無年金障害者問題については、現在、裁判による解決と議員立法による解決の両面で運動をしています。裁判のほうは全国9地方裁判所(札幌・盛岡・新潟・東京・京都・大阪・岡山・広島・福岡)で行なわれています。
3月24日の東京地裁に続いて、10月28日に新潟地裁でも勝訴判決が出ました。
新潟年金違憲訴訟 原告が勝訴 憲法違反、賠償とも認定
(毎日新聞) - 10月28日17時28分【鳴海崇、前谷宏】
20歳を過ぎた学生時代に障害を負った新潟県在住の男性2人が、国民年金未加入を理由に障害基礎年金が支給されないのは憲法違反だとして、国側に不支給処分の取り消しと計4000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、新潟地裁であった。
犬飼真二裁判長は「20歳以上の学生と、それ以外の20歳以上の国民の間に生じた区別は不合理な差別で、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」と述べ、85年に改正された国民年金法の規定を違憲とする判断を示した。そのうえで、救済措置を講じずに放置した「立法不作為」による国の賠償責任を認め原告に総額1400万円の賠償を命じた。
「学生無年金障害者訴訟」で、国民年金法の規定を違憲と認定したのは、今年3月の東京地裁判決に準ずる判断。東京、新潟両地裁の判断は、来春から判決が相次ぐ見通しの他の7地裁の訴訟に影響を与えそうだ。
訴えていたのは新潟市関屋金衛町、社会福祉士、遁所(とんどころ)直樹さん(41)と新潟県三条市上保内乙、しんきゅう師、阿部正剛さん(37)で、2人はそれぞれ24、21歳の時、事故で重度の障害を負った。
判決は、1959年に制定された国民年金法が違憲状態になったのは、85年の改正時と指摘。この時の改正では任意加入しない限り、20歳以上の学生が障害基礎年金を受け取れないという差別が生じていたことが分かっていながら、是正されなかったと指摘した。
不合理な差別を是正する措置が一切取られなかったことについて「立法の不作為は明らか」と断じ、国家賠償請求を認めた。不支給処分の取り消しについては棄却した。
学生無年金障害者を巡る裁判で、4人が提訴した東京地裁は、今回同様、国民年金法の規定を違憲としたうえで立法不作為も認め、原告3人への総額1500万円の支払いを命じた。原告・被告双方が控訴した。原告1人は不支給処分の取り消しが確定した。
無年金障害者救済の議員立法「特別障害者給付金」については、与党案と民主党案が6月の国会で提出され、今秋の臨時国会で協議される予定です。
与党案(年金制度改革協議会:大野功統座長)は、支給額、法定免除、施設入所者等の方への支給制限など懸念すべき項があり、また、対象が学生、専業主婦だけに限定され、在日外国人、在外邦人、未納未加入者の全無年金障害者の救済がいつなされるのか未定の不十分な案です。
民主党案でも、完全とは言えませんが、与党案よりもはるかに良い方向性が示されており、超党派の「無年金障害者を考える議員連盟」の案にも近いものです。(提出案の比較表をご参照ください。)
今後の国会情勢から目が離せない状況であり、ますます国会要請運動が重要になっています。これからも、FAX、ハガキ、厚生労働省前でのリレートーク運動などを通して、無年金障害者の早期救済を訴えていきたいと思っており、皆さまにはご支援ご協力のほど宜しくお願い致します。
左陪席(傍聴席側から見て右側)裁判官が転勤のため交代になりましたので、弁論更新(新任裁判官を含む傍聴者に今までの裁判経過を弁護側が述べる事)がなされました。
「年金がない・知ってほしい無年金障害者のこと」
編集:学生無年金障害者訴訟全国連絡会
重度の障害を負いながら障害基礎年金を受給することができない障害者の人達がいます。どうしてこういうことが起きたのか!?
当事者の体験談とともに年金について、無年金について判りやすく解説してあります。
ボランティアおよび皆様のお知り会いの方で、20才以上の学生等の方は、国民年金を納付されている、または猶予・免除手続きを取られているかどうかを確かめて下さい。
(老齢年金の不支給、無年金者になる可能性がありますので、ご注意を!)
谷川 信之 TEL/FAX:06-6462-3874 danbo525@ybb.ne.jp
学生無年金障害者の年金支給を実現する関西の会
新潟原告団 弁護団
本日、新潟地方裁判所第2民事部(犬飼眞二裁判長)は、平成元年(1989年)の国民年金法改正によって20歳以上の学生が強制加入とされる以前に重度の障害を負って無年金障害者となった元学生の原告らの請求に対し、これをほぼ全面的に認容する画期的な判決を下した。
判決は、平成元年改正前の国民年金法が、20歳以上の学生を強制適用の対象から除外して保険料免除を認めず国民年金制度から排除したことは、20歳以上の学生でない者との間における身分による不合理な差別にあたり憲法14条に違反するとの明快な達意判断を示した。
さらに、障害基礎年金の不支給決定の取消しこそ認めなかったものの、原告ら各人に対して700万円の国家賠償を支払うことを命じたものであり、国に対して原告らの現実的救済を命じた原告らほぼ全面勝訴の判決である。
この判決は、本年3月の東京地方裁判所の達意判決に続く2番目の達意判決であり、20年の長期にわたって学生無年金障害者を放置してきた国の責任を厳しく断罪したものである。
国及び社会保険庁は控訴することなく、直ちにこの判決に全面的に従い、必要な立法措置を講ずるなど、学生無年金問題の全面的な解決を行うべきである。