頸損だより2007夏(No.102) 2007年6月23日発送

巻頭言

「未来に希望を持てるように」

〜政治の質はその国民の民度以上にはならない〜

松崎有己

単なる偶然かもしれませんが、今、夏の参議院選挙を前にして、談合や癒着、年金問題など、政府や行政に対して不信感を持たざるを得ない様々な事件が明るみになっています。  信頼できないしかし信用するしかない私たち国民は、この現実をどのように受け止めたらよいのでしょうか?

現在この国の向かっている方向は、とりわけ私たち障害者にとってはより過酷なものです。問題だらけの自立支援法の成立によって、悔しい思いをされている方も多いと思います。私たちは決して贅沢なくらしがしたいわけではないのです。ただ誰にも気兼ねなく、また余計に費用を支払う必要もなく、いつでも自由に外出し、用を足したい時に用を足し、好きな時間に入浴することができるという、本来誰もが当たり前におくることのできる生活を望んでいるに過ぎないのです。このようなささやかな望みさえ絶たれてしまい、本来あるべき姿を、ただあきらめるか我慢するかなく苦しむ仲間の声を聞くたびに、とても悲しい気持ちになります。そして自分自身が仲間に対して何ができるのかを考えたとき、私にはただ話を聞くことくらいしかできません。あまりにも無力です。

では、どうしたらよいのでしょうか?残念なことですが、私はもう現在の政治家や官僚に対して期待するのはやめようと思っています。そして代わりに、これからの日本を作っていく存在である「子供たち」にこの国の未来を託そうと考えています。もちろん学校教育も例外なく問題だらけです。だからこそ、障害者である自分にしかできないことがあるはずです。最近、学校訪問や作業所に来る中学生と交流する機会が増え、その中で少しずつですがそれが実行できつつあります。ひとつひとつの出会いを大切にし、できるだけ彼らの目線でメッセージを送り続けられるようになりたいと思います。

皆さんも「あなたにだからこそできること」がきっとあるはずです。小さなことでいいんです。暗いニュースばかりのこの世の中を嘆くばかりではなく、この国の未来に少しでも希望を持てるような何かを始めてみませんか?


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