頸損だより2005冬(No.96) 2005年12月24日発送

『無年金障害者の訴訟報告と予定、活動について No.26』

学生無年金障害者大阪地裁訴訟原告 谷川信之

大阪訴訟の判決が、1月20日(金曜)か2月1日(水曜)の午前11時に大阪地方裁判所202号法廷で言い渡される予定です。

2001(平成13)年7月5日に提訴し、4年間にわたる学生無年金障害者訴訟の大阪地裁での判決が、年明けに言い渡されます。無年金障害者運動の原点である大阪訴訟では原告11名を擁し、全国9地裁の集約となる最重要の裁判であると位置づけて、原告団、弁護団、支援団体(学生無年金障害者の年金支給を実現する関西の会)は、一致団結して裁判闘争を行なってきました。

大阪判決は学生無年金障害者訴訟の命運を決定づける最重要なものであり、ぜひとも、多くの方に傍聴に来ていただき、原告ならびに弁護団を激励してください。勝訴!≠フ判決を得たいと切に願っています。

皆さま方の熱意満々の後押し支援を、なにとぞ宜しくお願い申し上げます。


勝訴判決なら、原告と弁護団は控訴断念要請のため、東京行動(厚生労働省、国会、議員への折衝)を行ないます。皆さまには、控訴断念要請行動について、FAX送付(首相、厚生労働大臣、法務大臣、厚生労働委員)をお願いしますともに、カンパの支援をよろしくお願い致します。

◇内閣総理大臣 小泉純一郎 FAX:03−3581−3883
◇厚生労働大臣 川崎二郎 FAX:03−3502−5173

政府(厚生労働省)がなすべき対応は、長い間将来に深刻な不安を抱き、社会的自立に困難を強いられてきた学生無年金障害者原告らをさらに苦しめ続けることではなく、3件もの違憲判断が下されたことを重く受け止めて、過去の誤りを率直に認め、不支給処分の取消を前提とした根本的な解決を早急に行うことです。


私たちは、すべての無年金障害者の解決と、無年金障害者を生み出さない年金制度改正を求めて活動しており、ご支援ご協力をお願い申し上げます。
学生無年金障害者の年金支給を実現する関西の会
郵便口座 00950−4−131048
賛助会員 (年会費1口)個人2千円、団体5千円

『学生無年金障害者訴訟の勝利をめざすみんなの集いの賛同人加入よびかけ』

学生無年金障害者総勢30人が、障害基礎年金の「不支給処分取り消し」と「国家賠償請求」を求めて9地裁に訴訟を起こしてから5年になります。この間、東京・新潟・広島地裁と「違憲判決」が続き、関係者の大きな励ましとなりましたが、京都や札幌地裁では敗訴となり、また、高裁での控訴審では敗訴となるなど、厳しい判決も出てきました。

2004年の年金国会で、年金制度「改正」が大きく問題になる中で、障害者の無年金問題が無視できないものになり、2004年末「障害特別給付金」制度を創設させました。これは、制度的欠陥のために無年金になった障害者への所得保障として、金額や支給対象など不十分さを残しながらも、長年にわたる運動と裁判闘争による大きな成果と言えます。

しかし、障害者福祉の制度の改変がこの間、急ピッチに進み、措置制度から契約制度に変えた支援費制度で財源不足が出ると、介護保険との統合を視野に入れた「障害者自立支援法」が出てきて、大きな反対の声を無視して無理やり成立させました。今後、障害者・家族の暮らしに大きな負担と犠牲を強いる「応益負担」制度の導入は、関連施策にも大きな影響を与えることが懸念されます。

さらに、特別支援教育の導入と教育基本法の「見直し」、医療改革法案の提出、消費税増税案を含めた税制見直し、憲法改正の動きなど、暮らしと平和にかかわる重大な制度や施策の改変が進められつつあります。


こうしたきびしい情勢の中で、学生無年金障害者訴訟の行方、今後の地裁や高裁の判決がどうなるか、楽観視することはできません。最高裁まで行くことを予想してその準備も必要となっています。

この学生無年金障害者訴訟を前進させ、勝利へと導くことは、国民の生存保障、所得保障、基本的人権保障につながる重要な取り組みです。

その第一歩として、2,000人(1口 1000円で1口以上)の賛同人参加を呼びかけ、後述の集いを開催することにしました。

集いを成功させるためには、皆様方1人ひとりが友人や知人はもとより、あらゆる団体・個人に運動の意義を訴え、賛同人加入をよびかけていただきたいと思います。どうぞ、ご支援ご協力のほど御願い申し上げます。


『学生無年金障害者訴訟の勝利をめざすみんなの集い』

月日: 平成18(2006)年7月9日(日曜)
場所: 東京都内
1口1,000円(1口以上)の賛同人を募っています。

追跡年金改革 障害年金 老齢年金上乗せ可能に

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/43/kaikaku57.htm


現行の公的年金制度では、障害年金と老齢年金を同時に受給することは認められていない。このため、障害を負った後で会社に勤めて厚生年金に加入した場合でも、年を取ってから老齢厚生年金を受け取ることができず、せっかく払った厚生年金保険料が掛け捨て同然になる例が多い。

こうした制度が障害者の働く意欲を損なわないように、2006年4月からは、障害基礎年金と老齢厚生年金を同時に受け取れるようになる。特に、障害を負った時点では自営業者や学生、20歳未満だった人などにとって利点が大きいと見られる。

公的年金の加入者が障害を負った場合、一定の条件を満たせば障害基礎年金を受給できる。また、すでに障害基礎年金を受給中の人でも、厚生年金に加入して働けば、老後に老齢厚生年金と老齢基礎年金を受け取る権利が生じる。

だが、公的年金には「一人一年金」という原則がある。「障害」と「老齢」のように、異なる支給事由の年金受給権がある場合、どちらか一つだけを選ばなければならない、という原則だ(遺族厚生年金と老齢基礎年金は例外的に同時受給できる)。このため、障害を負った後で会社に勤めた人が老齢厚生年金と老齢基礎年金を受け取ろうとすると、障害基礎年金が支給停止になってしまう。


◇ 障害基礎年金の受給額は一級で年約99万円、二級で年約79万円が基本。一方、老齢基礎年金は、40年加入の満額でも障害の二級と同じ年約79万円。つまり、たいていの場合、障害基礎年金のほうが老齢基礎年金より受給額が多い。

また、障害を持つ人が会社勤めをしても、働いた期間が短かったり、賃金が低かったりすれば老齢厚生年金の額は少なくなる。

このため、老後も障害基礎年金を受給し続けるほうが有利になることが多い。

今回の改正で障害基礎年金に上乗せして老齢厚生年金を受け取れるようになれば、働いて納めた厚生年金保険料が、老後の年金額に反映するようになる。 ただ、会社に勤めたすべての障害者に恩恵が及ぶわけではない。

障害を負った時点で会社員として厚生年金に加入していた人の場合、障害基礎年金だけでなく障害厚生年金も受給できる。だが、「一人一年金」の原則があるため、障害厚生年金と老齢厚生年金は同時には受給できない。

制度改正後、あえて老齢厚生年金の受給を選ぶと、今度はこれまで受給していた障害厚生年金が支給停止になってしまう。新制度の恩恵を受けられる例は限られそうだ。(2004年7月14日 読売新聞)

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