頸損だより2003冬(No.88)

「嗚呼 阪神甲子園球場」

西村 忠雄

2003年 大阪の街は熱く燃えた。阪神タイガースが18年ぶりにセリーグのリーグ優勝を果たしたからだ。それは夢が現実となった真実である。

18年前、阪神は日本シリーズで西武と対戦し4勝2敗で日本一に輝いた。強かったあのころが懐かしい。それからの阪神は18年間で最下位が9回。Aクラスに残るのも少なかった。阪神ファンはいつしか応援も意地になり甲子園での応援は野次へと変わっていた・・・

しかし弱い阪神との決別がやってきた。2001年、野村監督の交代で前中日の監督をしていた星野仙一が阪神の監督を引き受けたのだ。星野監督は選手一同に向かって「優勝を目指すチームにしよう」と言った。

そして開幕戦。2002年3月30日 なんと宿敵巨人にエース井川が6安打1失点の3-1で勝利。それからは破竹の7連勝。誰もが今年の阪神は一味違うと思った。そして優勝の文字が。だが毎年阪神は5月まで調子がいいが、それからはズルズルと負けていきファンの期待を裏切ってきた。そのいやな予想は的中。6月はなんと4勝13敗。やはり星野監督といえども阪神を変えることは不可能なのか!誰もがそう思った。結局この年は最下位を免れたものの結果は66勝70敗の4位。

2003年の開幕戦はもちろんエース井川で横浜との対戦。しかし予想にもしなかった初戦を黒星スタート。今年もやはりダメなのか。誰もが重い雰囲気に包まれた。とにかく一つ一つの試合に勝つしかない。それから5月が終わるまでの成績は35勝16敗と貯金を19貯めている。いよいよ魔の6月・・・果たして今年の阪神はどうなのか!なんと6月が終わってからの成績は50勝21敗と貯金を29に増やす。低迷して最下位が続いたときにはシーズンが終わったときの勝ち数が50勝前後だったのに比べるとすごいことである。

僕は今年、甲子園には2回行きました。もちろん阪神の応援に。去年は大阪ドームの応援には行きましたが甲子園には行きませんでした。家から両球場の距離を比べると当然大阪ドームのほうで近いんですが乗り換えなど考えるとあまり時間の差はなかったです。十三から阪急電車で梅田に行き阪神電車で甲子園まで行きます。甲子園の駅はエスカレーターしかなくホームの幅も結構狭いんで車椅子で行くと駅員さんが大変そうですが、甲子園に来る車椅子の利用者はたくさんいます。駅から甲子園までは歩いて数分。ちゅうか駅から出れば目の前に見えています。甲子園の観戦席は53000人収容。しかし車椅子席は1塁側と3塁側合わせて24席です。これでも今年から8席増えたみたいですが、今年のように阪神が強いときはとても24席などでは足りません。特に巨人戦のチケットを取ることは不可能に近いです。それこそ身障者手帳を見せればチケットは買えるので買いに行くのが大変な人は健常者に手帳を渡して買ってもらうほうでいいかもしれません。

チケットを見せて中に入ると係員が付いてきてくれます。スタンドに出るとき急な角度のスロープを登るので係員が後ろから支えてくれます。そして席まで案内してくれます。観戦するとこはネットのまん前なので少し見づらいです。しかし甲子園の芝生は綺麗で目の保養になりますよーほほほ。

観戦したのは広島戦とヤクルト戦なんですが、ヤクルト戦では1番セカンド今岡の初球先頭打者ホームランも見れました。とにかく今から今岡の応援をするぞーと思っていた瞬間に白球が「スパーーンッ」と目の前を飛んでいきました。「ええー!?」と思っていると甲子園にいた52950人の阪神ファンが一斉に歓声を上げました。「まさか入るとは」ってな感じで驚きました。結果は7−2と快勝。そして運命のマジック点灯が次の日の岡山県の倉敷マスカットスタジアムでつき、それから1度もマジックの灯を消すことなく阪神は9月15日、優勝しました。まさかが現実、夢が叶う。毎年涙をのんでいた阪神ファンは今年、歓喜の涙を流した。

日本シリーズを目前に控えていた10月17日星野監督が体力の不安からとのことで今期限りで阪神の監督を勇退することを発表。誰もが耳を疑った!しかしシーズン途中の体調不良などはファン一同知っていたことであり、どうしようもないことである。

日本シリーズでは初戦と二戦目を敵地、福岡ドームでゲームが行われ2敗する。このままズルズルといくのか・・・しかし聖地甲子園に帰ってくると違っていた。阪神は2夜連続のサヨナラ勝ちに第5戦も3−2で3連勝。やはり甲子園は特別な球場である。あの大きな球場ではほとんどの阪神ファンが声をからし必死で声援を送る。選手もそのパワーを貰い不思議な力を出せる感じがするという。

そして3勝2敗で再び福岡ドームでの試合が行われた。結果は2連敗し、2勝4敗で福岡ダイエーホークスが日本一に輝いた。

星野監督は一度も日本一に輝いたことはなかった。そしてこのままユニフォームを脱ぐことになったが後任の岡田監督が再び夢を叶えてくれることを信じている。いつかまた再び甲子園で胴上げを見れる日が来ることを、1ファンとして念願している。

来年も甲子園へは勇気と感動を貰いに行きたいと思う。


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