頸損だより2005冬(No.96) 2005年12月24日発送

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「オトナの階段」


僕の初恋は忘れもしない小学校4年生のときでした。東京から転校してきたユウコちゃんのことが気になって、机が隣のときはわざと教科書を忘れて見せてもらったり、今でいうセクハラのようなことを毎日のようにしてました。これってもう時効ですよね!?(苦笑)。つまり、好きだからこそちょっかいばっかり出していたわけで、今思うとこれは「若さ」ゆえのイタズラ心。大人になればブレーキをかけるなら、相手に嫌われるような行動はしないもんね。初恋がうまくいかないのはそのせいでしょうか…。

「おしっことちゃうやん!」国語の授業中になぜかオチンチンがムクムクと大きくなってしまい、「あぅん…」という声を挙げ、トイレに駆け込んだセイがパンツに付着していたネバネバを見て発した言葉がコレ。ひこ田中の同名児童小説を映画化したこの作品は小学校6年生のセイが“精通”する場面から始まるんですが、クラスの女の子にモテモテの親友ニャンコよりも、オチンチンに毛が生えてる親友のキンタよりも早く“オトナのおとこ”になった彼が年上の女の子ナオちゃんに恋をしてしまう、きっと誰もが経験のあるような、ほろ苦い初恋の物語なんです。気持ちはまだまだ子供なのに体は勝手に“オトナ”になった主人公、セイは初めて人を好きになるわけですが、でも、それが「恋」かどうかなんて彼には分からない。ただ、頭の中では寝ても覚めても彼女のことばかり考えてしまう。そして、「もう一度会いたい」という純粋な思いから京都で彼女の家を探し始めるんですが、やっとの末に会えた彼女には「あんた、ストーカーちゃうやろな」と冷たく突き放されてしまうんですね。でも、彼は「僕にもよう分からんけど、もう一度会いたかったんです」と素直に思いを打ち明けたことで気持ちが通じたのか、その後二人はデートをするんですが、やっぱりすでに“オトナ”のような彼女と、“オトナ”になったばかりの彼の心はすれ違い、うまくいかないことばかり…。それでも、会えるだけで気持ちが舞い上がり、喜びで胸がいっぱいの彼は勇気を振り絞って人生で初めての「告白」をしますが、あっさりと玉砕。「なんで僕が好きになる人は自分のことを好きになってくれへんねん」と大きく落胆してしまう彼の姿を見てると、なんだか自分の心境と重ね合わせてしまいます。

小学6年生にとって2つも年上の女の子は脅威(笑)。だって、同級生ですら女の子は成長が早いから大人に見えるもんね。それでも恋をしてしまったら思いのまま、まっすぐに突っ走れるけど、家庭環境が複雑な彼女に、「“寂しい”って言ったら、あんた何とかしてくれるん?」と強い口調で言われたとき、どうにも出来ない自分の無力さを痛感させられる彼の表情を見てるのがなんともツラかったです。そりゃあ女の子のほうが大人だけど、年下の男だってオトナに見えるように目一杯背伸びをして頑張ってるんだよね。でも、やっぱりガキはガキなわけで…。そんな彼が一大決心をするクライマックスは凛々しい“オトナのおとこ”でカッコよかったぞ。好きな女の子のためなら男は一生懸命になれるんです。爽快感と疾走感が実に気持ちいい作品でした。セイが言うことを聞いてくれない自分のオチンチンに「お前、なんで大きくなるねん」と話しかけるシーンとか、物差しでサイズを測るシーンなど、男なら誰でも経験のあることだから思わずプッと吹き出してしまうくらい微笑ましくて、懐かしくて、ちょっぴり恥ずかしくもある、一歩ずつオトナに近づいていく少年の物語でした。そんな恋をしてた頃が僕にもあったはずなんだけどなー(笑)。


「ごめん」(’02日本)
原作:ひこ田中
監督:冨樫森(「非・バランス」「星に願いを」など)
出演:久野雅弘、櫻谷由貴花、河合美智子、國村隼ほか

<ストーリー>

大阪郊外に住む小学6年生のセイこと七尾聖市(久野雅弘)はある日、祖父母のお使いで行った京都の漬物屋にいた中学2年生のナオこと瓜生直子(櫻谷由貴花)に一目惚れをした。夢にまで出てくるほど彼女のことが頭から離れない彼はもう一度彼女に会うために京都に向かうが、そこで知った事実にショックを受けてしまう…。(ビデオレンタル中)


赤尾"映画中毒"広明

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