頸損だより2005秋(No.95) 2005年9月25日発送

愛・地球博見学レポート

西村忠雄

2005年3月25日、日本では35年ぶりの国際博覧会が愛知県で行われました。愛称は「愛・地球博」科学が発達している現代社会において、環境汚染や人口増加、地球温暖化と我々人間にとって重要視しなければならない問題が山積している時期の開催であります。僕はこの万博に2回行きました。1回目は頚損会で計画された万博ツアー。2度目は個人的に行きました。この頚損会の万博ツアーは当初、一泊での予定だったのですが、名古屋のホテルでは予約がギッシリ詰まっており日帰りでのツアーになりました。ただ、僕の場合は前日に名古屋に住んでいるマコはんの家に泊めてもらい当日、会場内でみんなと合流しました。

万博のパビリオンは大きく分けてグローバルコモンというのが6つありその一つ一つが地域別に分かれています。参加国は約120カ国そのほかに国際機関なども参加。とにかく広いし1周りするだけでも体力勝負になります。元々この万博会場は、青少年公園というスポーツ施設やキャンプ施設といった親子で楽しめる場所でした。そこを会場にしたわけですが、ほとんど地形や自然をそのまま残して作ったそうです。

企業パビリオンなどは、一ヶ月前から2箇所までパソコン予約ができます。しかし現実は一ヶ月前の予約開始の9時には、アクセスが多すぎてパソコンがパンク寸前になります。ようやくパソコンがつながった時にはお目当てのパビリオンはなくなっており、パソコン予約そのものが至難の技です。まったく開きません。そんな中で僕は人気度の高いトヨタ館を取ることができました。トヨタ館には障害者用の予約も入ってたので、そちらを予約しました。

もう一つは韓国館です。1度目の万博では当然、全部のパビリオンを回るのは不可能でした。回ったのはグローバルコモン1のアジア各国のパビリオンとフミヤがデザインした大地の塔と、隣にある長久手日本館に、冷凍マンモスも見ました。大地の塔は車椅子で行くと一般に並ぶ場所とは違うところで待ちましたがこれも優遇してくれました。マンモス館も、最初は整理券をもらおうと思って並んでると係員の人から車椅子の人は優先で並ばず入れますと聞き連れて行ってもらうと、すぐ冷凍マンモスの展示してるところまで行けました。

次に二度目の万博ですが、そのときは車に乗っていきました。西ゲートのすぐ近くにある車椅子用の駐車場に止めることができたので8時40分にはゲートに着きました。一般の人たちは企業パビリオンを見るために最近では朝の6時にはもう人が並んでいるような状態なのでこの時にはすでにものすごい人でしたが車椅子専用の入り口から入場できるため助かります。早めに開場されたので、入場してから日立館に向かって走りました。ものすごい人が必死で走っていて、人ごみの中、進むのは大変でした。「日立館の整理券はすべて終了しました。」とマイクで係りの人が叫んでいるので時計を見るとまだ9時前だったので驚きました。でも、ここも障害者用、シニア用と整理券が別枠であるので、9時過ぎでももらうことができました。トヨタ館も同じ状態でしたので、整理券を貰えました。パビリオンに行くには、グローバルループという、廃材木や廃プラスティックで作られた通路を通って行くのですが、一周2.6キロあるので歩くのも大変でした。でも歩くほどの速度で走る電気電車みたいなのや自転車タクシーもあったのでそういうので回る人も多かったです。日立館の予約時間までは少し余裕があったのでグローバルコモン2に行きました。北南米地域のパビリオンです。アメリカ館から出たあとに少し遅い朝食をとりました。

それから日立館へ行きました。今回の目的でもある日立館!日立館は入ると 「Nature Viewer 」というゲームボーイのようなものをそれぞれに渡されて通路に沿って希少動物の写真が張ってあって、その写真に機械を近づけると希少動物の説明や動画が流れました。そのあとライドに乗って、5つの3D映像を楽しむことができます。ライドに乗るとき普通は2人ずつ乗るのですが車椅子で乗るときは一人で乗ることになります。ただ、その3Dを楽しむためには、双眼鏡のようなものを渡され自分で持って見るのですが、僕の場合それを持つことができないので見るのに苦労しました。少し隣の席からは距離があったのですがマコはんが腕を伸ばして僕に見えるようにしてくれました。日立館の予約なんか、介助者も含まれてるのに、隣に座れないようになってるのはおかしいと思いました。


トヨタ館は、ステージに楽器を持ったロボットが現れて演奏していました。それが終わると未来の電気車のような形をした i-unitなどが幻想的に走っていました。ここはどっちかというと後半が癒し系のショーなので眠たくなりましたが。ほほほ

日立館とトヨタ館を堪能してグローバルコモン3に行きました。ヨーロッパ地域のパビリオンです。このころから日差しは強くなって外はかなり暑かったです。しかしどのパビリオンも長蛇の列が並んでいました。なんとか少しでも空いているパビリオンを見つけ、入っていきました。そこはウクライナ館だったのですが、ちょうど演奏が始まるところでした。男性3人と女性1人が出てきて、挨拶もそこそこに演奏を始めたんですがその演奏がすばらしかったです。歌はうまいし指笛も大きな音で迫力はありアコーディオンは左右にボタンがたくさん付いていて驚きました。1曲目が終わると今度は女性がバンドゥーラというウクライナのギター風の楽器を弾いて歌い始めました。そのバンドゥーラというのが見て驚きです。弦が30本くらい張ってあるのです。音はピアノとハープの間のような感じでとても綺麗な音色でした。結局4.5曲は聞きました。少し暑さもしのげたのですが、やはりゆっくり座れる場所を求めてルーマニア料理のレストランに入ることにしました。しかし階段で降りなければならないので無理と思ったら、そのレストランの店員さんが「エレベーターOK!」と言うので、見てみると階段の横にエスカルみたいなんが装着されていました。それで降りて机についてようやく一息つけました。ちなみに僕は、肉団子の入ったスープを頼みました。味はトマト風味の少し酸味はありましたがおいしくて、スープの中にご飯も少し入ってました。


外に出るころは夕方になっており気温も少し下がって心地よい風も吹いていました。次にグローバルコモン5に向かいました。アフリカ地域です。ここはアフリカのそれぞれの国が一つのパビリオンに固まっていました。中に入ってから、見て回るとスタ

ッフはやはり黒人がほとんどでしたが微妙に着ている衣装は、国によって違っていました。コーヒーを売ってる国や民芸品も置いてましたが、アフリカというとやはり太鼓というイメージがありまして、自分でも叩いて楽しみました。しかし黒人は男女とも、背は高くても顔が小さくてスタイルがいいんですねー。うらやましいです。


エジプト館にも行きましたが、展示品を見ながらエジプトの歴史などを考えると感動しました。外が暗くなってきたころにイタリア館へ行きましたが、ここもユニークでイタリアのフィアットという車の外装にチョコレートを拭きかけたのが展示されており、近づくとチョコレートの匂いがするし、室温も低く設定されて気持ちよかったですー。もう一つすごいのが、古代ギリシャのブロンズ像です。2000年以上前に製作されたあと、後に海に沈んでいたのを1998年にイタリアのシチリア島沖で漁船に引き上げられたという「踊るサテュロス像」が展示されていました。今回の万博で日本まで持ってこられましたが、国外に出すのは最初で最後と言われてるほどです。この像が直径9メートルの球体の中に展示されており、手の届くほどの近くで見れたのは万博ならではだったと思います。

そのあとは前回も行ったけど長久手日本館に行きました。この長久手日本館は数十年前の日本と現代の日本では、どれだけ電力の消費量が違うとか昔の電化製品などを展示してたんですが、メインは大きな地球儀の中に入るような感じで前に進み、360度の映像が楽しめることです。普通は通路に立って見るのですが、映像が始まると本

当に自分が動いている感じがして立ってられないようになるみたいです。僕もフワフワしました。でもすごく楽しかったです。

今回もマコはん家にお世話になりましたが家を出て帰ってくるまでの時間が13時間以上でした。向こうで走り回ったので、僕の乗ってる電動車椅子のバッテリーが長持ちするといっても残りのメモリーが3つくらいになりました。

僕はUSJに何回も行ってますが万博の広さは桁違いですし1回行くと、また行きたくなるのが万博だと思います。僕が生まれる前に大阪で万博が開催されましたがそのときもすごい来場者だったみたいで、6420万人以上が入ったそうです。もちろん同じ人が何度も行ってる数も含まれますが、それほど万博人気というものを感じます。世界各国が集まり地球環境や、自然に対して考えるというコンセプトは本当にすばらしいものだと思います。僕も二回しか行けてませんが個人的に感じることもたくさんありました。まずは地球の温暖化と砂漠化の異常な進み方、これには全人類が考えなければならない重要なことだと思います。こういうことをそれぞれの国が本気で考えていれば戦争なんかしてる暇はないのになーて思いました。あとは今まで知らなかった国の文化や美しさを学ぶこともできました。こんなに、各国の人を見るのは万博でしか無理と違いますかねー?本当にいろんな国から来られてたし楽しまれたと思います。

次の万博は中国でやるみたいで行けるかわかりませんが日本で開催するときは再び足を運びたいと思います。


PS、ルーマニアのビール、

おいしかったーほほほ


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