頸損だより2003春(No.85)

巻頭言

決断のとき 〜いばらの道〜

松崎有己

私たちは毎日の生活において、常に物事を選択しながら生きています。今日はどの服を着ていこうかというような、ほとんど無意識のうちに答えが出せるようなことは数え切れないほどありますし、突然、重大な意思決定を求められる場合もあります。当然その中には、どちらの道に進もうかと決めかねてしまい思い悩むことがあると思います。自分の人生に大きな影響を与えるであろう事柄を選択するときには特に慎重になることでしょう。

しかし、迷いが生じる原因は、実は、ただ単に「楽」なほうに進もうとしているだけということがあまりにも多いのではないのでしょうか?正しいと思われる道はすでにあきらかであるにもかかわらず、そこから逃げてしまいたい、簡単なほうにしておこう、面倒なことは嫌だと・・。常に自分の心の声と良心に従がって行動することはとても難しいことです。大人になるにつれて、どんどんズルくなり、言い訳と逃げ道を用意してしまいます。

でもそんな時、ちょっとだけ自分に問いかけてみてください、本当にそれは自分自身が「進むべき道」なのかと?もちろん、正しいと思って選んだことが、必ずしも良い結果につながるとは限りません。むしろその「いばらに道」の途中で行き倒れてしまうかも知れませんし、その向こうにはもっともっとつらく険しい道のりが待ち受けているのかもしれません。しかし、結果がどうなるかは分からなくても、そこから逃げてしまうのではなく、あえて困難な道を選び自らの信念を貫く姿は、ずっとすがすがしく美しいに違いないと私は信じています。


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