頸損だより2002春(No.81)

運命線からアザーウェイ


人には定められた「運命」があるんでしょうか?人は毎日のように大小さまざまな決断を下してます。

目的地まで飛行機で行くか新幹線で行くか? 点滅中の信号を渡るかどうか? 先に食事にするかお風呂に入るか? しょう油をかけるかソースをかけるか? ビールをもう1杯飲むかどうか?


それらの決断は時として人生を大きく左右してしまうことがあります。僕は高校の体育の授業中の事故で頸損になったんですが、前の日からなんだかイヤな予感がしてたんで、当日の朝は登校するギリギリまでズル休みしようかと思ってたんです。もしこの日、ズル休みをしていたら、僕は頸損にはならなかったかもしれません。でも、「運命」があるのだとしたら、人生のどこかの場面で下した決断によって今と同じような状況になるのかもしれない。たとえば、雪の日に危険だと分かっていながらバイクで通学すると決断して、凍結した路面で転倒して頸損になってしまうとか…。


映画「ガタカ」は遺伝子の優劣が一生のすべてを左右する社会で、遺伝子的に不可能な「宇宙飛行士になる」という夢を追いかける人間

ドラマなんですが、それは決して簡単に叶えられるものではありません。DNAによって決定づけられた運命に逆らい、ひたむきに、ひたすら夢を追いかける主人公。自分の人生は自分で切り開くんだという強い意志が「運命」という得体の知れないモノに打ち勝つ力を与えてくれるんですね。毎日のように下してる決断がその後を大きく変えてしまうことがあったとしても、その流れに立ち向かっていくだけの強い精神力があれば自分の思い通りに人生を運べる。だから、人には定められた運命なんてない。いや、たとえ「運命」があったとしてもそこには自分にしか見えない

他の道がきっとあるはず。絶対に叶えたい夢とか目標があれば人は強くなれる。だから、自分の信じる道をひたすら前に進もう。

さてと、今夜は牛肉にしようかな?それとも豚肉にしようかな。


「ガタカ」('97アメリカ)

監督:アンドリュー・ニコル

(「トゥルーマンショー」脚本)

出演:イーサン・ホーク(「大いなる遺産」

「ヒマラヤ杉に降る雪」など)

   ジュード・ロウ(「スターリングラード」

「オスカーワイルド」など)


<ストーリー>

そう遠くない未来、遺伝子操作が当たり前のように行われる時代、生まれてきた子供は遺伝子の優劣によって「適合者」と「不適合者」に分けられていた。「不適合者」のビンセントはその遺伝子によって、寿命は短く、知力、体力ともに「適合者」よりもはるかに劣っていたが、それでも彼は遺伝子的に不可能な「宇宙飛行士になる」という夢を追いかけようとしていた…。(ビデオレンタル中)

赤尾広明(チビデカ)

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