつづけて、多くの副作用を起していきます。それに、患者はどう言う薬かわからずにお肌がきれになるとか、つるつるするとかで化粧の下に塗ったり、良くなっても塗りつづけたりを繰り返したりすることで被害が大きくなっていきます。


少し前に、テレビの娯楽番組でステロイド軟こうを、パリのモデルがしわ取りに使っているって放送していて、抗議のメールを沢山送りました。そう、その塗り薬にステロイドが入っているか、内容を調べないとステロイドとは書いていません。しばらくして、その番組のサイトでちっちゃなお詫びの記事が載りましたが、知らないからで済まされない荒っぽい番組つくりだと思います。綺麗になりたいって誰もが思うから、皆が使ったら誰が責任をとるのかなあ。ね、流しっぱなしの情報には気をつけなくちゃね。


少し前アレルギー症状などでは、内科、皮膚科、眼科でそれぞれがステロイドを出していて、患者は全部のんじゃうなんてことがあったのです。重い副作用はいろいろな形で出ました。院外処方箋薬局(いんがいしょほうせんやっきょく)ができたでしょ。これが、案外良い使い方ができます。同じ薬局でかんりしてもらうことで、複数の病院のお薬の管理もできるし、疑問はどんどん薬剤師さんに尋ねてみましょう。そして、お薬も症状もお医者にしっかり不安を訴えましょうね。調子悪いとか、口内炎ができたよおとか、効いて無い気がするうううとか、どんなとこに注意したらいいかとか、ね。


現在は、この薬の効果を高めて、なんとか副作用を抑えるという立場にたった使いかたになりました。初期にしっかり使ってだらだら使わないとか、少しを飲みつづけるとか、工夫はいろいろあります。けれど、副作用自体はまだのりこえられたわけではないですね。残念。


けれど、多くの患者さんの辛い副作用の体験が生かされてきたのも事実です。そして、現在多くの難しい病気に使われています。名前を聞いてすぐ顔をしかめる方もありますが、使い方ですよね。周りの人からいろいろ言われても、しっかり主治医にお話をしていただいて、正しく使いましょう。多くの人の手をたどって、この薬はあなたの病気や怪我を治していこうとしているんですもの。


お薬自体は、身体にとって異物なのですから何かリスクがあるんだと考えておいて、何か異常があったら直ぐ病院や薬剤師の人に連絡して確認するってことが大事ですよね。


ステロイドはホルモンです。健康な人でも、副腎からほんのわずかづつですが、身体に出てきています。治療として使うときは、それ以上に沢山使うということですね。


ステロイドを受け入れるたんぱく質(受容体)にくっつきますが、これが体中にあります。血液に溶け込んで行き渡った薬を受け入れる器が、全身にあるのですから、使いたいとこ以外にも行っちゃうんですよね。だから必要ないとこで働いて、副作用になります。とほほほほ。


だから、薬の量が大変大切になります。

その日の気分で量を変えたり、飲まなかったり、これではだめですよね。気をつけないと。


副作用には、骨粗しょう症(骨がもろいいい)、精神症状(不眠や記憶障害、不安感などです)、免疫不全の易感染性(病原菌に感染しやすいのです。沢山使うとき入院するのは、このためです)、潰瘍(いたたたた)、糖尿病など(食欲も旺盛になります、これが辛いいいい)、そして無菌性骨壊死(大腿骨があぶない)などいろいろあります。予防できるもの、できないないもの、患者にとっても辛いものです。


また、ムーンフェイスと言って脂肪が顔の中心によってきてまんまるお月さん顔になることもあります。気になりますね。しくしく。飲むのをやめれば元に戻るようですが、病気によっては、ずっと飲まなければならないので、これは大きな問題です。


そして、なにより薬をやめるときに、やあめえたっで即やめる事ができません。熱がでたり、関節がいたんだり、低血糖やひどいとショック症状がでます。危ない、危ない。必ず、少しずつ医師と相談しながら減らしていきましょう。

その途中で、病状に合わせて増えることもあります、でも、ぼちぼちいきまひょ。


他の薬との食べ合わせ、いや、のみ合わせもあるので必ず他の病院で飲んでいるお薬は、しっかり持っていくかメモして先生にみせましょう。これは、どんな病気でも同じだけどね。


これから、研究が進んで副作用がすくなくて切れがいい薬がでるかもしれません。でも、恐いからって勝手に薬を飲まないと、命に関わることもあります。

せっかく沢山の人たちの手を渡ってきたお薬ですもの。感謝しながら、かしこく使いましょう。


不安があったら、どんどん聞こうね。先生も薬剤師さんもプロなんだもの。おかしいなと思ったら、必ず連絡しましょ。

気難しいお医者で何もこたえてくれないなら、他のお医者を探すこともできるよね。病気は患者だけでも、医師だけでも治せない。家族がいくらがんばってもね。皆でタッグを組んでやりましょう。風通しよくやりたいね。


あ、そろそろお腹も減ったしお家に戻ろう。


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