頸損だより2002秋(No.83)

兵庫頸損連絡会準備室だより 〜医療行為って?〜


「今年の夏はなぜこんなに暑いの?」という会話があちらこちらで聞こえた夏でした。皆さんの周りではいかがでしたでしょうか。ええ!あなた自身が言い出しっぺだった。確か私も朝起きると開口一番「暑い!」と言ってましたね。頸損にとっては辛く、厳しかった今夏でしたが、体調の方はいかがですか?崩された方は無理せず身体を休めましょう。

さて、先日と言っても7月20日ですが、大阪頸損連絡会主催の勉強会が長居公園内の障害者スポーツセンター研修室で開催されました。テーマは『空洞症について』です。初めて聞く病名という方もいてるでしょう。

頸損になったとき、『頸損』って知らなかったという方がいたように『空洞症って何?』というのが正直な気持ちだと思います。当日は4人の方の貴重な経験を聞かせてもらいました。勉強会の内容報告は、事務局にお任せして、参加者としてどうだった、という感想を述べます。

まず、発表者の方全員が言われた事が共通していました。それは、身体に異常が起こり始め不安との戦いの毎日だった事。治療や手術を実施するまでに情報収集に時間がかかったこと。金属で障害部位を固定しているのでMRIが撮影できないといわれた事。今では解決できている事が当時では障害となり、治療、処置が遅れたこと。

そして必要な情報を得て治療、処置、手術ができるとわかってからも実施に躊躇した事。発表者の皆さんが言われた躊躇した理由、それは、機能低下が確実に残るということが医者の説明からもわかっていた。状態が今より悪くなるという事がわかっていながら処置をしなければならない。しかし、実施しないともっと悪くなる。さらに、実施して障害部位を取り除く事が出来ても、再発するという。再発も、1年目、2年目、3年目・・・それすらわからない。一生しないかもしれない。これだけのことがわかっていても、治すのは手術しかない。これが、空洞症の実態です。

頸損になり不自由な身体で生活を余儀なくされた者にとって症状固定の診断を受けたとき、神からのお墨付きでこれ以上悪くなる事はないと思っていました。

今回の勉強会に参加して、症状固定をしたということで省みなかった身体をしっかり見つめなおすよい機会であり、今までの考えを大きく変える一日でもありました。

4人の発表者の皆さん貴重な経験、ご意見、アドバイスを有難うございました。

お知らせ
兵庫頸損連絡会設立をアピールしてきます

来る、10月8日(火)13時30分〜17時の時間帯で、兵庫県民会館9階大ホールに於いて『第10回福祉のまちづくりセミナー』が開催されます。基調講演のあとパネルディスカッションがあり、パネリストの一人として三戸呂が参加します。テーマは『参画と協働による福祉のまちづくりの新たな展開』です。参加費は無料ですので皆さん参加してください。詳細については下記まで連絡ください。

連絡先:兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所

電 話:078−927−2727(呼)


私の一言
医療行為って?

5月より6年間お世話になった自立生活訓練センターを退所して、明石市大久保町で一人暮らしを始めました。もちろん多くの方の支援を得ての暮らしです。その中には公的なヘルパーさんも派遣されています。ある朝の事です。私は自己導尿といってセルフカテーテルを使用して排尿をしています。しかし時々、そのカテーテルが入り難い時があります。時間をかければ大概できるのですが、その日はヘルパーさんの来るのが遅く、来たときはいつもの帰る時間でした。何かトラブルがあったという事でした。私の介助を済ませて次の場所に移動する時間になっていた事もありそのヘルパーさんは少々あせっていました。そんなことはわからない私は、カテーテルを必死になって入れていました。急ぐヘルパーさんに、私は途中まで入れたカテーテルをもう少し深く入れて欲しいと頼みましたら、医療行為だから出来ない、というのです。もう少し、あと2センチほど入れる事で排尿できるのです。と、お願いしても、医療行為は出来ないの一言で手伝ってもらえないのです。これじゃ、時間がいつになるかわかりませんよ、と言っても医療行為は出来ないの一点張りです。そうこうするうちに派遣会社に電話を入れて時間に遅れる理由を話し出しました。そのうちカテーテルも無事入りその日は事なきをえたのですが、緊急時に今回のような態度を取られたらおそらく救急車を呼ぶ事になっていたでしょう。我々が生活する上で医療行為って何がどこまでを言うのでしょうね。

(文責:三戸呂克美)

戻る