頸損だより2003秋(No.87)

『無年金活動の報告と予定』


無年金障害者問題については、現在、裁判による解決と議員立法による解決の両面で運動をしています。裁判のほうは全国8地方裁判所で行なわれており、原告側被告側双方の準備書面が出揃い、早いところでは証人及び原告尋問まで進んでいます。

議員立法については、超党派の衆参国会議員による無年金障害者問題を考える議員連盟では、議連事務局長でもある黒岩宇洋参議員を中心に次期通常国会に提出する法案を作成中です。

訴訟論点は、社会保険方式=保険理論であるから未加入者には払えないということ、学生を被保険者としなかったこと(理由(1)学生には保険料の拠出能力がない、(2)卒業後は被用者年金に加入する、(3)保険料が掛け捨てになる)、任意加入制度の広報が、昭和34年以降の大阪市の広報誌を悉皆調査した結果に基づき、専業主婦については記載があったが、学生等については不十分であったということなどです。

これらのことについて、私保険との違い、制度発足時から無年金障害者の発生が予見可能であったこと、周知徹底義務の法的根拠などを主張し、証人、個々の原告について弁論をしていく予定です。

「裁判報告」

学生無年金障害者訴訟第9回弁論

雨天にもかかわらず傍聴席は7割ほど集まっていただき御礼申し上げます。傍聴者が多いほど世論の関心があるということで、勝訴への近道、これからも傍聴支援のほど宜しくお願い致します。

被告側
→原告が前回提出していた再度の求釈明に対する応答。
「学生は被用者年金の体系にあり、国民年金の体系の枠外にあった」との主張を展開してきました。
原告側
→国民皆年金の理念の理解の仕方について、原告と被告の主張の違いを整理するとともに、原告の主張する国民皆年金の理解が正しいことを社会保障制度審議会の昭和25年勧告や昭和37年勧告を参照にしながら主張するとともに、これまでの制度改正の経過についても国民皆年金の理念の実現を図るものとして主張しました。

次回の予定

被告側:
原告準備書面(11)への反論
国民皆年金について原告側との相違
原告側:
被告準備書面(6)への反論、追加の主張

なお、弁護団としては次回で主張を完了したいと考えており、今後は、立証(学者、実務者、運動家と原告訊問等)を展開することになります。


(備考)
ボランティア及び、皆さんのお知り会いの方で、20歳以上の学生等の方は、国民年金を納付されている、または猶予、免除手続きを取られているかどうか確かめて下さい。
(老齢年金の不支給、無年金者になる可能性がありますので、ご注意を!)
【問合せ】
谷川信之 danbo525@ybb.ne.jp

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