頸損だより2001冬(No.80)

「ちょっと感激した1日」


2001年8月末に梅田の中崎町に「チェルシーマーケット」という商業施設がオープンしました。「COLORS tooth tooth」というカフェレストランと「WHO'S WHO GALLERY」というファッション、雑貨、家具の店、玩具メLEGOモの専門店「stores」の3つの店舗があるんですが、流行に敏感な僕のお目当ては神戸のオシャレな女性に人気があるという「tooth tooth」で、オープンしてすぐに行ってきました。


しかし、期待に胸をはずませる僕の目に飛び込んできたのは、入口にある角度が急な3段の段差ノ。迂回するスロープはなく、他に入口も見当たらないんで、仕方なくあきらめて帰ろうと思ったその時、店員さんが「車椅子をかかえましょうか?」と声をかけてきてくれたんですね。華奢な女性だったんで、「重たいからいいですよ」と断ったら、別の店員さんに「スロープ替わりになりそうな板を探しますんでちょっとお待ちください」と引き留められ、結局それは見つからなかったんですが、オープンしたばかりで忙しいなか、厨房の男性スタッフが6人ほど来て車椅子をかかえてくれました。行きたいお店に段差や階段があったら、自分で無理だと判断してあきらめるか、入りたくても店員さんにやんわりと断られる場合がありますが、「(車椅子では)ちょっと無理ですね」ではなく、「車椅子をかかえましょうか?」という言葉が先に出てくる、そんな店員さんの対応がうれしくて感激しちゃいました。帰りに「これに懲りずにまた来て下さいね」と申し訳なさそうな顔をする店員さんに、僕は心の中で「行く行く」と返事をしました(笑)。


同じ日、梅田スカイビルのB1Fにある「芭蕉庵」という和菓子屋でもちょっとうれしい出来事がありました。ここは自分の手で石臼をゴリゴリ轢いて作った黒豆のきな粉をわらびもちにかけて食べることが話題で、テレビや雑誌などでよく取り上げられてるお店だから、店内は超満員。しかも、店内は狭いから車椅子で中に入るのはかなりキビシイ。

あきらめて帰ろうとしたら、店員さんは笑顔で「どうぞどうぞ」って感じで迎えてくれるんです。テーブルと椅子をいくつか移動させてお客さんも少し移動してもらって車椅子でも通れるようにしてくれました。飲食店はサービス業だから、本来このくらいの対応は当たり前かもしれません。でも、物理的なバリアがあるお店にそこまで求めるのは僕は気が引けるんで、メバリアモがあっても温かいメ心モで迎えてくれる、そんな店員さんがいるお店にはそれだけで感激して、「また行こう」って気持ちになります。もちろん、おいしければノというのもあるけどね(笑)。

「芭蕉庵」のわらびもちはサイコーにおいしかったし、「tooth tooth」は夜はスタンディングバーも営業するからアルコールもアリなんで、今度は夜の違った雰囲気を味わいに行こうかな(笑)。最近ちょっとネガティブで、「ここの駅員は愛想が悪い」とか、そんなマイナス面ばかりを先に考えてしまうけど、悪いところばかり見てるといいところを見落としてしまいそうノ。そんなことにふと気付かされました。ハードの不備はソフトで補う、それが出来てるお店のちょっとした優しさに感激した1日でした。


「チェルシーマーケット」

大阪市北区中崎西2丁目

(エストの東/JR高架下)

TEL&FAX 06-4707-1410

http://www.chelseamarket.net/


「芭蕉庵」

大阪市北区大淀中1丁目1番90-B100

(梅田スカイビルB1F)

TEL 06-6440-5928

http://www.bashoudo.com/


赤尾広明(チビデカ)
注 写真は省略しました。

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