頸損だより2002秋(No.83)

川畑勲絵画作品展奮闘記

川畑 勲

8月23日(金)から28日(水)まで、京阪沿線の守口市駅を下りて、京阪百貨店の前にある文化センター3階ギャラリーで川畑勲絵画作品展を開きました。僕は、中学3年生の夏休みにプールでの事故で車イスの生活を送るようになって今年で20年目に入るので、怪我をした時から絵を描き続けていたので、今回の展覧会ではすべての作品を展示しようと考えていました。8月中にすべての作品を描き上げて、額を入れに行くと、その後は、タイトル書きやチラシ配りなどをしていて、1週間前になると、主なところには電話で案内の知らせをして、当日に備えていました。

23日は準備だけですが、前の日は緊張してあまり眠れなかったです。当日の朝は10時からセッティングを始めるので、僕だけ先にガイドヘルパーさんと一緒に、電車で会場に向かい、みんなが来るのを待っていました。父と母は他の人らの車5台と一緒に絵などを運ぶので、家で待ち合わせをしていて、直接ギャラリーの駐車場に向かうことになっていました。

10時ごろになるとだんだん人が集まって来ていて、前の日に守衛さんが、今日使う材料を準備してくれていたので、手伝いの人が集まるとスムーズに準備を始めることが出来ました。自分たちだけではセッティングの順番が全然わからないので、絵の先生に指揮をとってもらい、他の人はそれに従って準備を始めることになりました。初めに小さなイラストの額を箱から出して床に並べて、絵の間隔を見ることになりました。すべて並べ終わると真ん中のパネルの仕切りを入れると、丁度1部屋に収まることが分かり、次に小さい方の部屋に水彩画の大きい額を箱から出して床に並べると、こちらの方も小さい方の部屋だけで間に合うことが分かったので、とりあえず絵の数だけ天井からワイヤーを吊り下げて行き、ワイヤーが合計で80本しかないので、パネルに飾るイラストは金具で吊すことにして、とりあえずそれに額をかけて行ったが、絵の並びで合わないものも出てきて、絵の入れ替えを行ってから、絵の高さと並べる間隔を計算して、その高さや間隔に合わせて、みんなにひも切って渡し、それに合わせて端から順番に絵を並べていくことにしました。107点のすべて飾り付けが終わると、額がぐらぐらするところにはセロテープで後ろから止めて、1時過ぎにすべての準備が終わることが出来ました。この後はみんなでおにぎりを食べて、2時ぐらいに解散して、明日からの展示に備えることにしました。

この日から3日間ぐらいは、長年なれ親しんだ生活のリズムと全然違う生活リズムになっていたので、夜中に眠ることが出来ず、体力的にもしんどかったのですが、それを過ぎると少しずつこのリズムに慣れていったので少しずつ眠れるようになって良かったです。

24日は朝10時に会場に行くと、椅子に座って待っている人がいてすぐに部屋を開けて見てもらうことにし、午前中だけで50人ぐらいの人が見に来て下さり、受け付けを頼んでいた人のだけでは全然応対が足りなかったので、たまたま一緒に絵画教室に通っていた人が見に行きてくれて、お茶の出し方や対応の仕方などの手本を見せてくれたので凄く助かりました。会場では何人か人が集まると、絵を見てもらうだけでは僕の状態が全然分からないので、実際に装具を使って、どのようにイラストを描いてるのかパフォーマンスをして、みんなに見てもらって説明をすることにしました。これだと障害があって描いているのが一目で分かるので、一番いいかなぁと思いました。絵を描いていないときは、久しぶりに会う人たちと話をしていたりして過ごしていました。昼は毎日おにぎりを食べ、夕食は7時まで会場にいたので、それまでに食事をとって、疲れが出ないように帰ったらすぐに何時間か熟睡をして次の日に備えるようにしていました。

25日は、スタッフの人数が全然足りないことが分かっていたので、近所の人に頼んで出てきてもらうことにしていましたが、午前中はまばらな人出でスムーズに行っていたのですが、昼の2時ごろを過ぎると、一気に凄い人数の人が訪ねて来て下さり、記帳してもらうのにエレベーター近くまで行列が出来ていて凄い混雑ぶりでした。この日の入りは最高で200人以上の人が見に来て下さりました。この展覧会を開くにあたって自分で読売新聞に電話をして取材をしてもらうように交渉していて20日の新聞にカラー写真で大きく取り上げてもらったので、それを見て見に来て下さる方が多かったです。この新聞に載ったおかげで以前僕が住んでいた近所の人が、その人も今は引っ越しされて音信不通になっていたのですが、新聞を見て堺の方から家族全員で見に来てくれたのでお会いできたのが30年ぶりだったので凄く嬉しかったです。この日は地元のFM局の方が生放送で取材に来て下さりたまたまそのラジオを聴いていた方が、次の日から毎日手伝ってくれるようになったので大変助かりました。

26日からの平日は12時ぐらいから毎日最後まで出ることにして、この日は以前習っていた絵画教室の日だったの絵画教室の方がたくさん見て下さり、夕方に85歳の凄く元気なおばあさんが絵を見に来ていただいたのですが、たまたま同じ時間に同じぐらいの年のおばあさんが絵を見に来ていて、会場でおばあさん同士がアッと声をあげるので何があったのか振り返ると2人のおばあさんは小学校時代の同級生で、それまで全然連絡も取っていなかったのに、顔を見てお互いに同級生であることに気づき、涙を流して抱きあっていたので凄く感動しました。

27日は疲れがピークになっていてあまり眠れてもいなかったので、絵の説明をするのも凄くしんどかったですが、何とか乗り切ることが出来、この日の晩はさすがに疲れていたので寝ることが出来て良かったです。

最終日の28日は朝から雨が降っていて人の出入りが少し少なかったですが、それでも5時までで100人近くの人が見に来て下さり、展示を終了することが出来て嬉しかったです。後片付けは20人ぐらいの人が来て下さっていたので、片付け事態は30分ぐらいで終わり、みんなにお茶を飲んで貰っている間にみんなにあいさつをして回り、いただいていた花をみんなに配って、6時ぐらいに向こう出るときには雨も上がっていて、全部で800人ぐらいの人が見に来て下さり、体力的にはしんどかったけれど、何回も友達つれて3回ぐらい見に来て下さったり、凄く気に入って下さった方は絵の会場に何時間もかけて見て回って、帰るときには涙を流されて帰られた方がいて、凄く達成感があり大成功で、やって良かったなぁと思いました。

展覧会場の守口文化センター
展覧会場の守口文化センター
すばらしい作品にみんなうっとり
すばらしい作品にみんなうっとり
中央が川畑さん
中央が川畑さん
会場の様子
会場の様子

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