頸損だより2003春(No.85)

「怖さをぶっ飛ばせ」

西村忠雄

僕も頚損になり早12年目に突入しました。決して楽しく過ごせてきたわけでもなく、だからと言って泣いて暮らしてきたわけでもない。ようするにあっちゅうまに過ぎてきた感じすねー。そんな中でも、痛い目や怖い目も何度かしてきたす。

今回の内容はその中でも少し怖い思いをしたことを書きます。USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)には4回ほど行きました。一応は有名どころのアトラクションにも乗りました。ETにはまだ乗ってなかったなー。初めて行ったときに乗ったのがジュラシックパークライドという簡単に説明すると急流すべりすね。なんか上がっていったなーと思ってたらいきなり「キャアアーーー」と急流すべりが始まって心の準備もしてない僕の顔は貧血寸前な顔でカメラに取られてました。しかしそれ以上に怖かったのはバックトューザフューチャーすね。まず乗りこむときから大変やったす。座ろうとしても膝が前のダットュボードみたいなとこに当たってなかなか座るポジションが決まらず、もたもたしてるうちに他の車は動き出しましたが、その間に座るポジションを決めてました。ようやく妥協しながらも乗れたのでスタート。始まった瞬間、車体は前のめりになり僕の体も「ウニャアアアアアー」と前かがみになって後は振りまわされ放題・・・早く終わってくれと祈る5分間でした。

ところで頚損の人でもUSJに行きジュラシックパークやバックトューザフューチャーに乗った人は結構いてると思うんすよ。ただ頚損になってからジェットコースターに乗った人は何人おるのだろうか? そうです。僕は乗ってきたのです。しかもギネスに載るほどのね。ふっ。

去年8月に僕は名古屋に行きました。お泊まりはいつものようにマコはん家。何泊泊まったかは過去のことなんで忘れてしまったす。一応今回泊まりに行く前から予定していた三重県にある長島スパーランドに行ってきました。行ったのはマコはんとあと名古屋の友達二人と僕とでの4人でね。名古屋から高速に乗って下道合わせても1時間程度で行けます。ついてから早速チケットを買い目的は「スチールドラゴン」です。スチールドラゴンとは簡単に説明すると高さ97メートルまで上がり68度の角度で時速153キロで疾走するジェットコースターなのです。ところが目的地に向かうと落雷注意のため一旦休止しておりそのときは乗れませんでした。仕方なくお化け屋敷に入りました。ただ、どこで「キャアー」と言えばいいのかわからないお化け屋敷でしたが・・・。そのあと「スペースショット」という乗り物が目に入りこれに乗ろうということになりました。その乗り物は椅子に座ったまま高さ75メートルまで一気に上昇するという逆バンジーみたいなやつです。

しかし乗る前にいきなりバリアーがありました。並ぶのに階段を数段担いでもらっていかなくてはなりませんでした。しかああああし 通路にはもっと意外なバリアーがありました。木の柵で通路が作られており順番に進んでいくのですが、途中通路に木が生えており車椅子の通る幅がないのです。後ろには、かなりの人が並んでおり下がるわけにもいかず車椅子を担いでなんとか通りぬけようとしましたが木と柵に引っかかって動けなくなりました。すると横からドデカイ白人のにーちゃんが現れ車椅子を上げようとしたり引っ張ったりしてくれましたがなんともなりません。どうしよかなーと思った瞬間その白人にーちゃんは僕の車椅子の胸と足にはめてたベルトをはずし僕の脇を抱えて立たせるような体制に持ち上げてくれました。「スゴッ!!俺立ってるやん」と思うほどまっすぐに 抱きかかえてくれ、その間に僕と一緒に行ったメンバーが 引っかかっていた車椅子をなんとかはずしてくれました。その間10秒から15秒。ずーと白人にーちゃんは僕の脇を抱えていました。僕は思わず「こんなん相手に戦争で日本が勝てるわけない」と思ったほどすごかった。

そしていざスペースショットに乗りこむときは係員の人が二人で抱えてくれ乗せてくれました。お尻をしっかり乗せないと間か落ちそうな感じになるのですが、逆にきっちり座らせてもらうと前のめりになります。安全バーをすぐにおろしてもらい前かがみになりながら秒読み、「3.2.1.GOOO」ビュゥウウーーーーーーーンうにょーと思ったのもつかの間あっちゅう間に75メートルまで上がりました。おもろかったなー。☆3つすよー。

それからスチールドラゴンに再びチャレンジしに行くと1時間半程の待ち時間になっており、この日は夕方からみんなで行かなければいけないとこがあったので断念しました。 ちゅうわけでリベンジとして9月にもう一度長島スパーランドに行きました。前に行った時のメンバーより一人減りましたが今回は晴天で一時休止もなさそう。(・m・)ププ。早速スチールドラゴンの乗り場へ行きました。スチールドラゴンの乗り場は正面からではなく出口からはいるように言われました。3人で行ったので一人は入り口で並びその人が乗る順番になったときに出口で待っていたもう一人と僕が出口の階段を担いでもらって直接コースターに乗せてもらう形になります。担ぐのも普通のマンション3階ほどの高さまであるので結構乗る前から怖いですけどねーほほほ

実はスチールドラゴンに乗ろうと思ったきっかけはマコはんの一言から始まったのです。僕はそれまでジェットコースターなんか頚損になってまで乗る気はなかったんですが、マコはんから安全バーなんかも上からかぶるやつで全然安心だからと言われたので乗ろうと思いました。しかしいざコースターに乗りこみ安全バーをするときに前にあるやつをお腹に当てた程度で上半身は無防備。「あら?安全バーは2本するんかな?ははーん、さすがギネスに載るだけの事はあるなー。安全装備もバッチリやねー」と思った瞬間「上からのバーないやん!!!!!!」隣にいたマコはんに「安全バーないやんかっ」と言うと「あらーおかしいなー勘違いだったか」とか言いながら本人はすでに発射に備えて心の準備をしている。一応僕が前に倒れないように手で押さえてはくれてましたが・・・ 。「ウソー!!上からの安全バーあるっちゅうから乗る気になったのにー」時すでに遅し。発射してしまいました。(殺すなら殺せ)ガタンガタンとどこまでも上っていく・・・ 。途中から前に乗っていた知らんにーちゃんが「怖い、怖い」と言い出した。「お前より俺のほうで怖いっちゅうねん」と思いながら周りの綺麗な景色など目に入らなくなっていった。そして頂上にたどり着き速度がほんの一瞬落ちた瞬間、「ズガガガガガアアアアアアアアアー」「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーー」顔が風圧で吹っ飛びそうになった。落ちる瞬間マコはんを見るとマコはんはすでに下を向いており防御体制。目を開けていた僕は落ちていく自分自身に問い掛けた。「いちびってたらあかん」と。粋がって怖いもの知らずが通じるのも健康体でこそとね。それからは振りまわされっぱなしのフニャフニャ状態でコースターが終わるまで長かったなー。再び担いで下ろしてもらい自分の電動車椅子に乗りようやく安堵感。 しかしこれでまたスチールドラゴンに乗れと言われれば乗れるようになったす。とにかく頚損で乗った人から直接感想とか聞いたことなく未知の世界やったので不安だらけでしたが、これでOK ほほほ。かなりのおもしさやったすねー。☆4つ半

あとはフリーフォール乗りました。上からストーーンと落ちる乗り物です。これも階段を担いでもらい乗り物に乗るときが狭く少し大変で乗ってからが少し待ち時間などあって不安感もあおられます。高さ45メートルまで一気に上がっていき、ほんの数秒止まっているとこれまた一気にストーンと90キロの早さで落下。あっちゅうまなので怖いと思う前には終わってますねー。☆は2つくらいかなー

もう一つ乗ろうと椅子に座るまでいったけど貧血がきたので断念しました。しかし無事に今こうして生きてるのでよかったと思ってます。ただ回転するのはさすがに乗る勇気はないすねー。どうでしょうか。以上


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