無年金障害者問題については、裁判による解決と本年4月に施行された「特別障害者給付金法」の支給対象者の拡大および支給額を障害基礎年金並みに引き上げる要請運動に取り組んでいます。
2001(平成13)年7月5日に提訴した裁判は、全国9ヵ所の地方裁判所(札幌・盛岡・新潟・東京・京都・大阪・岡山・広島・福岡)で行なわれており、東京地裁(2004/3/24)、新潟地裁(2004/10/28)、広島地裁(2005/3/3)で、違憲勝訴の判決が出ました。
任意加入制度について、東京判決は「欠陥があった」、新潟判決では「任意に加入することは極めて困難」、広島判決では「広報活動のあり方を含め任意加入制度が機能していなかった」と批判している。
新潟判決では、「学生無年金障害者は、何ら非難されるべきでない者であり、将来にわたり年金制度から排除されるという不当な結果を甘受させられている」と認め、また広島判決では、無年金となった原因について「その原因を学生(ないし学生を抱える世帯)の自覚のみに求めるのは酷であって、「任意加入制度のあり方に問題があった」と指摘しており、昨年12月に福祉的措置として成立した「特定障害者に対する特別障害給付金に関する法律」だけでは救済できない損害が原告らに残ることをも認めています。
これらの判決は日本国憲法25条の生存権、14条の平等権等の基本的人権の理念をふまえ、長期にわたって学生無年金障害者を放置してきた国の責任を断罪した画期的な判決です。
福岡地裁(2005/4/22)の判決は、原告(統合失調症)の初診日について成人前に障害の前兆症状があったとされ、障害基礎年金の受給資格が認められた。
国側の控訴断念より判決が確定され、発症時期の判断について不確定な多くの障害者が救われることになった。
しかし、その一方で東京高裁(2005/3/25)、京都地裁(2005/5/18)では旧態以前の厳しい判決が出されています。
判決は、学生無年金障害者と障害基礎年金受給障害者の間に「不合理な差別は明らかであるとした3地裁の違憲判決を真っ向から否定した判例主義にもとづいたものであり、国会が昨年12月3日に成立させた特定障害給付金支給法の趣旨さえ否定している内容であり、無年金障害者を20数年放置してきた国の無為無策を追認した著しく不当な判決です。
しかしながら、昭和60年改正国民年金法で、20歳未満で障害を負った学生は加入、未加入にかかわらず月額66,000〜83,000円の障害基礎年金が認められ、20歳以上で障害者となった未加入学生への支給はゼロという差別は歴然としており、当時の20歳以上の学生の加入率は1〜2%に過ぎず、大多数の未加入学生に結果的に過度の自己責任を押し付けた不当判決である。
政府(厚生労働省)がなすべき対応は、長い間将来に深刻な不安を抱き、社会的自立に困難を強いられてきた学生無年金障害者原告らをさらに苦しめ続けることではなく、3件もの違憲判断が下されたことを重く受け止めて、過去の誤りを率直に認め、不支給処分の取消を前提とした根本的な解決を早急に行うことです。
本年は残りの地裁でも、下記の日程で判決が出される予定です。「勝訴」判決を連ねていって、国の責任を明らかにし、裁判を終わらせ、全ての無年金障害者が救済されるまで全力を尽くしたいと思っています。
7月 4日 札幌地裁 判決
7月19日 岡山地裁 判決
盛岡地裁と大阪地裁、東京地裁(精神)は、判決日が未定です。
本年4月より施行された無年金障害者救済の「特別障害者給付金」について、4月末時点で救済対象の学生と専業主婦の2割程しか請求していなく、心当たりの方は至急、請求の受付を行なってください。
支給対象者も、在日外国人及び滞納者等の全ての無年金障害者に拡げ、支給金額も障害基礎年金並みに引き上げるよう、請求手続きも簡略化するように要望しており、初診時の受診状況証明書もカルテ保存期間が過ぎている人には第3者の証明があれば受け付けてもらえますので、窓口で相談してください。
今後とも粘り強く、国会、厚生労働省に働きかけていくつもりですので、ご支援ご協力をお願いします。
平成17年3月18日(金)
第18回学生無年金障害者訴訟:結審
第19回学生無年金障害者訴訟:判決
日時: 平成17年 月 日( )午前
場所: 大阪地方裁判所 202号大法廷
(最寄駅)地下鉄「淀屋橋駅」・「南森町駅」より8分
JR大阪駅より15分
4年間の大阪訴訟の判決をまえに、決起集会を下記日程で開催します。
皆さまのご支援と世論の後押しが唯一の勝訴への道です。
多くの方にご参加いただき、勝訴になるよう原告を力強く励ましてもらえれば幸いです。
日時: 平成17年7月10日(日曜)午後1時より
場所: 難波市民学習センター OCAT4階
(最寄駅)地下鉄「難波駅」より5分
「年金がない・知ってほしい無年金障害者のこと」
編集:学生無年金障害者訴訟全国連絡会
重度の障害を負いながら障害基礎年金を受給することができない障害者の人達がいます。どうしてこういうことが起きたのか!?
当事者の体験談とともに年金について、無年金について判りやすく解説してあります。
ボランティアおよび皆様のお知り会いの方で、20才以上の学生等の方は、国民年金を納付されている、または猶予・免除手続きを取られているかどうかを確かめて下さい。
(老齢年金の不支給、無年金者になる可能性がありますので、ご注意を!)
学生無年金障害者の年金支給を実現する関西の会
学生無年金障害者の年金請求の裁判は、昨年3月の東京地裁の勝訴を皮切りに、新潟地裁、広島地裁、福岡地裁、京都地裁と全国で判決が続いています。さらに今後、札幌地裁、岡山地裁、大阪地裁、岩手地裁、東京(精神)地裁と判決が続きます。
学生無年金障害者問題の解決を求めた全国9地裁の裁判は、2004年3月の東京地裁に続き、10月の新潟地裁でも勝訴しました。さらに今年の3月の広島判決も、憲法25条の生存権、14条の平等権の基本的人権の理念を踏まえ、長期にわたって学生無年金障害者問題を放置してきた国の責任を断罪した画期的な判決がでました。 しかし、その一方で東京高裁、京都地裁は厳しい判決が出されています。しかし、この年金請求運動の中で無年金障害者の問題と年金を受給できない障害者の実態は一部知られるようになってきました。こうした背景からこの4月には障害基礎年金の支給を受けられない元学生と主婦を救済する「特別障害給付金」が月額4万−5万円支給されることになりました。
各地の裁判は無年金状態である障害者が起こしています。各地の裁判には、それに伴う東京での運動が必要です。判決当日には、全国から原告をはじめ、家族、支援者、弁護団が上京し、厚生労働省交渉、国会議員要請、記者会見などを行っています。
原告らは、全国各地から東京を何往復もしています。車イスのため介助者を伴わなくては上京できない人は、その分の出費も強いられ、また、ハンディキャップルームが必要な方もいます。障害があるゆえに出費がかかることが多いのも事実です。無年金の原告らが、このような費用を負担することは困難です。行動を成功させるためにも、多くのカンパが必要となっています。 ぜひ、行動の主旨にご理解いただき、カンパをよろしくお願いします。
また、会員として裁判を支援してくださいますよう、お願い申し上げます。
◇学生無年金障害者の年金支給を実現する関西の会
郵便口座 00950−4-131048
賛助会員 (年会費1口) 個人: 2000円、 団体: 5000円
◇連絡先
〒558-0011 大阪市住吉区苅田5丁目1−22 大阪障害者センター内
TEL:06-6697-9005 FAX:06-6697-9059