頸損だより2002冬(No.84)

「街に出よう」に参加して

川畑 勲

写真追加(03.1.11)


5月26日(日)に父と母に車で長居の障害者スポーツセンターまで送ってもらい、頸損会の、「街に出よう」のイベントに参加することにしました。今日は凄くいい天気で、待ち合わせの時間が早いので、9時前に車いすに乗り、9時ちょっと過ぎに家を出ることにする。行きしなの道では、途中までは凄く空いていたのだが、阪神高速の途中で工事渋滞があり、長居に着くのが、10時前になってしまったが、まだ上に上がっても、参加者も、そんなに来ていなくて、ボランティアの人に車イスの介護方法など、講習している最中でした。車イスの者は、コースごとに別れて集まっていて、今日僕は、神戸コースが美術館の見学なので、これに参加することに決めていた。10時半すぎに、ボランティアの講習が終わり、行き先の少し説明をした後、すぐに出発することになった。

今回神戸コースに参加したのは、車イスは僕と森さん、濱本さん、鈴鹿さんで、ボランティアが、油納さん、日比さん、柘植さん、岡崎さん姉妹、乾さん、小川さん、現地で集合した吉村さんの12名だ。まずは、御堂筋線の長居駅まで行って、難波駅で、千日前線に乗り換えるのだが、御堂筋線から千日前線まで、だいぶ距離があり、途中地下道を通って行くので、シュークリーム屋さんで、シュークリームを買って行き、どちらにもエレベーターが付いていたのだが、ちょっと離れ過ぎだなぁと思います。千日前線では、野田阪神まで乗り、ここで阪神電車に乗り換えたのだが、この駅にもちゃんとエレベーターが付いていて、便利はいいのだが、御堂筋線で梅田まで出て、梅田から阪神電車に乗った方が、早く行けると思います。西宮駅までは、急行で行き、ここで特急に乗り換えて、御影駅まで行って、ここからは、各駅停車に乗って、岩屋駅まで行った。途中の乗り換えの御影駅は、ホームと電車の段差が凄くあり、乗り換えるのが大変だなと思いました。岩屋駅は、ホームに転落防止の柵があり、これはなかなかいいなぁと思う。電車の中で、イギリスの国旗を羽織った外国人がいたので、岡崎さんの妹さんが、英語で話しかけワールドカップの応援に来たことが分かり、ほとんど何を喋っているか分からなかったが、岡崎さんは流暢に話をしていて凄いなぁと思いました。結局、目的地の岩屋駅に着いたときには1時過ぎで、吉村さんをだいぶ待たせていて、吉村さんは待っている間に駅の回りの食事が出来そうなところを探してくれていたのだが、あまりぱっとしたところがなく、とりあえずすぐに食事に行けるところを探すことにしました。駅前の喫茶店では車いすはお断りと言われ、美術館の方に向かって行ったら、坂を下りたところにラーメン屋があり、そこも車イスはお断りで、この先にはロイヤルホストと、グルメシティーいうところがあると言っていたので、みんなで決をとり、どちらにするかを決めたら、グルメシティーまで行ってみようということになり、行ってみたのだが、グルメシティーとは、スーパーの名前で、隣に喫茶店とそば屋があったので、少し待ってみんなで喫茶店に入ることにしました。

店の名前は、「グライナーズ」と言い、少し待つと、席が空いたので店の中と、オープンテラスに分かれて入ることになり、僕はクーラーが付いて涼しかったので、店の中で食べることにしました。僕は、ハンバーグ定食をとり、僕のメニューは、すぐに持ってきてくれたのですが、他の人のメニューはなかなか持ってきてくれず、僕が食べ終わった時ぐらいにやっと注文していたメニューが出来ないことが分かり、もう1度注文し直すことにしたので、すごく時間がかかってしまいました。僕の食べたハンバーグ定食は、ハンバーグの上に、デミグラスソースがかかっていて、上にゆで玉子がのっているものにライスと、サラダとスープが付いていって720円だったのですが、デミグラスソースは割とコクがあってゆで玉子のトッピングも良く美味しかったのですが、ハンバーグは、量も少ないし、肉のうまみがあまり出ていなくて、もう一つでした。サラダは、フレンチドレッシングかかっていて少し酸っぱかったが、なかなか美味しかったです。付いていたご飯は凄く柔らかくて、もう一つで、最後にオニオンスープを飲んだのだが、まだ凄く熱くて、味の方は、なかなかさっぱりして美味しかったです。他の人はサンドイッチやら、スパゲティを頼んでいたが、サンドイッチは具がいっぱいで、凄く食べにくそうだったし、スパゲティはスープスパゲティなどに全然スープが入っていなくて、麺が固まっていたし、スパゲティの付け合わせのパンは、持ってくるのを忘れられていて、スパゲティを食べ終わった頃に持って来たので、店の対応が悪いなと思いました。家に帰った後、その日の晩に、「ほんわかテレビ」で、岩屋駅の近くに、韓国風お好み焼き屋の紹介をしていてすごく美味しそうだったので、前もって分かっていればそこに入れたのになぁと思うと少し残念でした。結局店には、3時前ぐらいまでいて、店を出た後、買ってきたシュークリームを皆で食べたのですが、僕は、乳製品がダメなので、他の人に食べてもらいましたが、結構美味しいと言っていました。

やっと、兵庫県立美術館に向かうことにしたが、駅から、兵庫県立美術館までは、坂が多いので、車イスでは大変だなと思う。兵庫県立美術館は、最近出来たばかりで、安藤忠雄の設計で現代的な作りをしていて、なかなかきれいな美術館だ。美術館では、常設展と企画展の「夢の美術館展」をやっていたが、この時点でもう3時半だったので、2つ見るのは無理なので、どちらか1つにしようということになり、ここで別れることにしたが全員常設展を見ることになったのだが、美術館の入場料は、大阪の場合だったら障害者手帳を見せると無料で入れるのだが、兵庫県民だけが、半額で、後は全員500円でしたので少しせこいなと思いました。入り口で全員で写真を撮った後、4時半に2階の入り口の所で待ち合わせをすることにし、ここから分かれて見て回ることになりました。入り口でチケットを渡すと、傘の持ち込みやナシだと言われたので、傘を預けて行き、見て回っていたら、感想を書くのに、サインペンを使っていたら、これの使用も認められず、鉛筆ならいいと言っていたが、結局鉛筆がなかったのでボールペンで許してもらうことになりました。

羽衣天女

まずは1階から見て回っていたが、気になった作品を挙げていくと、「羽衣天女」、天使の羽衣を羽織った女の人が翼を広げていて、天から降臨し空を自由に舞っている姿が描かれているが、凄く細くリアルに描かれていて雄大で、安らぎを与えるような絵だ。「朝」鶏の雄やハト、雲など色々な物が単純化されて組み合わさっていて抽象的でなかなか楽しい絵だ。「海を見た」遠くに海の見える風景にひとつのラッパが箱に入って大きく前面に描かれていて、シュルレアリスムみたいで、何かを想像させ、孤独な感じが受けられた。

「見送る人々」戦争に出向く人をたくさんの人が見送っていて、見送っている人の顔ばかり描かれているのだが、凄く危機迫るものがあり、劇画タッチで、熱気があって声が聞こえてきそうだ。

豚・pig・lib

「豚・pig・lib」これは絵画作品ではないのだが、上半身だけの豚のはく製に、お腹の部分が、プラスチックで作ったハムの切り身が、輪切りにされたところが見えていて、なかなか皮肉やユーモアがあって、楽しい作品だ。この作品はよく美術の番組で見たことがあるので、現物を見るのは初めてだが、なかなか良かったと思います。

「作品10-61」白黒の画面に布のしわを作った上に黒の絵の具をまき散らしていって、四角い発泡スチロールの立方体が張り付けられていて、アリの巣のようで、なかなか面白い。

「作品」画面いっぱいに文字や記号がびっしり描かれていて、何か宇宙から送られてきた電波や信号みたいで、すごく騒々しい大きな音がしているようだ。

カテドラル

「カテドラル」教会の前に群がる人々をエッチングで、描かれているが凄く細くてリアルで、一人ひとり人物の細かな表情まで描かれていた凄いなぁと思いました。「人の群れを狩り出す死」これも同じ人の作品で、火事の現場を逃げだす人々の恐怖が、がい骨が襲ってくる様子で表していて、パニックになっている様子がよく伝わってきた。

「噂」これも版画で、3人の人物が、'フの上に、口だけでデフォルメされて色々な噂話をしているところが描かれているが、唇が軽やかに空を飛んでいて、どんな話をしているのかとても楽しそうだと思う。「犬モ歩ケバ」これは、木製の彫刻で、美術館の壁から、半分浮き出てきたように置かれていて、その犬が、円運動を描いて、隣の壁に消えていくような感じで置かれていて、犬も可愛いし、永久的な無限運動を表しているようで、エッシャーの絵を立体で表しているようで、なかなか楽しい作品だ。

ここで1階は終わったのだが、2階に上がるときには、もう4時15分になっていたので、2階には小磯良平などの有名な作品が色々と展示していたので、後1時間ぐらいかけてゆっくり見て回りたいところだが、時間がないので、絵の前を通り過ぎるだけでした。

斉唱

結局小磯の作品では、「斉唱」という絵が良かったが、女の人の合唱隊が、声をそろえ、歌い出すところを描かれているのだが、凄く気品があり、見ていて飽きない絵だ。この後外に出て、傘をもらった後、集合時間まで10分ぐらいあったので売店で買い物をしていくことにしました。ここには木の置物や、アクセサリー、おもちゃなど、いろんなものが売っていて、何時間もつぶせるような楽しいところだが、僕は絵はがきだけを買って待ち合わせ場所に行くことにしました。待ち合わせ場所に着いた時には、もうみんな来ていて、濱本さんだけが、行方不明になっていたので、彼を探して、帰ることになりました。

岩屋駅で、解散することになり、この時点でもう5時になっていて、吉村さんはそのまま帰り、森さんとは御影駅で別れて、他のメンバーは特急で梅田駅まで行くことにしました。阪神の梅田駅から御堂筋線の方に行くにはエスカレーターしかなく阪神百貨店のエレベーターを使うとすれば、御堂筋線の方に行けると思うのですが、エスカレーターで、上に上げてもらうことにしました。小川さんとはここでは別れて、僕と乾さんは、淀屋橋駅で降りて京阪で帰ることにしました。結局家に着いたときには7時を回っていて、いつもより遅くなりましたが、楽しい1日でした。「街に出よう」は、好きな行事のひとつなので、来年も参加しようと思います。


戻る