頸損だより2006秋(No.99) 2006年9月30日発送

巻頭言

「未来を築く子供たち」

〜いよいよ障害者自立支援法が本格始動〜

松崎有己

皆さんはこの世の中で障害者に対する一般の人々つまり健常者の理解は十分得られていると思いますか。確かに昔のようなあからさまな差別はなくなりつつあるかもしれません。しかし、私がかつて健常者の時には障害者のこと、障害者が抱える問題など全く眼中にもなくむしろ無知からくる多くの偏見を持っていたように思います。それはやはり子供の頃から障害者と接する機会が極めて少なく、大人たちの持つ偏見をそのまま鵜呑みにしていたからでした。おそらくそのような無知や偏見の中から生まれてきたのが障害者自立支援法であり依然として残る機会の不平等であると考えます。

そこで私は地域社会、特に子供達との交流を重要だと考えています。未来の国会議員、官僚、そしてこれからの福祉を担うであろうこの国の未来を作っていく存在、そんな子供達とのふれあいです。

私はラジコンが趣味で近くの公園などで模型の車を走らせに行ったりしています。そこでよく子供達に話しかけられいろんな話をするのですが、そんな時私が障害者であるとか車いすに乗っているとかそんな垣根のようなものを感じることは一切なくごく自然に接していられるのです。そんな自然なふれあいをとてもうれしく感じています。おそらく家庭に帰ってから子供達は両親や兄弟達とも、今日こんな人と会ってこんな話を聞いたよと話すこともあるかもしれません。そんな会話の中から一般には障害者のことを気にも留めず理解が浅い大人たちの意識の変化も期待できるでしょう。

障害者は壁の向こう側の存在つまり施設や養護学校の中で暮らすものであり、それが障害者自身にとっても幸せなんだという古い価値観を突き崩し、障害のあるなしにかかわらずみんなが一緒に同じフィールドで過ごすことがあたりまえのことなんだということを、子供の頃から自然な感覚としてもてるようなそんな環境を作っていきたいと思います。

時間はかかることかもしれませんが、それは決して難しいことではなく私たちが地域で生活している中での何気ないふれあいを大事にすることから始め、学校交流やいろんな場面で子供達と過ごす中で培(つちか)っていけたらと考えています。


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