頸損だより2004秋(No.91)

巻頭言

勇者とは?

〜それぞれの金メダル〜

松崎有己

先日あるテレビ番組に、私の好きなミュージシャンがゲストで出演していました。自分にとっては雲の上の存在というか、天才ギタリストというイメージが強かったのですが、やはり生まれながら天才という人は滅多にいないらしく、相当努力した結果、現在のスキルとポジションを獲得されたようでした。その話を聞いて、それまで思っていたよりもその人のことがかなり身近に感じられました。自分も学生の頃に少しだけギターをかじったことがあるのですが、最初はみんな弾けないのは一緒なんだなと(あまりにも当たり前のことなのですが)今更ながらに納得していました。

そしてその番組の最後に、好きな言葉が一つあると言って教えてくれました。「幸運は勇者に味方する」彼はそう言いました。この言葉を聞いて、以前にも聞き覚えのある言葉なのですがとても強く心に残りました。勇者とはどういう人を指すのでしょうか?皆さんはどのような人をイメージしますか?

話は変わりますが、この夏はギリシャでオリンピックが開催され、多くの日本人選手がメダルを獲得しました。しかし私の周りには「オリンピックに出ようと子供の頃から頑張った」という人はあまり聞いたことがありません。恥ずかしながら自分自身、子供の頃を思い返してみると、何か一つの夢に向かって努力しようとしても、「どうせ無理に決まっている」「夢を実現できるのは一握りの人間」「努力するだけ無駄だしかっこ悪い」というようなネガティブな雰囲気に流され、何か一つのことに「死に物狂いで」立ち向かっていったことがありませんでした。

金メダルは獲れなくてもいい、でも、目標に向かって精一杯努力してみること、持っているすべても能力と情熱を傾けてみることができる人こそが、真の勇者なのでしょう。そしてその結果、「金メダルを手にしていることもある」というくらいが正解なのだと思います。

そういった意味で、きっと昔はもっとたくさんの勇者が存在したんだろうと思います。今はみんな簡単にあきらめるのが得意です。(もちろん自分も含めて)今からでも遅くはない目標に向かって・・・といいたいところですが、まずはその目標を探さねば。トホホ。少なくとも自分にとっての金メダルが、ミュージシャンになって成功することではなさそうですが(;^_^A


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