頸損だより2005秋(No.95) 2005年9月25日発送

一人旅!?

西村忠雄

5月7.8日は全国頚損兵庫大会でした。僕も泊まりで参加しました。ただ、いつもと少し違うのは知り合い(特にマコはん)などがいてなかったということです。僕は頚損でもレベルが悪いほうで車の運転はもちろん、自分でベッドへのトランスファーや着替えなど、まったくできません。だから今までは泊まりとなると、必ず誰かと一緒でした。土曜日は基本的に便だしの日になっており、予定を立てるのも午後からでないと無理だし、何時とか決めるのも結構難しいのです。それで開始時間より遅れるのはわかっていたのですが当日も便だしが終わってから行きました。家から舞子ビラまでは、時間にすると待ち時間も合わせて約2時間でした。会場に着くとすでにシンポジウムは始まっていました。

いろんな当事者の話や活動内容などを聞きましたが、みなさんすごいパワーだなと思いました。同じ頚損ですが自分たちでやれることは人任せにせず、実際に外へ出て行動していることを聞き、感動しました。シンポジウムは4時半くらいに終了しました。それから1時間半ほどたってから同じ会場でレセプションが始まりました。全国の頚損連やボランティアの方と同じテーブルに並んでご飯を食べました。僕はしばらくしてから韓国から来たメンバーのところへ行き、現在韓国が置かれている身障者への対応や生活などを聞きましたが日本と比べるとかなり厳しいようです。地下鉄に乗るときもエレベーターが設置されている箇所は少なく、乗る前には事前に駅まで連絡をしないといけないとか、車社会で横断歩道が少ないため、道路の向こう側に行きたいときも苦労しているらしいです。

レセプションが終わってからは、ホテルにあるカラオケに行きましたが一時間ほどして僕だけ先にカラオケを出て、後は寝る用意をしてもらおうと思って部屋に戻りました。頚損にとって寝るときの用意は、かなり大事なことで、一つ間違えると床ずれができたり、いつもと違うことで神経質になったり、結構気を使います。やはり慣れている人がいないときは不安にもなります。今回の僕がそうでした。いつもはマコはんがいろいろやってくれていましたが、この日はどうしても都合が悪く、本人も全国総会を楽しみにしていましたが、来られませんでした。そのことがわかったときに僕も日帰りにしようかと考えていました。しかし日帰りでレセプションが終わってから帰ると夜の11時を回ると思ったし、思い切って初めての人でもやってもらおうと思い泊まる決意をしました。

今回の宿泊は、誰に身の回りのことをやってもらうかはまったく決まっていませんでした。寝る用意だけではなく食事介護や、その他いろんなことを、その場にいる人にお願いしなければいけないのですが、それこそ初めての人に頼むことは勇気がいりました。しかし、中途半端に頼めば相手にも迷惑がかかるから、きちっと相手に伝わるまでお願いしました。今回寝る用意をしてくださったのは、同室の合田さんでした。合田さんとは今まで、何度も会っていますしいい人?(笑い)なのは、わかっていましたから頼むときも緊張せずできました。いつもはズボンとパンツは脱ぎ、バルンをはずすし、横向きにしてもらってから、足と足の間にクッションなど入れて床ずれ防止をしています。自分自身は寝てしまうと、どのようにクッションを置いているとか、足の向きはどうしているのかなどわかりません。だから一度用意してもらうとそのまま寝るしかありません。痛みの感覚がないので、いくら体制が悪くてもそのままでいるしかないのです。ほかにもいろいろと失禁対策などあり、やはり初めての人には難しい部分があります。合田さんは僕以外に、とやっちの手伝いもされていました。すごく大変だったと思います。しかも、睡眠時間は1.2時間程度でしたしねー。朝、起きてからもベッドから車椅子への移乗やご飯を食べた後の歯磨きもしてもらいました。合田さんは人の歯を磨くのは初めてだと言っていました。合田さんには今回いろいろとお世話になり、この場を借りてお礼申し上げます。


10時から総会が始まり、昼過ぎには終了。それからは時間のある人達で、せっかくの明石だからと周辺の観光を4箇所に別れて行くことになりました。僕は明石海峡大橋を見に行きました。しかし外は気温も低く風も強かったので寒かったです。

最後に、全国頚損兵庫大会に参加させていただいた感想ですが、大阪と比べてまだまだバリアの多い地域や会員の集まりが悪く活動も難しいところがあるのだなと思いました。韓国は特に日本と比べると数十年遅れていると思いました。しかしその中で自分たちには、何ができるのか、また何をすべきなのかというビジョンをしっかり持って活動されているのが、話を聞いてひしひしと伝わってきました。障害者は受身と思いがちですが、そうではないのだということを教えてもらった気がします。自分も己だけのために生きるのではなく、今回参加できなかったメンバーを一人でも誘えるようになり、そして何かを感じてもらえたらなーと思いました。本当に役員方やボランティアにスタッフの皆様、お疲れ様でした。そして、カムサハムニダ。


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