私たち四肢麻痺障害者にとって、パソコンやインターネットを活用して得られるものはかなり大きく重要になってきている。障害が重度であればあるほど、IT(インフォメーション・テクノロジー)活用による効果も大きいのではないだろうか。外出が困難な身体状態であっても、家の中に居ながらにしてインターネットを介し世界とつながることができ、必要な情報を得たり、遠い地域にいる仲間との交流や情報交換も可能である。趣味や活動のツールに、そして就労のチャンスにまでと、可能性は広がる。ITは今や、障害ある私たちの生活に無くてはならない存在の一つとも言える。
しかし、腕や手指が動かない四肢麻痺者がどのようにしてパソコン操作をすればいいか。障害状態によってもいろんな方法がある。今回の特集では、実際にITを活用している会員それぞれが、どんなパソコン操作や工夫をしているのか、そしてどんな活用をしているのか紹介する。
【鳥屋 利治 /カメラ・合田享史他】
〜パソコン(PC)を日々駆使している会員に、
それぞれのPC操作方法を聞いてみました〜
延澤氏はPC台を建具屋さんで作っている。ベッドや車椅子でのヒザの高さに合わせてあり、動かすのに軽いキャスター等、工夫がしてある。
右手の比較的まっすぐ伸びている中指でキーボード入力。人差し指を使うこともある。左手は小指の第2関節を使う。
マウス操作はIBM PC Think Padの特徴であるキーボード中央にあるトラックポインタを使用。滑りにくいザラザラのもの、そして動きを軽めの設定にしている。人差し指で操作。IBM Think Padはかつて在宅就労していたときから使っているため、使いやすい。
←延澤氏 愛用のツール:
チューチューマウス(シェアウェア)
マウス操作を簡略化できるソフト。たとえばウィンドウを開く。するとアニメーションのネズミが、マウスカーソルを、オペレータが移動するであろう位置に自動的に移動してくれる。
※障害者手帳があれば無料となる。
※「Vector」や「窓の杜」(まどのもり)で検索できる。
西村氏は右手の中指第2関節部分を使ってキーボード入力。入力文字数が少なくてすむよう「カナ入力」している。マウス操作はトラックボールを使用。多機能トラックボールであればドラッグ機能もあるため指先が使えなくても有効。
3D画像処理「My Shade2」でPCをよく使っていたが、今は韓ドラの視聴や、語学学校の宿題に活用。
↑川畑氏は、手に補装具をつけてそこにペンを挿した状態でキーボード入力。ペン先には、当たりがやさしく、滑り止めにもなるよう消しゴムをくっつけている。マウス操作はトラックボールを使用。
←PCは絵画制作にも活用。手書きで下書きした絵をPCに取込み、PCで細かな編集をし、プリントアウトしたものを印刷屋で拡大処理。作品づくりに今やPCは欠かせない。
延澤氏も、夜、上向きに寝ているとき等は、手にベルト式装具をつけてペンを手につけた状態でキーボード入力。↓
↑桜井氏は、棒を付けた装具を手につけてキーボード入力。マウス操作はトラックボールを使用。装具は関西労災病院に入っていた補装具メーカーで作ってもらった。現在は朝7時〜夜22時頃までベッド上この体勢で、在宅での仕事を含めPCがなくてはならない生活。
↑森氏は、サインペンを手につけた状態でキーボード入力。サインペンのキャップにゴムを引っかけ、手に巻いただけのシンプルなもの。SHIFTキー等は左手で押さえる。
↑赤尾氏は、家の中ではベッド上の生活。ベッドを起こした状態でPCを使う場合、マウススティックでキーボード操作とトラックボールを操作し(マウス操作)、長文の文字入力は音声入力を使って併用している。
マウススティックは、東急ハンズなど日曜大工用品の簡単に入手できる軽い木の棒で、PC操作用、リモコン操作用、本ページめくり用と長さを変えてカットしている。
↑宮野氏は、主に車いす上でPC操作する。やはりマウススティックでキーボード操作とトラックボールを操作する。
宮野氏のマウススティックに関しては、次頁に詳しく紹介する。
太田氏は、介助派遣事業所ヘルプセンターあるるでのパソコンに向かう仕事は、マウススティックをくわえてキーボードとトラックボールの操作をする。→
マウススティックのその他の使い方
←アゴで操作する電動車いすのチンコントローラー部分横に携帯電話を取り付け、マウススティックで携帯電話を操作。これで通話、メール操作も可能。
このスタイルは、日本では宮野氏(写真左)が初めてらしい。
↓(写真左:赤尾氏 中央:宮野氏)分厚い本や雑誌のページめくりもでき、読書が可能。
家の中でハンズフリーの電話子機操作も行う。(右端:宮野氏)↓
マウススティックのあれこれ
〜コンピュータは歯が命?!〜
【宮野氏ホームページから引用】
私のように両手の使えない障害者にとってパソコンの操作方法は様々です。私の場合はパソコンを使い始めた時から“マウススティック”。最初は、割り箸の 先に滑り止めのゴムを付けただけのものを使っていたのですが、そのうちくわえる部分が禁煙パイポや熱変形プラスチックになり、5年前くらいに現在の形に落 ち着きました。とにかくマウススティックは消耗品だと考えているので、素材は身近にありいつでも入手できるモノを使用しています。年々“自分でやりたいこ と”が増えていくため、その用途に応じてマウススティックの種類を替えて対応するようにすると7種類にもなってしまいました。
現在メインで使用しているマウススティックは、スティック部に料理で使う「菜箸(さいばし)」を利用しています。菜箸は結構丈夫で長持ちし、熱湯で加熱 するとさらに強度が増します。現在使用しているモノは約2年くらい使っていると思います。くわえる部分には「園芸用チューブ」を使用。ホームセンターなどでセンチ売りしている、園芸作業などに用いるゴム状のチューブで、細いチューブと太いチューブを2重に重ねて、歯への負担を軽減しています。しかし、予想 以上に人間の“噛む力”は強く、この部分の消耗が一番激しいです。2、3日使えばいいところでしょう。そして最後に先端部分。ここには編み物などで使う編み棒の先にかぶせるゴムキャップを使用しています。ゴムですので滑り止めになりますし、菜箸の先にかぶせるだけなので簡単に取り外しが可能です。また、購入先も編み物屋か毛糸屋に行けば必ずあるし、一度購入すれば4、5年は交換不可です。結局、交換するのはくわえる部分のチューブが主で、私はこのマウスス ティックを常に10本くらい作り置きしています。
マウススティックの用途としては、パソコンのキーボード操作、トラックボール操作、携帯電話の操作、リモコン操作、本をめくる、など多岐にわたり、“手 の代わり”として役立ってくれています。しかし、便利に扱える反面、歯への負担も大きく、健常の頃から比べると前下歯が少しゆがんできたように思います。 「マウススティックの操作性を落とさず、歯への負担を軽減させる」ということが、これからの課題というところでしょうか。
マウススティックスタンド
マウススティックを使用する上で重要なのが「マウススティックスタンド」です。“すぐ取れて、すぐさせる”ということが肝心なため、結構難しいモノのように考えられがちですが、私の使用しているスタンドは約15年前に嶋尾 OT が作ってくれたモノです。病院などで使用される“骨折などを固定するための素材”を使って熱などで変形させ、試験管の周りに巻き付けて形を作り、それを板切れに固定して完成です。簡単かつシンプルなものですが、15年経った今も使い続けているということで、どれだけ使い勝手が良いかということがおわかりいただけるでしょう。
↑赤尾氏はベッドを倒した状態でPCを使う場合、文字入力は音声入力ソフト「ドラゴンスピーチ」を使う。「ドラゴンスピーチ」は、はじめに自分の声を1〜2時間程規定の例文を読みあげて覚えさせ、あとは使っていくうちにソフトの学習機能が働き、声の認識率が上がっていく。また、音声コマンドのみでホームページ上のリンク先に飛んでいくことができるので、ネットサーフィンもしやすい。
マイクはUSBマイクが感度が良くていいそうだ。
※赤尾氏は実際には、音声入力と、センサー入力によるマウス操作を組み合わせて使用。(次頁参照)
【ドラゴンスピーチ2005セレクトUSB版】オンラインショップ約1万8千円→
ドラゴンスピーチは、ほとんどのWindowsアプリケーションで音声で文字を入力したり、「アプリケーションの起動」や「ファイルの保存」など、アプリケーションの操作も声で行うことができるソフトウェア。 (株)アスキーソリューションズ http://www.dragonspeech.jp/
【IBM ViaVoice ProV10.5】オンラインショップ約1万8千円↓
http://www-06.ibm.com/jp/voiceland/
↑宮野氏はベッドに上がった状態でのPC操作は、すべて音声入力「ドラゴンスピーチ」で行う。
↑川畑氏(写真左)は、音声入力ソフトに「IBM ViaVoice V10」を使用。日記など長文作成に活用している。
↑吉田氏(写真右)も音声入力ソフトに「IBM ViaVoice V10」を使用。5〜7文字づつ文節単位の入力なら呼吸器をつけている自分にもかなり使える、とのこと。メールを書くのが楽になったそうだ。
マイクはソニー製の会議用の指向性ガンマイク。一方向の音しか拾わない特性をもつ。
↑赤尾氏が、ベッドを倒した状態で使っているもう一つの重要なツールがセンサー入力「トラッカーワン(次頁参照)」。カーソルを動かすマウスの役割を果たす。額の中央に反射シールを貼り、頭を動かすとPC画面上部に取り付けたカメラがその動きを読みとり、カーソルを動かす。
マウスのクリック操作は、「マジックカーソル(次頁参照)」を使う。「マジックカーソル」は、クリックしたい場所にカーソルを合わせるだけで、数秒後に自動的にクリック動作する。「トラッカーワン」によるセンサー入力でカーソルさえ動かせれば、「マジックカーソル」でクリック操作を不要にできる。
赤尾氏は、「トラッカーワン」と「マジックカーソル」と音声入力の併用で操作。
↑「トラッカーワン」には、スクリーンキーボード(画面上に表示するキーボード)も付いており、文字入力もできる。
実際には前頁で紹介した音声入力「ドラゴンスピーチ」で文字入力することが多い。
↑高橋氏はMac PCを使用。マウス操作はセンサー入力「トラッカープロ(次頁参照) 」を使う。メガネの中央に貼り付けた反射シールの動きをPC画面上部に取り付けたカメラが読み取り、頭を少し動かすことによってマウス操作ができる。
←マウスのクリック操作は、「呼気スイッチ(次頁参照)」を使用。1度吹くとクリック、吹き続けはドラッグ操作となる。Macでは「マジックカーソル」が使えないため、「トラッカープロ」と「呼気スイッチ」の組み合わせとなる。文字入力は、Macに付属の文字パレット(画面上に表示されるキーボード)を使う。
吉田氏は、呼吸器使用者で首から下は動かない状態である。
マウスのクリック操作に「タッチスイッチ(次頁参照)」を使用。→
「タッチスイッチ」は、ほおやアゴ、唇のなどの軽いタッチでOn・Offできるスイッチ。それと、「HAマウス(ゆり電子、パシフィックサプライ)」の組み合わせで使用。「HAマウス」は、マウスポインタを上下左右の4方向に動かし、マウスクリックが行える仕組み。文字入力は、オンスクリーンキーボード(仮想キーボード)をパソコンの画面上に表示させ入力する。これはあくまで補助的な入力で、メインは音声入力「IBM ViaVoice」を使う。
(株)アクセスインターナショナルhttp://www.accessint.co.jp/
大阪支社 〒590-0976
大阪府堺市堺区大浜南町1-6-11
TEL:072-223-1152 FAX:072-223-1154
東京本社 〒173-0012
東京都板橋区大和町23-3 福井ビル
TEL:03-5248-1151(代表)
FAX:03-5248-1161
←【トラッカープロ】約17万円
頭の動き(反射シール)をセンサーが読みとるハンズフリーのマウス。
(トラッカーワンの後継機種がトラッカープロ)
←【呼気スイッチ】約6万円
スイッチを口にくわえて、息を吸う、はく事によって作動するスイッチ。Mac PCでは下記マジックカーソルが使えないため、マウスクリック操作に呼気スイッチを使う。
←【マジックカーソル】約3万円
マウスのクリック操作を自動的に行うソフト。設定した時間分、マウスポインタをその場で停留させることでクリックできる。ダブルクリック、右クリック、ドラッグ操作も可能。上述のマウス操作ができるトラッカープロやトラッカーワンと併せて使うと効果発揮。ただしWindows PC(Mac は不可)。
(有)アルファテックhttp://www.a-paso.com/
〒611-0021 京都府宇治市宇治半白85-25
TEL:0774-20-0210 FAX:0774-20-9698
←【タッチスイッチ】約1万5千円
【HAマウス】約7万円
(ゆり電子:パシフィックサプライ)
HAマウスを利用することで、一つのスイッチデバイスでマウスポインタを4方向に動かし、マウスクリックを行うことができます。タッチスイッチと組み合わせて使用。
HAマウスはアルファテックが取り寄せてくれるかもしれない。
エキスパートマウス(オンラインショップで約1万2千円)」(Macの場合は、「ターボマウス」を選ぶ)
4つのボタンがついており、
左上:ドラッグ、右上:右クリック
左下:クリック、右下:ダブルクリック
それにスクロール機能も付いているから指が使えなくても、あるいはマウススティックでも充分マウス操作できる。最近は光学式なのでボールの転がりもとても軽い。
七陽商事株式会社
桜井氏が仕事で活用しているWebカメラ。カメラとマイクは5千円程。ソフトの「Skype」は無料でダウンロードできる。
・Skype同士の通話は無料
・ビデオ通話
・会議通話 などができる
入力するのに普通のキーボードでは大きすぎて打てない。でも、携帯電話のサイズなら小さくて設置するのも簡単、打ち込みも楽なのにという方はいると思います。そんな人のために「ケイボード」。カーソルも動かせて文字も打てる。キーボードとマウスが一つになっている。(渕上氏からの情報)
潟<買@エル 〒231-0048 横浜市中区蓬莱町2-4-2グランステイツ 304
http://www.mevael.co.jp/item.html
固定キー機能を使う
固定キー機能は、2つのキーを同時に押すことが困難な場合に便利です。
コントロールパネル内にある「ユーザー補助のオプション」で、固定キー機能の設定が可能。
(Macintoshの場合「ユニバーサルアクセス」が同等機能)
Shift、Ctrl、Altキーのロック機能が設定できるので、Shiftキーを押しながら他のキーを押す場合、Shiftキーをロックしておけば同時に2つのキーを押さなくてすみます。Ctrl、Altキーについても同じです。ロック機能を使うと、片手やマウススティックでのキー操作が楽になる。多くの四肢麻痺者が使う機能。
固定キー機能を有効にするのも、コントロールパネルを開かなくてもできるように設定できるので(Shiftキーを5回押す)、そこにチェックを入れておくと便利。誤って解除してしまう場合があるので。固定キー機能の状態もタスクバーに表示させるにしておくと便利。
ショートカットキーとは、よく使う機能を簡易なキー操作で実現できるように設定されているキー操作のことを言う。キーボードの各キーの組み合わせによって、メニューを使わずに機能を実行できるよう割り当てたもの。[Ctrl]キーや[Alt]キーとアルファベットキーとを組合わせるのが一般的で、さまざまなコマンドをキーボード操作だけで実行できるようになる。知っていると作業がとても速い!! 知らなきゃとっても損をするWindowsショートカットキーを、宮野氏がよく使うものを一部紹介してもらいました。あなたはどんなショートカットキーを使ってますか?
捨てたいファイルを選択してDeleteを押すとファイルはゴミ箱に移動しますが、再度ゴミ箱から削除する必要があります。このショートカットを実行すると、ゴミ箱に移動することなく完全削除します。
■エクスプローラ等で上の階層へ:BackSpaceInternet Explorerやエクスプローラの「戻る」と同じ効果
■プログラムの切り替え:Alt+Tab複数アプリケーションを開いている時、タスクバーにカーソルを移動させて開きたいプログラムを選択するのは面倒です。そんな場合にAltキーを2回押してTabキーを押すと、画面中央に開いているプログラムが表示されます。Tabキーを押して開きたいプログラムを選択し、Altキーを押すと目的のプログラムを開くことができます。
■デスクトップの表示:Windowsロゴ+D複数アプリケーションを開いている場合、このショートカットで全て最小化にすることができます。もう一度このショートカットを実行すると元に戻ります。
■エクスプローラ起動:Windowsロゴ+Eエクスプローラをを起動させるショートカット
■プロパティを表示:Alt+Enterアプリケーションやファイルのプロパティを表示したいときに右クリックから選択することなく開くショートカット
研究室の米崎二朗さんと池田真紀さん
ここはIT関連の補助機器の常設はしていないが、丁寧に相談に乗ってもらえる。その他には、車椅子のシーティングや、住宅改修の相談等も行っているのが特徴。リハ工カンファレンスでもお馴染みの米崎さんである。
米崎氏のブログは情報満載 必見!
アシスティブ・テクノロジーの世界へようこそ
http://yonezaki5513.cocolog-nifty.com/5513/
■相談事業
大阪市在住の方を対象に、福祉用具に関するご相談や住宅の増改築のご相談など、専門の相談員(作業療法士とリハビリテーション・エンジニア)が応じます。
相談日 毎週月曜日〜金曜日 午前10時〜午後4時まで(祝日・祭日は除く)
相談方法 予約制(お電話ください。来所の場合は別の予約と重なることがありますので
できれば事前にご連絡ください。)
Tel:06-6703-5347 Fax:06-6703-5349 E-Mail:ikeda_assistech@v-sien.org
ここではパソコンや補助機器を実際に見て触れて体験できる展示コーナーがあるのが特徴。その他、IT講習の受講や就労支援相談もある。
郵便番号:543-0074
住所:大阪市天王寺区六万体町3−21
「大阪府ITステーション」
電話:06-6776-1221 Fax:06-6776-1224
ホームページアドレス:http://www.itsapoot.jp
メールアドレス:suteisyon@itsapoot.jp
《お問い合わせ先》
社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団
兵庫県立総合リハビリテーションセンター
家庭介護・リハビリ研修センター
福祉用具展示ホール内
〒651-2181 神戸市西区曙町1070
TEL.078-927-2727 FAX.078-927-2752
E-Mail:tenji@tihcr.com
開 館 日 :祝祭日を除く
開館時間:午前9:00〜午後5:30
閉 館 日 :祝日・年末年始
ここではパソコン1台が常設してあり展示品の入力装置を評価できる。特殊な自助具やスイッチが必要な場合、研究所に相談できる。
こころWebは、日本において入手可能な、障害を持つ方のコミュニケーション支援機器や関連する技術情報を集めたインターネット上のWebサイトです。
たいていの支援機器が当サイトで見つけることができ、またカテゴリ別に分類された各製品のページからその販売元の連絡先をたどることができたりする。
その他、『私はこうして使っています』というコーナーがあり、障害を持つネットワーカーたちの生の声が10数人、紹介されている。
何か支援機器を探している場合は、まずこのサイトをのぞいて検索してみる価値あり。
この事業は、視覚または上肢に重度の障害のあるかたが、パソコンを使用するために必要となる入出力サポート機器及びソフト等の購入に要する費用の一部を助成することにより、障害者の社会参加を促進することを目的とした支援事業。
助成の品目として、視覚障害者用ワープロソフト(入力文字を音声化するソフト)や、上肢不自由者ではジョイスティックなどの入力サポ ート機器などが対象となります。
《対象者》 視覚障害1級もしくは2級または上肢不自由1級もしくは2級の身体障害者手帳を所持されており周辺機器等を使用しなければ情報機器の操作が困難と認められる方(所得制限があります)。
《助成額》 周辺機器等の購入に直接要した費用の2/3以内とします。ただし10万円を限度とします。
《申請の窓口》 お住いの地域の保健福祉センター
上述は、大阪市健康福祉局のホームページから引用。この事業は国と都道府県または政令指定都市の事業だったのが、市町村の裁量に任されることになる。そうすると今後、市町村によっては実質、この事業がなくなってしまうところも出てくると思われる。(文責:鳥屋)
桜井 龍一郎
桜井龍一郎です。受傷レベルはC4,5です。腕を曲げることはできるが、伸ばすことはできず、手首はほぼ動かないと言えば、頸損の方には大体の身体状況を想像してもらえるのではないでしょうか。つまり、指は動かず、両手を同時にキーボードの上に持ってくることはできません。このような身体状況ですが、周辺機器や設定を工夫することで、パソコンの操作にはほぼ支障はありません。これについては別のページで紹介があるかと思います。
とあるご縁がきっかけで、十数年前から在宅勤務をしていまして、平日日中は大体パソコンで作業しています。基本的に月曜から金曜の午前10時から午後5時までの勤務ですが、介助の都合で午後から開始したり、逆に夜まで作業したりと、日によってかなり変動があります。こちらの都合での勤務時間の融通が利く点は助かってます。
会社はビデオタイトル作成や映像機材レンタルを行っており、私の主な業務内容は、社内のホームページやCGIコンテンツの作成、ビデオで使用する画像の作成、経理などの事務です。
インターネットを介して、Web関連ではこちらで作成したコンテンツを直接アップロードしたり、事務処理では必要なデータを会社から送ってもらい、作業後またデータを送ったりすることで、自宅からでも多くのことが支障なく作業できています。最近では電話の代わりにSkype(パソコンで利用できるテレビ電話)を利用して会社とやり取りすることも増えてきました。
私の身体状況で、大阪にある会社まで連日通勤することはまず無理なので、在宅勤務形態は私にとって、また多くの頸損者にとっても有効かと思います。
また、頸損連関連では、大阪・兵庫のホームページ、メールの管理を担当しています。ホームページでは頸損だより、事務局通信の掲載、行事案内や行事報告、行事出欠確認CGIの運用や、役員会用ホームページの管理など、メールでは会のメールアドレスに届いたメールの会員用、役員用メーリングリストへの紹介などを主に行っています。兵庫のホームページで、掲示板への広告の書き込みが後を絶たないのが、目下のところの悩みの種です。早くこちらの掲示板も書き込み制限機能の付いたものに替えなければ。
なお、これらの作業も仕事同様、自宅からの操作だけで全て可能です。
仕事など以外でも、ニュースを読んでテレビや新聞代わりに使ったり、検索サイトで調べ物をしたり、地図サイトで場所を確認したりと、私の生活には今やパソコンはなくてはならないものになっています。工夫次第で使い方の可能性はいくらでも広がるので、皆さんも利用してみてはいかがでしょうか。
吉田 憲司
こんにちは、大阪頸損連絡会のメーリングリストの管理人をさせてもらっている吉田です。最近、遅ればせながらeラーニング始めました。 「Access講座」
http://www.max.hi-ho.ne.jp/access-ob/
今更?とか言われそうですが……ここに来るまでいろいろあったんです。インターネットに初めて出会ったのはWindows 3.1の時ですが、実際に活用できる環境が整ったのはここ3年ほどの話なんです。
eラーニングそのものにはかなり前から興味ありましたがちょっと自信がなかったんです。特にメールでのコミニュケーションができるかどうか、量的に日本語の入力に問題がありました。キーボードはうまく使えないのでマウスエミュレーターと呼ばれる画面上に表れた文字盤を一文字一文字クリックするといった方法で文章を書くわけですがこれだとうまくいっても1時間で200〜300文字程度が限界です。誰かにメールを書いたとするなら2日、3日の作業はざらでした。一度暇があったらやってみてください。本当に嫌気がしますから。そんな感じでしたから課題をこなすどころか返信のメールを書くのにも大変だったわけでインターネットを通じての友人作りとか交流とかは無理だろうと思っていました。
転機はたまたま人に勧められた音声入力。それ以前にも試したことがありましたがインストール後のトレーニングすらクリアできずに投げた経験がありました。ですからまるで期待はしていなかったのですがどうしてもと勧められるので試してみると……脈アリ。人工呼吸器から送り込まれてくる呼吸に合わせてひと呼吸の発声で5、6文字程度ですが入力が可能でした。使えるじゃん♪ そうとわかると徹底的に調整して音声入力の場合だと400字詰めの原稿用紙1枚なら10分程度で埋められることがわかりました。
これでメールでのやりとりも'急いで返信しないといけない'というプレッシャーを感じることなくなりましたし、また、いろいろ試す過程でPCでメッセンジャーを使って送った声はかなり聞こえることが分かりました。電話は使えないだろうと思っていたのですがマイクを換えてPCでノイズとってやればIP電話での通話もどうやらできそうなのです。
独学するには1人でどのようにして本を読むか、これも頭が痛い問題でした。以前に知り合いの方に「どうしても急ぐから」、と参考書4冊をフラットスキャナで読み込んでもらったことがありましたがまる2日かかったそうです。とっても申し訳ない気がしましたが頼まれた方は本当に堪らなかったでしょうね。気軽に本を読むための環境を整えることも受傷して以来の悲願でした。
「読む」の延長なんですが本を読むのもちょっとしんどいしなかなか読書の時間も難しいというぜいたくな悩みも出てきました。でも問題は問題なのでなんとかならないかとよる試してみたところ次のような使い方が出てきました。
スキャナで読み込んだ画像データからテキストデータを掘り起こし音声データに換えると標準的な文庫本1冊でざっと5時間程度の音声ファイルができあがります。夜寝る前とか休憩の時にMP 3プレーヤーで聞いています。まったくもって回りくどいやり方を、と思われるかもしれませんがここまでしなくてはPCを健常者に近いレベルで扱えないのです。それでもAccess講座を受けられるようになったのはステップアップした1つの結果なのです。
えっ、データベースなんか勉強してどうするかって?決まってるじゃないですか、Excelと組み合わせて株の時代売買システムを組んで投資事業会社を立ち上げるですよ!(爆)まあ冗談はそのくらいにしておいて……。
これまでもいろいろと試してきましたがやっぱりPCはお金がかかります。そして買ってみても思うように使えなかったというものも少なくありません。おかげで毎月の小遣いはPCと本に消える有り様です。
機器の情報はもちろんですが以下のような助成金も使える場合もありますので障害福祉課に相談というアナログな方法に立ち返るのもIT時代のうまい活用法ではないでしょうか。
・日常生活用具給付事業「パソコン」
・バリアフリー化支援事業の給付金
受傷してから13年間、障害福祉は後退していますがITや医療、ロボットなどの先端技術は驚異のスピードで進化を続けています。近々、視点入力ユニットが発売されるそうですしロボットスーツのHALも実用間近と聞いています。社会を見る視点や生活そのものがガラリと変わるぐらいの商品も出てくるでしょう。まだまだ可能性は広がりますね。