無年金障害者問題については、現在、裁判による解決と議員立法による解決の両面で運動をしています。裁判のほうは全国9地方裁判所(札幌・盛岡・新潟・東京・京都・大阪・岡山・広島・福岡)で行なわれています。
東京地裁 身体障害者訴訟 勝訴判決!!!
その最初の判決が3/24に出されるということで、朝8時新大阪駅発の新幹線で上京し、警備厳重な霞ヶ関の東京地裁に着き、「敗訴の中に一部勝訴の文言でも入ってくれる」ことを期待して入廷しました。
藤山雅行裁判長は、平成元(1991)年の国民年金法改正によって、20才以上の学生が強制加入とされる以前に重度の障害を負って無年金障害者となった元学生の原告らの請求を、ほぼ全面的に認める原告側勝訴の判決を下しました。
内容は、原告らについて是正すべき立法措置を何ら講ずることなく放置したことは平等原則(憲法14条)に違反するとして、立法府である国会がおよそ20年の長期にわたって学生無年金障害者問題を放置してきたことを、故意による不作為(立法不作為)であると断罪し、直ちに平等権を回復すべく立法措置をとるよう求めた判決です。
閉廷後の法廷内はVサインの弁護士、バンザイする者ありで、「違憲判決勝訴」という歓喜の渦にいることを実感しました。
議員立法については、超党派の衆参国会議員による「無年金障害者問題を考える議員連盟」が議員立法提出に向けて活動しています。
また、与党年金制度改革協議会(大野功統座長)にヒアリング及び要請を行ない、議員立法による救済をお願いしました。
しかしながら、与党協や坂口厚生労働相の提示している「福祉的措置=手当案」については、支給額、法定免除、施設入所等の方への支給制限など懸念すべき項があり、また、対象が学生、専業主婦、在日外国人、在外邦人、未納未加入者の全無年金障害者なのか、一部だけなのか、今後の国会情勢から目が離せない状況であり、ますます国会要請運動が重要になります。
これからも、FAX、ハガキ、厚生労働省前でのリレートーク運動などを通して、無年金障害者の早期救済を訴えていきたいと思っており、皆さまにはご支援ご協力のほど宜しくお願い致します。
衆議院厚生労働委員会で泉房穂議員が無年金障害者問題について質問
弁論更新手続
裁判長が交替した(山田知司氏→西川知一郎氏)ため、従前の弁論手続をもう一度あらためて説明する手続をしました。
N弁護士からは、原告11名のプロフィール、国民年金制度の解説、障害年金についての解説、無年金者が発生する構造的仕組み等について、とても分かりやすく説明がなされました。裁判長も話を聞きながら六法全書を開いて、推測ですが、国民年金法30条の規定(障害年金の支給要件)を確認していたようです。
S弁護士からは、裁判の法的な主張の骨子を、これも分かりやすく解説がなされました。過去の国会審議の中での重要な政府答弁については、具体的に引用して、裁判長に対して、国の立法不作為責任を強く印象づけたのではないかと思います。
3名の原告本人尋問
東京地裁勝訴後と一審最大の山場の裁判で大法廷の傍聴席は満席で、傍聴支援は、被告側及び裁判官に「重大な裁判で世論の関心が高い」ということを示したものと、原告・弁護団共に有難い思いです。
Iさん
トップバッターとは思えないくらい落ち着いて、はっきりとした口調で証言され、受傷直後の病院が遠方だったので自身の医療費や付添家族の滞在費など費用負担が大きかったこと、また年金と生活保護の違いについても話されていました。「障害年金がない」というフレーズを口にする時に必ず国の代理人の目を虎視していた感を受けました。
国の反対尋問は、市や府の広報誌を読んでいたかどうか等でした。
Dさん
とても落ち着いた口調でしっかりと証言し、全身状態(特に褥創の危険性)について、将来的な生活の基礎になるのは障害年金であり、現在、母自身の収入から支援を受ける辛さを訴えておられました。
国の反対尋問は、市や府の広報誌を読んでいたかどうか、生活保護を受ける意思はないのか等でした。
Kさん
あまり体調が優れない様子で、尋問を始めるにあたって、担当弁護士から「しんどくなったら、遠慮なく、言って下さいね?」との質問に対して、力強く「はい!」と答え、なんとか最後まで頑張って証言されました。
国の反対尋問は、なし。
裁判官(左陪席)から、「服用している薬の名称は?」という意図不明の質問がありました。
「年金がない・知ってほしい無年金障害者のこと」
編集:学生無年金障害者訴訟全国連絡会
重度の障害を負いながら障害基礎年金を受給することができない障害者の人達がいます。どうしてこういうことが起きたのか!?
当事者の体験談とともに年金について、無年金について判りやすく解説してあります。
ボランティアおよび皆様のお知り会いの方で、20才以上の学生等の方は、国民年金を納付されている、または猶予・免除手続きを取られているかどうかを確かめて下さい。
(老齢年金の不支給、無年金者になる可能性がありますので、ご注意を!)
谷川 信之 TEL/FAX:06-6462-3874 danbo525@ybb.ne.jp
学生無年金障害者の年金支給を実現する関西の会