頸損だより2003秋(No.87)

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「愛の方程式」


さて、問題。合コンに参加した人がみんなカップルになる方法は? 答えは「ナッシュ均衡理論」。すべてのスポーツの結果は「勝者」と「敗者」に分かれますが、合コンでみんながいい思いをする、つまり、参加者全員がカップル成立=「勝者」になるためにはどうしたらいいか?ということを考えた末に思いついたのが数学者のナッシュ氏がノーベル賞経済学賞を受賞するキッカケとなった「ナッシュ均衡理論」なんです。

映画「ビューティフル・マインド」はその理論を発表した天才数学者、ジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニアの半生を描いた作品なんです。「すべてを支配する真理を見つけたい」という野心から数学の研究に没頭する彼は天才ゆえの孤独とか才能に行き詰まる苦悩から精神に異常をきたしてしまうんですね。その病を克服できたのは愛する妻、アリシアの存在でした。「宇宙の大きさは?」と問う彼女に、「無限さ」と彼は答えるんですが、そのとき彼女は「愛も同じよ」と微笑むんです。そんな大きな愛でどんなときも優しく温かく包み込む彼女の存在があったからこそ、彼は数学者として世に認められたんじゃないかな。一人の天才の数奇な運命を描いたヒューマンドラマでありながら、「信頼」という絆で結ばれた夫婦愛の物語でもあるんで、見終わった後は熱く静かな感動で胸が一杯になりました。

君がくれたもの…それは人生で何よりも大切な「愛」と「信じること」の勇気。未だ「愛の方程式」を見つけられないでいる僕にもいつか"春"がやって来るのかな?(苦笑)。お互いに支え合い、喜びも苦しみも悲しみも分かち合う…。「1+1」が「2」ではなく「∞」になるような、そんな愛を見つけたいと思う今日この頃、その前に美しい心を持たねば…。彼が後ろから彼女の指で星を指すシーンがすごく気に入りました。これはマネしたいぞ(苦笑)。


「ビューティフル・マインド」('01アメリカ)
監督:ロン・ハワード(「アポロ13」「身代金」「バックドラフト」ほか)
出演:ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリーほか

<ストーリー>

大学院で変人扱いされるほど数学の研究に没頭するジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)は「真に独創的なアイデアを見つける」という野心に燃えていた。ある日、彼は才能が認められ、世界平和のために国防省の諜報員パーチャー(エド・ハリス)から極秘任務としてソ連の暗号解読を命じられるが、一方で「統合失調症(精神分裂病)」という病を患った。彼は現実と幻覚の区別がつかなくなっていた…。

2002年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、助演女優賞ほか受賞。(ビデオレンタル中)


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赤尾"映画中毒"広明

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