頸損だより2001冬(No.80)

巻頭言

掲示板から見えてきたもの

桜井龍一郎

1999年にホームページの担当をさせてもらうことになり、まずは当会の情報を外部に発信ということで、活動の紹介や頸髄損傷の説明などの掲載と、この機関誌「頸損だより」の毎号の記事紹介の開始を中心として、実際の運用を開始しました。その少し後に、外部との交流を目的に掲示板を設置したのですが、開設当初は利用者も少なく、参加するのは会員や、会員以外でも、すでに面識のある方ばかりで、全くの外部の方の利用はしばらくはない状態でした。しかしやがて、たまにではありますが、書き込んでくれる外部の方が現れるようになり、その頻度も最近では徐々に増えてきており、遅蒔きながら、外部との交流という当初の目的通りの働きができつつあると、管理者としては喜んでおります。

ところでその外部からの書き込みの内容を見てみると、興味深い事実が見えてきました。というのも、その内容は不思議なことに次のようなものが圧倒的に多いのです。それは、「家族や知人が頸髄を損傷したのだが、治療やリハビリで有名な病院を教えてほしい」というものです。そこからは、ある日突然身近な人の受傷に直面し、これから先どうすればいいのか全く分からない中で、何とか回復してほしいと、何かできることはないかと、必死になっている中で偶然この掲示板に辿り着き、藁にもすがる思いで書き込んだ、家族・知人の切実な姿がうかがわれます。そしてこれは、それだけ新たに頸髄を損傷する人が多いことの表れであると言えそうです。

どのような人々に、どのような目的で利用されるのか、どのような情報を載せれば役に立つのか、開設した当初はまったく予想がつかなかったこの問いかけが、この掲示板の書き込みから、ようやく一つ見つかりました。「頚損になって間なしの方に対する情報発信」、これを今後目指すべき一つの方向として、ホームページの充実を目指していきたいと思っています。

注 写真は省略しました。

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