頸損だより2005冬(No.93)

西村さんのCG作品づくり


新年会のミニ作品展をご覧になられた方もおられるかと思いますが、本会員の西村忠夫さんはパソコンを使ってとてもきれいな絵を描いておられます。今回はその作品の創作過程やその魅力についてご投稿いただきました。(以下本文をご覧ください)


僕が初めて描いた絵は、歯磨きチューブでした。チュートリアルに描き方の見本が載っていたので、それを頼りに描きました。今思うと簡単なものですが、当時は何度も描き直しをしたり、チュートリアルとにらめっこしながら、必死で描いていました。それから徐々に、難しいものに挑戦していきました。ロボットを描いたときは本当に毎日タカちゃんの家に電話していました。【タカちゃん、あのころは、ありがとうございました。】

実際にロボットが完成したころから、自分が何を描きたいのか、目標も定まってきました。僕は元々バイクや車が好きだったので、車を描くことに決めました。今見ると、とても恥ずかしいのですが、初めて描いた車の絵はこちらです。とても難しくて、てこずってしまいました。それだけに完成したときは、うれしかったです。全体のラインはなかなか思うようにいかないのですが、パーツなど細かい部品の書き方は、早く覚えていきました。

それからも、毎日のように車の絵を描き続けました。あまりやりすぎると肩が痛くなり、夜寝るときに肩がだるくなり、眠れないときもありました。しかしそんなことよりも描くことが楽しくて仕方ありませんでした。

何台か描いていくうちに、ようやく人に見てもらえる程度の作品を描けるようになり、自分のホームページにも載せ始めました。チャットやメールしていた友達などにも、自分の描いた絵を見てもらい、いろんな意見や、批判を聞かせてもらい、それを励みに描き続けました。そのうち、その人達からも、自分の乗っている車を描いてほしいと頼まれるようになりました。本人から画像を送ってもらったり、ネットで探したりとそういうことから始めます。そして全体のバランスを頭の中で描きながら実際に描き始めます。車の持ち主が完成した作品を見るだけに、いいかげんな作品は描けません。自分の好きな車を書いているときより細かい部分にも気を使いました。その分、時間もかかり疲れもしましたが、完成した絵を見て喜んでもらえたときには僕もうれしかったです。最近はそういう依頼は受け付けていませんが。ほほほ

一度描くとそれで終わる車がほとんどですが、気に入った車や、描き終わっても納得していなかった作品などは時間を置いて何度かチャレンジしました。実は今年の新年会で出展させていただいた絵もそうなのです。2台の絵を出展させてもらっていますが、どちらも3.4回は書き直しています。いつも途中までは納得しているのに仕上がると、どうもバランスや、見た目がおかしいのです。

完成した喜びよりも、もっとうまく描きたいという気持ちが先立ちました。ネット上で、自作の3Dの絵を載せている人はたくさんいますし、そういう人達の作品を見て自分の作品にいかしたりすることもあります。本当にうまい人の作品は写真のように見えます。車自体の大きさやバランスはもちろん、光の加減や影の具合など、一つ一つの仕上がりがうまく調和してこそすばらしい作品に仕上がると思います。僕も早くこんな絵を描きたいといろんな作品を見ながらやっていますが、なかなかそこまでたどり着けません。

僕が使っている3Dソフトは「my Shade2」というもので、値段は一番安く、1万円弱です。タカちゃんなどが使っているソフトは数万円します。やはり高いソフトは技術に合って機能も多いし、影の付き方なども自然に再現されるようですが、僕の腕ではまだまだ使いこなせません。でも早くそういうソフトを使ってすばらしい作品が描けるようになりたいです。


現在も絵を描いていますが、今描いているのは「アルファロメオ 147」という車です。僕の原稿ではおなじみのマコはんが乗っている車ですよー。今まで描いてきた中で一番苦労しています。とても複雑なラインと、丸みの中にも角ばった部分があり、描き方が混乱します。何度も同じ部分を描いては、また描き直しの繰り返しで、普通ならとっくに仕上がっているところなのに、と思います。苦労しただけあって、今ではこの車が自分の車のように思えるほどです。完成すればホームページに載せるのでよかったら見てください。もう少しで完成します。

怪我をする前はパソコンなど触ったことがなかったし、ゲームも基本的には好きではなかったです。頚損になってからもしばらくは、人に勧められてもパソコンをする気が起きなかったです。そんな僕ですがあるきっかけがあってパソコンを始め今は毎日使っています。絵を描くだけではなく、メールやネットもしますし、今はエクセルの勉強もしています。

世の中には便利なものはたくさんありますが、利用できるものはしたほうが得かなーと思うようになりました。自分には無理と決め付けることって結構あると思いますが、これからも僕は、ほかにもやりたいことを見つけてはチャレンジをどんどんしていきたいと思います。

西村 忠雄
図

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