頸損だより2005秋(No.95) 2005年9月25日発送

『ささやかなキャンペーン』

森 雄一

障害者専用駐車スペースにどう見ても”健常者”の車が。しかも3台分あるのに、3台とも。こんな腹立たしい経験、きっとみなさんありますよね?僕も車で出かける機会が多いので、こういうことはしょっちゅうあります。特に他にいくらでも停めるところが空いている場合は、なおさら腹が立ちますよね。

こういうことをする人は、きっと基本的には社会的モラル心の低い人たちで、何を言っても言うだけ無駄、自分さえ良ければ他人はどうでもいい、というどうしようもない人たちも少なからず含まれているとは思いますが、逆に、中には障害者スペースがどういうものか知らないために、入り口に近いというちょっとした出来心で停めただけで、専用スペースがなぜ障害者にとって必要なのかがわかれば、もしかしたら次からは停めないでいてくれる人たちもきっといると思うんですよね。

そこでこういう場合、僕はワイパーのところにメモを挟むようにしているんですが、文面についていくつか注意している点があります。まず一つは専用スペースの必要性をなるべく簡潔に訴えること、そしてもう一つは感情的にならないことです。初めのうちは、僕も腹が立った勢いで、「障害者スペースに停めんな!=あんたのせいで迷惑した障害者より=」なんてことを書いてたんですが、これだと相手も不快感を覚えるだけで、例えば自分の場合を考えてみても、相手の言っていることが正しいと分かっていても、言われ方が気に食わなければ素直に聞けないことってありますよね?だから最近はより穏やかな口調で、でも言いたいことはしっかり伝わるような文面を工夫しています。(裏面参照)

あと、もう一つ車に関係あることですが、出かけたときに車に乗り込もうとしたときに、「何かお手伝いしましょうか?」ってよく声を掛けられることがあるんですね。そういうときに、僕自身、乗り込みや車椅子の積み込みは余裕でできているので、最初のうちは、「大丈夫です」っていつも断っていたんです。でもあるとき同じ頚損の友達にそのことを話したとき、彼はそういう場合、必ず手伝ってもらうようにしてるって言うんですね。理由を聞くと彼は、声をかけてくれた人は精一杯の勇気を振り絞って声をかけてくれたかもしれないのに、もし断ってしまったら次から声がかけにくくなってしまうかもしれないから、と。僕はまさに目からうろこが落ちた思いで、以後は、僕も必ず手伝ってもらうようにしています。その際、クッションを外したり、車椅子をたたんだり、本来自分で簡単にできることについてもやってもらい、シートの真中を引っ張り上げる、ブレーキが外れているとひっくり返ってしまうのでタイヤは持たない、などとわざと手順を必要以上に詳しく説明するようにしています。次回がさらに少しでも声がかけやすくなるように、との願いから。

以上、僕が普段の生活の中で心がけているささやかな啓発活動を二つ紹介させてもらいましたが、どちらも誰でもすぐにできる簡単なことなんで、是非みなさんにもさっそく実行してもらえたらなぁって思います。特に駐車スペースの方は、裏面の文面をコピーして何枚か持ち歩いてもらえば、ボランティアや健常者のみなさんでも取り組めることなので、是非是非お願いしたいと思います。小さなことの積み重ねが大きな変化をもたらすこともある、と信じて。


不慮の事故で車椅子生活に・・・


ドアを全開にしないと車から降りられないし、

腕の力が弱いので距離が長いと移動が大変、

その上乗り降りに時間がかかるので雨の日はずぶ濡れ。


それゆえ幅が広くて、入り口に近くて、ときに屋根付き。

そんなせっかくの障害者専用駐車スペースに、

健康な人の車が我が物顔で停まっていたら、

あなたならどんな気持ちがしますか?


ただ単に入り口に近いからと安易に停めるのでなく、

次からはちょっとの思いやり、どうぞよろしくお願いします。


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