無年金障害者問題については、現在、裁判による解決と議員立法による解決の両面で運動をしています。裁判のほうは全国9地方裁判所(札幌・盛岡・新潟・東京・京都・大阪・岡山・広島・福岡)で行なわれており、原告側被告側双方の準備書面が出揃い、証人尋問=原告・家族・学者・医師・運動体関係者等が各地裁で行なわれています。
東京地裁では、今年3月24日(水)午後1時25分開廷時に一審(地方裁判所)判決が出される予定です。
大阪地裁でも、原告11名の証人尋問が4月中旬から順次行なわれる予定で、各原告の意気も大いに上がってきています。
議員立法については、超党派の衆参国会議員による「無年金障害者問題を考える議員連盟」では、議連事務局長でもある黒岩宇洋参議院議員を中心に議員立法提出に向けて活動しています。
原告側⇒ 立証計画を提出。
他の裁判所での証人採用状況をふまえて、大阪訴訟では次のとおり立証を計画しています。
今年4月からの4回の裁判(連続した開廷を要望している)で原告本人(または家族)の証人尋問(一人あたり主尋問30分〜45分)を開始し、その後に学者(田中先生には他の裁判所での尋問調書を補充・解説してもらうことも含め尋問予定)・医師・運動体関係者等の証人尋問が裁判所に認められれば順次行なわれる予定です。
11名の原告の内訳は、頚髄損傷者4名・脊髄損傷者3名・精神障害者2名・脳挫傷後遺障害者と視覚障害者各1名で、年齢の若い順から行なわれる予定です。
被告側 ⇒「証人尋問については、いずれも必要なし」との意見であり、原告ないしその家族については、生活実態と法解釈は関係がないから。学者や運動体については、意見書で必要かつ十分だからと述べた。詳細な意見は他地裁での尋問調書を見てから述べるとしている。
また、被告側として立証計画は予定していないとの意見です。
被告側は第8準備書面を提出し、原告準備書面12への反論で、「国民年金は自身の生活のための貯蓄の制度」と言い切る国側主張を昭和25年勧告の国民皆年金の理念や国庫負担の所在等の具体例を挙げ私保険と異なる社会保険の特徴を示し批判したのに対する再反論で、「原告主張は社会保障制度の設計に関する一つの考え方、立法論にすぎず、法解釈論として何らかの法的効果を導き出すことはできない」と、従来の立法裁量権論や拠出制保険原理の採用論を繰り返し、「違憲の問題」は生じないとしています。
原告側→ 証拠申出書を提出、11名の原告本人尋問(含・家族の証人尋問)の申請をし、主尋問時間各45分ずつの予定です。(個人的事情以外に運動の経緯を証言する2名については各90分)。1開廷3名ずつの予定で、全4開廷で原告本人尋問を実施するように申し入れました。
被告側 ⇒第9準備書面を提出、「年金制度体系論」についての再反論と「任意加入制度の位置づけ」についての再反論です。
「障害年金不支給決定の取消し及び損害賠償を求める訴訟」の早期判決を求める要請署名
・京都地裁訴訟について
http://munenkin.at.infoseek.co.jp/syomei-k.html
http://munenkin.at.infoseek.co.jp/book.html#nenkin
「あってはならない存在」−学生無年金障害者−
編集:学生無年金障害者京都訴訟を支える会
学生障害無年金者はなぜ生まれたのか、無年金障害者を救済する法理はどこにあるか。 本書(あってはならない存在−学生障害無年金者−)、この問題に正面から答えている。
京都地裁で審理が進んでいる学生無年金障害者京都訴訟のなかで生まれた本書 は、当然のことながら運動、闘いの書であるが、同時に水準の高い学術の書ともなっている。また、本書は無年金障害者門題解決を直接の目的としている書だが、同時に、国民的課題になっている「年金改革」の闘いにも役立つ書となっている。 それはなぜか。本書の中心をなす「田中意見書」(龍谷大学社会学部助教授の田中明彦さんが、学生無年金障害者京都訴訟の原告・弁護団の求めに応じて執筆した文章で裁判の証拠として採用されている。)が、「国民皆保険」をいかにして実現するかの立場を貫いているからであり、そのために膨大な資料を丁寧に読み込んでいるからだ。年金、社会保障・福祉、この社会の行く末に関心を持つすべての人に読んで欲しい。
(山上周一氏書評)
「年金がない・知ってほしい無年金障害者のこと」
編集:学生無年金障害者訴訟全国連絡会
重度の障害を負いながら障害基礎年金を受給することができない障害者たちがいます。どうしてこういうことが起きたのか!?
当事者の体験談とともに年金について、無年金について判りやすく解説してあります。
ボランティアおよび皆様のお知り会いの方で、20才以上の学生等の方は、国民年金を納付されている、または猶予・免除手続きを取られているかどうかを確かめて下さい。
(老齢年金の不支給、無年金者になる可能性がありますので、ご注意を!)