今年1/11、5/21の坂口厚生労働大臣の発言(無年金障害者問題について障害者福祉施策の一環として解決を目指す考えを明らかにして、今年度中に結論を出す)から、私たち学生無年金障害者訴訟原告団と弁護団は大臣に早期解決等の要望書を提出しました。
07/28 07:34 学生無年金障害者に援助、月4万円程度と坂口厚労相
共同通信ニュース速報
坂口力厚生労働相は27日夜、秋田市で講演し、学生時代に障害を負い、国民年金に未加入だったため障害基礎年金を受給できない学生無年金障害者問題について、現在支給している障害基礎年金の半額程度を年金に代わる形で援助したいとの意向を表明した。週明けに「坂口私案」として公表し、厚生労働省内で検討作業に着手する。
同問題をめぐっては、大阪地裁などで係争中で、今後の裁判の行方に影響を与える可能性もある。
具体的金額について厚労相は「現在もらっている人は、1級の障害者で年間100万円、2級で80万円ぐらいで月8,9万円ぐらいだ。せめてこの半分ぐらい、月に4万円ぐらい出れば生活の支えになる」との考えを示した。
1991年度に改正国民年金法が施行されるまで、20歳以上の学生は、所得がないことを理由に任意加入とされていたため未加入のケースが多く、障害を負っても年金が支給されていない。厚労相は「年金ではだめということになれば、福祉で措置する以外にない。この(無年金の)人たちに何とか障害年金に匹敵するものを用意してあげないと生きていけない」と指摘した。
学生無年金障害者問題については、各地の地裁で障害基礎年金を支給しなかったのは違憲として、国などに不支給決定の取り消しと損害賠償を求める裁判が起こされている。これに対し厚労相は記者会見などで今国会中に解決策を提示する考えを示していた。
ただ「坂口私案」を実現するには、数十億円規模の財源確保が必要とされ、厚労省内には疑問視する声が出ている。
07/27 22:02 「学生無年金障害者」に福祉手当創設、坂口厚労相が意向
読売新聞ニュース速報
坂口厚生労働相は27日夜、秋田市内で講演し、20歳以上の学生が国民年金への加入が義務付けられていなかった91年以前、保険料を支払わずに障害を負った場合、障害年金をもらえない「学生無年金障害者」について、年金に代わる福祉手当を支給する新制度を創設する考えを明らかにした。
坂口氏は「学生は稼ぐ能力、保険料を支払う能力がなかった特別な存在だ」と指摘したうえで、「年金は保険料を負担した人に支払われるものなので、福祉制度の中で財政措置をしなければならない」と述べた。
具体的には、現在の障害年金(月額最高で約8万3000円)の半額程度にあたる月4万円を支給するとした。学生無年金障害者は現在、全国に約4,000人いるとみられる。
上記の坂口厚生労働相の発言について、かなり期待していたのですが、"やっぱり手当か"という失望感も受けます。手当では、入院・入所で支給停止、また、いつ打ち切られるかもわからないという不安があります。
また、「何故に半額支給なのかにも納得出来ない」し、仮に月4万円の手当が支給されたとしても、国民年金(月額13,300円)は払い続けねばならないのです。障害基礎年金を支給されている方のように「支払免除」とはならないのです。
"五月蝿いから黙らせよう"、"学生無年金障害者運動を押さえ込もう"、"選挙が近い?ので、お情けで手当を出してやろう"というような「下司の勘ぐり」を抱きかねない心境もあります。
私たち学生無年金障害者訴訟原告団は、誰もが安心して生活でき「真の国民皆年金制度の確立」を目指して活動しているのであって、坂口厚生労働相私案を素直に受け入れることには、裁判での主張と違和感を感じてます。しかしながら、この手当を自身の裁判、運動の糧として受け入れてはどうかという意見もあり、原告各々の置かれた現況が如何に深刻なのかを推し量られます。
まぁ、厚生労働省の役人も辞めさせられるかもしれない大臣の言う事なんて聴かないだろうし、族議員の反対もあり、これがこのまま実行される可能性は困難だろうと思います。
ただ、坂口厚生労働相が、国民年金制度の不備について、省庁間のたらい回しについて言及し、非を認めたことは評価できます。
7/28午後2:40から坂口厚労大臣と無年金障害者問題について面談、ようやく当面の念願が叶いました。園田博之衆議院議員(自民党)、金田誠一衆議院議員(民主党)、山井和則衆議院議員(民主党)、中川智子衆議院議員(社民党)、井上美代参議院議員(共産党)、と私の計6人の議連設立準備会員で訪問してきました。
大臣室に入り、「黒岩です」と挨拶するや否や大臣から握手を求められ、「あなたのお母さんに答えたことを今実行しているところです。」と仰ってくださいました。母親が参議院厚労委員当時、無年金障害者問題で坂口大臣から前向きな答弁を引き出したことを受けての息子である私への回答でした。
大臣は27日の秋田での講演で、学生無年金障害者についての試案を述べられました。本日、書面にて試案を頂けるかと思いきや、お話だけ。私は「国会会期末の31日までにはお出し頂けるんですね」と確認したところ、「孫には夏休みの宿題を早くしろといっているわけだから、自分も7月中には出す。」とお答え頂きました。
在日外国人無年金の問題については学生無年金を突破口にしていきたいというお答え。学生には福祉的措置で障害基礎年金の支給額の半分を支給するはいいが、その際、障害年金受給者が免除されている国民年金の保険料を同様に免除することを大臣試案に入れて下さいともお願いしてきました。
最後に私が「秋の臨時国会冒頭に議連を立ち上げ、坂口厚労大臣に面会に来ます」と申し上げると「その時は私は議連に入っているよ」と答えられました。9月の内閣改造で坂口大臣が交代するといううわさを私が突っ込んだわけですが、上手にかわされたのでした。夏休みの宿題が終わって、秋になったら卒業は勘弁して下さい。面会終了後、記者の取材。無年金障害者問題についての関心は非常に高まっています。
私たち無年金裁判原告は、国民年金制度の不備を訴えて運動してきたので、無年金障害者を生み出さないような、安心して暮らせる年金制度の確立を求めている。また学生無年金障害者だけでなく、主婦無年金障害者、滞納無年金障害者、在日外国人無年金障害者、強制加入以後の学生無年金障害者の解消も併せて訴えていくつもりです。
障害基礎年金は、障害者の経済的自立に欠くことのできない基本的条件であるのに、無年金障害者は経済的自立を阻まれています。
全国8地方裁判所(札幌・盛岡・新潟・東京1次2次・京都・大阪・広島・福岡)でも順々に裁判が行われており、提訴した原告者30名は地域の支援者に支えられて厳しい闘いをしており、各地方裁判所に提起した訴訟は、「行政訴訟と国家賠償請求訴訟」で、憲法14条違反、憲法25条違反を主張しますが、国民年金法違反も主張しています。
弁護士 | :「学生を適用除外した理由は@からBに尽きるのか?」 |
被告 | :「準備書面に記載のとおりです」 |
弁護士 | :「準備書面には@からBしか記載されていない。だから、それに尽きるのかどうかを聞いている。」 |
被告 | :「準備書面に記載のとおりです」 |
弁護士 | :「ということは、理由は@からBに尽きる、それ以外にないと理解してよいか?」 |
被告 | :「けっこうです」 |
弁護士 | :「そのとおり、調書に記載して下さい」 |
弁護士 | :「平成元年に強制加入になった時点でも、@とAの理由にはなんら事情の変化はないと理解していいか。」 |
被告 | :「事情は同じだが、評価が違う」 |
弁護士 | :「事情には変化はないということでよいか」 |
被告 | :「準備書面に記載のとおりです」 |
※ |
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年会費 1口 | : | 団体 5,000円 個人 2,000円 |
郵便為替口座番号 | : | 00950−4−131048 |
名 義 | : | 学生無年金障害者への年金支給を実現する関西の会 |
無年金障害者の会HP | : | http://www7.plala.or.jp/munenkin/index.html |
日 時 | : | 2002年9月6日(金曜) 午後1時30分〜2時 |
法 廷 | : | 大阪地方裁判所 202号 大法廷 |
所在地 | : | 大阪市北区西天満2丁目1-10 TEL:06-6363-1281(代表) 地下鉄御堂筋線「淀屋橋」駅下車徒歩7分 |
※ | 大阪地裁でいちばん大きい大法廷であり、車イスのスペースも10人以上確保する予定なので、多くの皆さんの傍聴をお願い致します。 傍聴席を支援者でいっぱいにし、無年金障害者問題が広く関心を持たれていることを裁判所に示したいと思います。是非、支援に駆けつけて下さい。 裁判後、引き続き、隣接の弁護士会館で報告集会を予定していますので、あわせてご参加をお願いいたします。 |
ボランティア及び、皆さんのお知り会いの方で、20歳以上の学生等の方は、国民年金を納付されている、または猶予、免除手続きを取られているかどうか確かめて下さい。
(老齢年金の不支給、無年金者になる可能性がありますので、ご注意を!)
(記者)学生の無年金障害者問題なんですが、先週末大臣のご講演の中で、改めて今週中には私案というものをご公表されたいというお考えを述べてらっしゃったんですが、その後その私案についてのまとまり具合や公表の時期についてはどう考えてらっしゃるのでしょうか。
(大臣)そうですね、一応今国会中に私の考え方をまとめるということが約束になっておりましたから、最終日に事務局の方にもこういうことでどうかというペーパーを渡してございます。私の考え、一応考え方としてはまとめたつもりでございまして、そのペーパーはもしも必要ならば、今日お昼からでも皆さん方にお渡しをしたいというふうに思います。
(記者)あのご講演でお話しされたことが大筋、骨格というふうに理解してよろしいですか。
(大臣)そうですね、1つは無年金障害者の実態というものが必ずしもよく分かっていないわけです。もう少しやはり実態の調査を1つはしていただかなければいけないと思っております。大きく分けて4種類に分類できるというふうに思いますが、1つは外国人に関する問題でございますし、それから一つはいわゆる3号被保険者との絡みの無年金障害者であります。さらにいわゆる学生の皆さん方の問題であるとか、もう一つは本当はもう掛け金をしてもらわなければならないんだけれども、その中で掛け金をせずに障害者になった人の問題。大きく分けて4つでございます。まことにアバウトな推計ではございますけれども10万ないし12万ぐらいはお見えになるのではないかということでございます。
年金の立場からいたしますと、年金というのは掛け金をしていただいて、その掛け金をしていただいた方に給付を行うというのが原理原則でございますから、掛け金をしてもらってない方に給付するということは出来ない、こういうことでございます。したがいまして無年金障害者というふうに無年金という言葉はついておりますけれども、年金の中でこれを処理するというのは難しいということになれば、これは福祉的な措置をする以外にございません。福祉的な措置を行うということを前提にしてこの話は進めざるを得ないというふうに思います。この皆さん方がどういう生活をしてお見えになるのかということをもう一度調査をしなければいけないわけでございますが、いろいろの今までのデーターで大掴みで見ますと、約1割くらいの方は生活保護をお受けになっているのではないかと、2割くらいの方は何らかのお仕事をしていただいているのではないかということでございます。しかしそれにいたしましても、その残りの7割の皆さん方がご両親でありますとか、ご家族でありますとか、そうした皆さん方の支援の下に置かれてお見えになるということでございます。そのご本人たちももちろん年を重ねて来ておりますが、しかしそのご両親なんかが扶養してお見えになります場合には、ご両親の高齢化というのがかなり進んできておりますので、そうしたことを考えますと看過出来ない事態に立ち至っているのではないかというふうに思っております。
考え方としてはいろいろございまして、いわゆる任意加入でありました学生さん等に対してのみ行うという方法があるわけでございますが、しかしもしこれを実現しようということになりますと、やはり立法化が必要でございますし、法制上の問題を考えますとこういう理由の人はします、こういう理由の人はしませんというのはなかなか区別が付け難い。やはり法制上はまとめてこれはどうするかということを考えざるを得ないということのようでございます。したがいまして私、この前の講演の時には学生を中心にしてということを申しましたけれども、そこは拡大をいたしまして外国籍の皆さん方のものも、あるいはまたその他のところに属する皆さん方も含めまして、全体を対象としてどういうことが出来るかと、どういうふうにするかといったことを、やはり考えないといけないという結論でございます。問題はその人たちにどういう形で、どういう福祉措置をして差し上げるかということになるわけでございますが、年金以外からというふうに言いますものの、その年金に入っていてもいなくても同じ結果が得られるということでありますと、やはり年金に入るということがなかなか理解されないようになってしまうということもございまして、その辺のところにどう配慮して、そして福祉的措置をどう講じるかといったところが一番難しい点だというふうに思っております。年金に入っていてもいなくても結論としては同じことになるんじゃないのということになりますと、なかなか年金に入っていただけない人達が増えてくるということもあり得ますから、その辺を加味しながら結論を出すということでなければならないというふうに思っております。私の私案という形で提示をいたしまして、そしてとにかく状況の把握というものをまず行い、そしてこれは看過の出来ない問題であるという私の提案であると、したがってここに何らかの措置を講じるべきであるということを提案をしたいというふうに思ってまいりました。しかしこれも額によりましてはかなり財政的な問題の絡んでくることでございますから、なかなかこれも大変でございますが、しかしそこを良く事務方にも検討をしてもらいたい、政治的にも我々これは決着を付けなければいけない問題だと思っております。(了)
坂口力厚生労働相は二十七日夜、秋田市で講演し、学生時代に障害を負い、国民年金に未加入だったため障害基礎年金を受給できない学生無年金障害者問題について、現在支給している障害基礎年金の半額程度を年金に代わる形で援助したいとの意向を表明した。週明けに「坂口私案」として公表し、厚生労働省内で検討作業に着手する。
同問題をめぐっては大阪地裁などで係争中で、今後の裁判の行方に影響を与える可能性もある。
具体的金額について厚労相は「現在もらっている人は、一級の障害者で年間百万円、二級で八十万円ぐらいで月八、九万円ぐらいだ。せめてこの半分ぐらい、月に四万円ぐらい出れば生活の支えになる」との考えを示した。
一九九一年度に改正国民年金法が施行されるまで、二十歳以上の学生は、所得がないことを理由に任意加入とされていたため未加入のケースが多く、障害を負っても年金が支給されていない。厚労相は「年金ではだめということになれば、福祉で措置する以外にない。この(無年金の)人たちに何とか障害年金に匹敵するものを用意してあげないと生きていけない」と指摘した。
学生無年金障害者問題については、各地の地裁で障害基礎年金を支給しなかったのは違憲として、国などに不支給決定の取り消しと損害賠償を求める裁判が起こされている。これに対し厚労相は記者会見などで今国会中に解決策を提示する考えを示していた。
ただ「坂口私案」を実現するには、数十億円規模の財源確保が必要とされ、厚労省内には疑問視する声が出ている。
[2002-07-28-07:34]
坂口力厚生労働相は27日、国民年金が一部任意加入だった時代に未加入のまま障害を負い、障害基礎年金を受けられなくなった「無年金障害者」のうち、当面、学生だった人に限り、救済する意向を固めた。現在の障害基礎年金の給付水準の半額程度を、税を財源に支給する考えだ。
無年金障害者は約10万人と推定され、障害を負った当時、任意加入だったため未加入だった主婦や学生、国籍要件のため加入できなかった在日外国人、強制加入の対象だが、未加入だったか保険料を納めていなかった人、に大別できる。厚労相はこのうち、「学生は他の人と比べ、働いて収入を得る能力が乏しく、保険料を支払うことが難しかった」と判断、救済を急ぐことにした。
[2002-07-28-00:35]
坂口厚生労働相は27日夜、秋田市内で講演し、20歳以上の学生が国民年金への加入が義務付けられていなかった91年以前、保険料を支払わずに障害を負った場合、障害年金をもらえない「学生無年金障害者」について、年金に代わる福祉手当を支給する新制度を創設する考えを明らかにした。
坂口氏は「学生は稼ぐ能力、保険料を支払う能力がなかった特別な存在だ」と指摘したうえで、「年金は保険料を負担した人に支払われるものなので、福祉制度の中で財政措置をしなければならない」と述べた。
具体的には、現在の障害年金(月額最高で約8万3000円)の半額程度にあたる月4万円を支給するとした。学生無年金障害者は現在、全国に約4000人いるとみられる。
[2002-07-27-22:02]
坂口力厚生労働相は27日、秋田市で開かれた公明党の講演会で、国民年金の未加入時に障害を負ったために障害基礎年金を受け取れない「無年金障害者」のうち、91年4月以前に学生だった障害者約12万人について、特例として障害基礎年金の半額程度を一般財源から支給する「坂口私案」を公表した。
国民年金制度は61年にスタートし、86年には20歳以上の強制加入を義務付けたが、学生については91年に加入義務化されるまでは任意加入だった。このため加入しないまま就職前に障害を負った場合、年金が支給されない事態が発生していた。91年4月以降は強制加入となり、その後、本人に資力がなければ支払い猶予を認める「保険料納付特例制度」が新設されたため、無年金問題は生じないとされる。障害基礎年金は障害等級ごとに支給額が定められ、1級だと年間約100万円が支給される。
無年金障害者はこのほか、在日外国人や失業者、会社員・公務員の妻などで発生しているが、学生に限った理由について坂口氏は「(任意加入から強制加入への)政策的移行期であり、学生は稼ぐ能力がなく年金保険料を払う能力に乏しいためだ」と説明した。
ただ保険料を払っていない人に年金を支給することは厚生労働省内に「誰も保険料を払わなくなる。アリの一穴になる」(年金局幹部)と強い抵抗があったため、試案は年金財源からではなく一般財源から支給することにした。支給総額は年間数百億円に上ることから財源手当ては困難で、今後、実現に向けて曲折も予想される。
【高安厚至】[2002-07-27-21:35]
国が定めた「障害者基本法」の第20条において、「国および地方公共団体は、障害者の生活の安定に資するため、年金、手当等の制度に関し、必要な施策を講じなければならない」としている。
しかし、年金に未加入であったが故に障害者になっても年金給付を受けることのできない「無年金障害者」と呼ばれる一群の人達がいる。平成6年10月、衆議院における厚生委員会において、さらに同年11月に参議院厚生委員会において、無年金障害者の所得保障について、福祉的措置による対応を含め速やかに検討すること、との付帯決議を採択している。年金給付を受けることのできない障害者は、付帯決議に採択された通り、福祉的措置によって解決する以外に方法は残されていない。
無年金障害者となった者は、次の如く分類される。
以上の如く、推定で12万人を超える無年金障害者が存在する。約1割は生活保護を受け、約2割は何らかの仕事を持っていると言われているが、大多数の無年金障害者は家族等の支援によって生活を確保しているものと推測されている。しかし、支援する両親、親族等の高齢化が進み環境は一層厳しくなっているとの指摘が多い。
福祉的措置の問題点
年金制度の外側で、福祉的措置をとったとしても、年金給付に相当する給付が行われることになれば、保険料を拠出してもしなくても同じ給付が得られることとなり、拠出制の年金制度に重大な影響を与える事になる。従って、年金給付よりも給付額や給付条件を制約のあるものにせざるを得ない。
しかし、福祉的な観点からの手当であったとしても、政策効果の期待される給付額でなければならない。
給付の内容
・対象者: | 無年金障害者のすべてを対象とする。 |
・要件 : | 生活の全般が保障されている施設入所者は対象外とする。 給付には本人の所得制限を付けるものとする。 また、障害は一級、二級の者とする。 |
・水準 : | 年金制度との均衡をはかり、旧障害福祉年金の額等を勘案の上、決定するものとする。 |
・調査 : | 福祉措置を講ずるに当たっては、至急に実態調査を実施するものとする。 |
考え方と結論
すでに述べた如く、無年金障害者は本人はもとより、その扶養者である両親をはじめとする親族等は高齢化が著しく、看過できない事態に立ち至っている。純粋に年金制度を中心に考えれば、保険料を負担した者にのみ給付は存在し、それに従わなかった者は排除される。しかし、現在の成熟した年金制度の下では発生しない無年金障害者が、学生など政策的移行期であったが故に発生した側面も否定できない。
学生など任意加入であった者を中心に救済する案も存在するが、福祉的措置をとるためには立法化が必要であり、法制上からも対象者は無年金障害者をすべて同様にとり扱うことが妥当であるとの結論に達した。
給付の額については、年金制度に重大な影響を与えない範囲で決定すべきであり、拠出制の年金制度の存立を揺るがしてはならないが、さりとて年金制度にこだわり過ぎては無年金障害者の生活実態を見失うことになる。全期間保険料免除の国民年金水準(月額22,339円)より低額とする意見もあるが、福祉という観点から政策効果に疑問が残る。
昭和61年3月まで、被保険者となる20歳より前に障害者となったものや、拠出制の年金制度に加入しながら保険料納付要件を満たさず障害者になった者などに対して、全額国庫負担による障害福祉年金が支給されていた。当時の月額水準は1級で39,800円、2級で26,500円であり、同時期の拠出制障害年金は月額水準で1級61,867円、2級49,450円であった。現在では、1級83,775円、2級67,017円が支給されている。また、現在支給されている老齢福祉年金は、全額支給の場合34,333円である。これらの水準を勘案の上で決定するのが妥当と考える。
いずれにせよ、無年金障害者の生活実態は推測の域を出ず、速やかに実態調査を実施して、これらの人達への対応を開始しなければならない。