頸損だより2005夏(No.94)

巻頭言

「安全第一」って死語なの?

〜JR西日本福知山線の脱線事故〜

松崎有己

今回のJR福知山線の脱線事故では多くの尊い人命が失われ、今もなおケガの後遺症で苦しんでおられる方も多数おられるようです。この事故の一報を聞き、以前にこの路線を利用した際に、今回の事故現場のすぐ近くの駅で実際に列車がオーバーランしバックしたことを思い出しぞっとしました。(しかも先頭車両の運転席のすぐ後ろでした)

過去に起こったJR西日本の大きな事故といえば、14年前の信楽高原鉄道との正面衝突事故がありますが、当時の滋賀県警の捜査資料には、事故後のJR西日本の対応について、「職員への口封じや運行書類の改ざんを行い、責任転嫁、責任逃れの応酬であった。

JR西日本という企業は、極めて無責任かつ悪質な組織である」と明言されています。

未だに毎日のように繰り返される報道を見る限りでは、今回もまた防げたはずの事故が起きてしまった裏側にはやはり、JR西日本の利益優先、安全は二の次というとんでもない企業体質が現在もなお脈々と受け継がれてきているのは間違いないでしょう。つまり大げさな話ではなく、JR西日本を日頃利用している多くの人間の命が危険にさらされ続け、いまもなおそれは続いているということなのです。

一般的によく鉄道を利用する障害者の間では、駅のバリアフリーの状況や駅員の対応において、みんなが口をそろえてJR西日本は最低だと言い、それが何年もの間通説になってしまっています。多くの障害者は今回の事故を耳にし「ああやっぱりな」と思ったことでしょう。

交通バリアフリーの問題に関わり活動しているものの一人として、今回の事故を受け、今までにも増してより一層運動の輪を広げ、皆さんのお力をお借りしながら「市民力」を強めていきたいと考えています。


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