頸損だより2002秋(No.83)

巻頭言

ソノトキヲモフキモチ 〜開かずの手紙〜

比嘉昌美

ヒトの気持ちって、なぜこんなにも変わっていくのでしょうか。

今年初め頃部屋の片付けをしていた私は、ある1通の手紙を見つけました。

それは私自身が昔、誰かに宛てて書いた手紙のようでした。気になって早速 それを開けてみると、16歳の『私』がいました。手紙の内容には…

「こんな体で生きていくのはもうしんどいです」などということが書かれて ありました。それを読んで私は、こんなこと思ってたんや…と、今の私とし てはこのような昔の自分に対して少し笑ってしまう気持ちと、少し悲しい気 持ちがありました。


その頃の私は、頚損になって2年足らず。自分の状況もまだ理解できず、 障害も受け容れられず、慣れない高校生活のスタートですごく精神的に疲れ ていたのかもしれません。それでも必死に生きていたその頃の『私』のこと を今の『私』は愛しく思えました。

それからも私はいろんな気持ちを生きてきて、今の私にたどり着きました。これからも、またどんな気持ちを生きていくかはわからないけれど、 『ソノトキヲモフキモチ』、私はいつも大切に生きていきたいと思います。


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