頸損だより2003夏(No.86)

「仙台の旅」

西村忠雄

今回僕は、5月29日から31日までの二泊三日で宮城県は仙台に行ってきました。一緒に行ったメンバーはうちのオカンといつもお世話になってる名古屋の人です。(以後マコはん)そもそも仙台に行くきっかけとなったのは、仙台でラーメン屋をしてるオヤジさん(以後ねぎさん)とチャットで知り合ったからです。いろいろ話して人のええ感じがしてて僕が3Dで車の絵を書いてると言えば自分の車も書いてくれと画像を送ってきました。僕も引き受けて書きました。「萩の月」と「笹かま」を送ってくれました。

ある日チャットしててラーメン食わしてくれーてゆうたら食わすから仙台に来いといわれ僕も行くといいました。まず、どこに行くとしてもさすがに僕1人では行けないので誰と行こうか考えました。僕自身、親と旅行ちゅうのがそんなに行く気がなかったのもあってオカンと旅行した記憶が、ほとんどありません。しかしいずれは親もヨボヨボになり旅行なんかに行かれへんようになればつれて行きたくてもつれて行かれへんようになるし行けるときに行っておこうと思いオカンに仙台に行くか? と聞きました。するとオカンは行くといいました。もう一人いつも僕のことをよくしてくれて家でもお世話になってる名古屋のマコはんにも仙台に行くか聞くと行くといって三人で行くことが決まりました。

出発の前日にマコはんが夕方大阪に来てオカンと僕との三人で十三にある沖縄料理の店に行きました。この店も僕は何度が行っており一応行く前は電話で予約してから行きますが突き出しのメニューで魚などあると僕の分だけは骨を取って出してくれたりする沖縄出身のええ店長の店です。

当日は朝6時過ぎに車椅子に乗り行く支度をしました。仙台へは8時40分発の飛行機に乗る予定だったので伊丹には7時半前くらいにつきました。チケット購入時には出発の20分前くらい前に来てくれれば大丈夫ですよと言われたのですが早めに行きました。ところが早めについて大正解。電動車椅子のバッテリーを調べるのに何十分もかかりかなり時間のロスになりました。もし20分前なんかについてたら間違いなく遅れてたところ です。伊丹から仙台へは1時間ほどでつきました。空港にはねぎさんが自家用のプレジデントで迎えに来てくれていました。正直僕ら三人はねぎさんと会うのが初めてでしたがすぐ打ち解けました。車に乗りこむとねぎさんが仙台名物の「ずんだ餅」をくれました。枝豆をつぶして餅にからめてあって食べると枝豆の匂いが鼻の中をフオオーと通り抜けました。 味は甘くおいしかったけどやはり好き嫌いがある味やと思います。

高速を飛ばして一路日本三景のひとつ松島に向かいました。天気もよく背景をバックに写真を撮りました。フェリーに乗り遊覧もできるみたいですがそこまではしませんでした。

そのあと民謡にも出てくる瑞巌寺(ずいがんじ)というとこに行きました。ここも景色がきれいし参道の杉がよかったす。それから食事にしようと思い適当な観光地の店に入り仙台名物の牛タンを食べました。しかあああああああーしこの店は,ただの観光地で出してる店なので牛タンはうまくなかったです。ただ観光地の店だからでしょうか。それから店を出て伊達正宗館に行きました。中に入ると東北に関係ある人物のロウ人形が結構な数置いてありました。

そして階段で二階にあがるのですが僕は借りた車椅子で回りました。二階には伊達正宗が誕生したシーンや幼少のころの物語などが音声で流れておりロウ人形も作られてました。それから徐々に正宗の成長が順路にしたがって説明されていき豊臣秀吉や徳川家康などのロウ人形もありました。二階から降りる階段は違ったのですがそこにも昇降機がありそれで一階に降りました。

それから車に乗りこみ今度は石巻(いしのまき)というところに高速に乗っていきました。石巻には漫画家の「石ノ森正太郎漫画館」があります。駐車場は漫画館の前にありそこで車椅子に乗り換えて中に入りました。中に入ると受付の女の子が009のユニフォームを着ておりさすがやなーと思いました。ちゅうかそこで働いてる女の子全員がそのユニフォームでした。残念ながらその子達と写真を撮るのを忘れてしまいました。オーマイガッ・・・1階はグッズ売り場で2階にはスロープであがりました。とにかく3階まであったのですがグルグルスロープを上る感じで途中の壁にはいろんな仕掛けもあり楽しみながら上れました。その時期はドカベンなどで有名な漫画家水島新司さんの作品なども置いてありいろいろと見て楽しめました。中でも一番感心したのが漫画家が昔集まって住んでいた「トキワ荘」というアパートの模型が置いてありましたがそのリアルさにびっくりしたすよーほほほ一番上は漫画喫茶のようにいろんな単行本が並べられておりました。ここだけでもまた来たいなーと思いました。

そして漫画館を出てから青葉城址に向かいましたが残念なことに工事中で見ることはできませんでした。それから泊まるホテルに向かい七時過ぎにチェックインしてそのまますぐ近くのモールという百貨店に4人で行きました。中にはいくつかの店がありましたが、普通に和食の店に入りました。みんなでビールで乾杯して一の蔵という仙台の地酒も飲みました。

ホテルは今回オカンがハンデキャップルームを見たいというのでペアーレ仙台というホテルのハンデキャップルームを予約していました。入り口はスライドドアでトイレと風呂はくっついており中は広かったです。洗面台も車椅子の高さに合わせてたと思いますが比較的甘い感じのハンデキャップルームやったと思います。もしバンバンがいてたらホテルマンに文句ゆうてたかも・・・ふふ次の朝に僕はオカンとマコはんに風呂に入れてもらいました。ちゅうても地面に円座を置きその上に座る感じであとはシャワーで流してもらうようにした程度です。そして支度をして朝の10時にホテルの前でねぎさんと待ち合わせしてたので下りました。

その日向かったのは蔵王のお釜というとこでした。五色沼という名前で通称「お釜」らしいのですがそこは噴火口にある水溜りで直径が330メートルあるらしいです。それに標高1800メートルの位置にあり車で登っていくと気温も涼しくなり夏でも20度以上にはならんらしいので冬に降った雪がまだ溶けずにあちらこちらに残ってました。到着し車椅子に乗ろうとしたら気圧の加減でロホクッションがパンパンになってました。がはははははははそこからは車椅子で山を登り、さらに御釜まで下っていかないといけないのですが、岩がボコボコしており 車椅子1人ではきついくらいの傾斜と道の悪さでした。でもたどり着きお釜を見れたときは感動でした。周りは岩盤みたいになっており水はエメラルドグリーンに似た色をしてました。すごく綺麗でした。お釜につく途中の近くにあった 菅生(すごう)サーキットの入り口にも寄りました。中に入るのは入場料がいったしレースしてないから入り口まででしたが練習走行でバイクが走ってる音は聞けたのでよかったです。

それと遠刈田(とおがった)というとこで「みやぎ蔵王こけし館」にも寄りました。東北はこけしも有名みたいで中に入ると数百体 のこけしが置いてありました。そして なんとマコはんはこけしの色付けにチャレンジしました。教えてくれた名人が宮城弁バリバリのおじーでおしゃべりも面白くてやさしくも厳しく教えてもらい元来器用なマコはんはうまくこけしの顔や模様を書けました。しかしマコはんは自画自賛しまくるとこがちょっと怖いですが・・・z

それから次に山形のさくらんぼうを見に行くことにしました。山を下って行くと途中で日本カモシカと遭遇しました。山形に入ったとこらへんで雨が降ってきました。しかし山形はさすがにさくらんぼの産地だけあって周りはさくらんぼうの木だらけでした。 ただ僕らが行った時期はまだハウス栽培のやつだけで高いものしか売ってませんでした。途中でその農家で作ってる100パージュースを買ったのですが味が濃縮されておりリンゴジュースもぶどうジュースもおいしかったなー。それから仙台方面に向かいねぎさんの経営してるラーメン屋に向かいました。ねぎさんは僕らのために三日間店を休んでくれ若い人らに店をまかせていました。 いろんな 障害のある人らと接しており店も入り口から近い 駐車スペースを障害者用にしてあり入り口もスロープになってました。トイレもスライドドアにしてあり車椅子のメンバーはもちろん手がうまく使えない人でも、うまく使えるようにセンサーで反応して流れるトイレにしてました。カウンターも車椅子の人が来ても高くないように少し低めに作ってありました。とにかくやる限りは徹底的にといった感じでゆうてました。

僕たちは一番奥のテーブルに座りました。実は出かける前から「らーめん ねぎっこ」のホームページを見て食べたいラーメンを選んでましたが当日まで決めきれず悩みまくってました。ちなみにねぎさんとは「らーめん ねぎっこ」という店の名前から取ったもので、 本名は洞口(ほらぐち)さんです。仙台に着いてからずーと聞かされてた辛くて汗をかきながらでも最後のスープまでみんな飲み干すほどおいしくて、これを選ぶ8割は女性という「からしネギミソラーメン」にしました。ラーメンの上に乗ってるゆで卵はねぎさんの知り合いがやってる養鶏場から取り入れており竹炭を混ぜたエサで育った鶏だそうで、これを毎日食べていると長年患っていた糖尿病がほぼ完治したといって、ねぎさんのオカンが喜んでたらしいです。とにかくラーメンのダシにもとことんこだわっており、しょうゆラーメンのダシを飲むと普通のしょうゆとは違う感じがしました。しかしこだわりすぎてこのウマサがわかる客が果たして何人いるだろうか・・・めちゃめちゃうまいラーメンでした。はっきりゆうてラーメン好きは飛行機に乗ってでも食いに行けと言いたいですねーほほほ 食べ終わってからホテルまで送ってもらいねぎさんは帰りましたが僕ら三人はまたホテルの近くのモールに次の日の朝ごはんを買いに行きついでに店の中を見て回りました。

最終日はホテルを朝10時にチェックアウトしなければいけなかったのですがそのことを忘れてて前の日にねぎさんと昼の1時にホテルの前で待ち合わせしてしまいました。載っていた番号に電話するとねぎさんが出ました。そしてチェックアウトのことをいうと地下鉄で仙台市内に出ろとのこと。それから1時くらいにいてる場所を携帯で知らせ落ち合おうと約束しました。地下鉄はモールのすぐ横にありエレベーターで改札まで下りれたのですが電車に乗るため駅員さんに板を用意してくれとたのむとそんなものはないと言われました。エレベーターで下りて電車を待ってたけどなかなか大阪の御堂筋線ほど早く駅員さんは来てくれませんでした。電車に乗るときには駅員さんが後ろから押してくれました。僕らが乗った駅が長町南というとこで仙台までは6つ目ほどでした。駅から地上に上がるときに少し迷いましたがいざ上がると都会でした。ほほほ とりあえず僕らは青葉通りという道を歩いてクリスロードという商店街に入りスターバックスコーヒーがあったので入り一服してました。そして出ようとしたときにねぎさんから電話があり百貨店の入り口で待ち合わせしました。商店街は非常に広くきれいで景観賞みたいなもんももらってるらしく夏には七夕祭りでその商店街の中をパレードするため天井もオープンになるそうです。

しばらく歩いていきねぎさんにどこに向かってるか聞くとうまい牛タン食わしてやると言いました。初日に食べた牛タンは確かにうまくなかったので今度は期待しました。着いた店は仙台で一番初めに牛タン屋を始めたという老舗の店で「太助」という名前の店でした。入り口に段差があったのですが強引に持ち上げれば入れました。僕らは入り口近くのカウンターで食べることにしました。注文したのは牛タン定食とノーマルで攻めました。

しかしいざ食べてみると初日に食べた牛タンの100倍うまかったです。テールスープも麦飯も漬物もすべてうまくて感動しました。あとでねぎさんがゆうてたけどここは滅多に入れないといってました。非常に有名な店でいつも並んでいて入るのに何十分も待たなければいけないそうです。考えてみると今回の旅行で混んでてゆっくりできなかったというとこはひとつもありませんでした。すべてが順調の旅で今思えばラッキーだったという以外にないですねー。

食べ終わり、車を止めている駐車場まで行き車に乗り込むと次は仙台土産を買うためにねぎさんお勧めの「笹かま屋」に向かいました。そこは工場の横が販売所になっており中に入ると作りたての笹かまを店員さんが持ってきてくれました。焼きたての笹かまもうまかったです。笹かまといっても種類は豊富で中に野菜やチーズが入ってるやつや牛タン入りなんかもあり僕が気に入ったのは豆腐笹かまでした。歯ごたえが普通の笹かまよりフワフワで味もほんまうまかったです。オカンとマコはんが選んでるあいだに僕は店内を見ながらお茶をすすってました。笹かまは通販でも買えるし発送もしてくれるので何曜日の何時くらいにとこちらの都合のええ日に持ってきてもらえるので手荷物にならずにすみました。

帰りの飛行機は夕方の6時25分仙台発だったので空港には5時過ぎに行こうと思ってたのですがまだ時間もあったので近くのスーパーに行って宮城名物「萩の月」というお菓子も買いに行きました。それはスポンジケーキの中にまろやかなカスタードクリームが入ってあり誰にあげても当たり障りのないお土産です。それも発送してもらえるようにしました。そこから空港までは15分ほどでつきました。車椅子に乗り換え荷物も忘れずに持ち空港内へ入りました。マコはんは帰り新幹線で東京に行く予定だったのでねぎさんと二人で空港でさよならしました。行きと違い電動車椅子のバッテリーのチェックはそんなに時間もかからず出発時間までは約1時間ほどあり空港の少しうろうろしていました。それから飛行機に乗り夜の8時ごろに伊丹空港に到着。帰りの車の中ではラジオで阪神戦がやっておりその日も阪神が勝ち最後まで気持ちのええ旅行でした。

今回お世話になったマコはんとねぎさんにはほんま感謝です。ちゅうかねぎさんがいてないとここまでいろんなとこは回られへんかったと思うし三日間で500キロしか走ってないとねぎさんはゆうてたけど高速代にガソリン代などかなり払ってもらったしラーメンもおごりやったし牛タンにジュース代やらなんぼ払わすねんてくらいやったす。旅行て行く場所も大事やけど行く人や出会った人がいいか悪いかで大きく変わるし自分自身が楽しむぞーという気持ちも大切やと今回思ったす。僕なんか運転どころか自分で着替えもでけへんけどできる人が気持ちよくやってくれることで僕も気持ちよくなる。その人に感謝してお礼する方法はこっちも楽しんで笑顔で接すればプラマイゼロになるんやないかなー。みんなありがとーさて次はどこに行こうかな。ほほほ


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