去る10月13日(土)にニチイ学館神戸ポートアイランドセンターにおいて、日本福祉のまちづくり学会関西支部・第29回関西セミナー「神戸ユニバーサルツーリズム−みんな遊びにでかけよう!−」が開催されました。セミナー内容は障害があっても安心して旅行を楽しめるサービスやシステムが整えば、もっと自由に旅行を楽しめるはずであるという観点から、安心して旅行を楽しめるシステムや様々な観光における取り組みの紹介、そして兵庫が誇るべき観光地「港町・神戸」に多くの観光客を迎えるには今後どのような取り組みが必要なのか?を参加者とともに考えていくというものでした。
その中でも「神戸ユニバーサルガイド」なるツアーをお二人の障害当事者に体験してもらい、その体験報告をセミナーで発表してもらうという面白い企画があり、実際に我々頸損連絡会の仲間が体験されました。
今回はツアーを体験されたお二人の方に貴重な体験報告をしていただきます。
私が日本福祉のまちづくり学会関西支部主催「第29回関西セミナー」の企画である今回の神戸旅行に参加したのは全国頚髄損傷者連絡会兵庫支部ならびに大阪支部メーリングリスト(以下、ML)の中でのML会員への呼びかけがキッカケでした。貴重な体験ができるセミナーに東京都在住の中さんと一緒に人選して頂いたことに大変感謝しております。このセミナーは日頃旅行になかなか出かけられない重度障害者の方に神戸までの旅を体験し、そのなかでの様々なサポート体制について、また、観光地や町並みを散策して感じられたこと、ホテル滞在で感じられたこと、交通アクセスで感じられたこと、その他何でも良いから、このセミナーに対して、神戸市に対して、パネリストに対して報告・意見を出して欲しいと言う企画でした。ユニバーサルデザインと福祉のまちづくりの研究会と言っても過言ではないでしょう。
神戸ユニバーサルツーリズム「みんな遊びにでかけよう!」は、このセミナーで基調講演をされましたNPO法人ウィズアス代表の鞍本さんが中心になって展開されている活動です。様々な活動を展開されているなかでも、ユニバーサルツーリズムは一つの事業として、全国でもまれで画期的なシステムだと思いました。このシステムは障害をもった人・高齢の人・その他誰でもが活用できます。人と人とがつながりをもち、そこから温かさ・優しさ・幸せを感じられる、他の旅行会社では味わえない付加価値をつけたユニバーサルツーリズムを体感してもらうということで、「誰にでも優しいまちづくり」に大きく貢献されているのです。コーディネーターがその人の希望に沿った、障害程度区分に合わせた内容で旅の手配をしてくれるから、重度の障害があっても知らない街を一人で旅することができるシステムです。
この素晴らしいユニバーサルツーリズムのシステムがあることで、一人で旅行することも可能になりました。二人や三人がかりで旅行していた障害者等も一人で旅することが可能になったのですね。受け入れ態勢が十分かどうかは一重にこの旅行をコーディネートする方の手腕にも関わってきます。私の2泊3日の神戸旅行もWING KOBEのシステムとそれに携わった人達の熱意・温もりが楽しい旅行にされてくれました。本当に有難うございました。神戸に限らずこのような素晴らしいユニバーサルツーリズムのシステムと人材が全国各地に誕生することを切に願っています。
私の神戸旅行の3日間を皆様に紹介します。この旅行ではハプニングも3回ありましたが、それは決してサポート体制やシステム等ではありません。その事に関しても、追々ご説明させて頂きます。
先ず、我が家から大分空港までリフトタクシーで向かいました。高速道路を利用して約1時間ほどの距離です。大分県は交通アクセスが悪いためにリフトタクシーに頼るしか手段がありません。高速バスやホーバークラフト(船)がありますが、車椅子で乗ることは厳しいです。軽なので少々乗り心地は良くありませんでしたが、新車で運転手さんも慣れた方で安心して空港に無事着きました。以前から航空会社はANAが好きで、今回も近くの旅行会社で往復ANAを手配購入していました。搭乗手続きに入ると、ここで1回目のハプニングに遭いました。「お客様でこの便に搭乗されるのが9人目となりました」「当便の障害者受け入れは8人までとなっておりますから搭乗することができません」とのこと。幸先悪い旅の始まりです。「その便の客席数・搭乗する客室乗務員数によるもので、この便が8人までとなっておりますから搭乗は不可能です」とANAがいとも簡単に告知してきたから、こちらとしても怒りが治まらない状態となりました。伊丹空港での約束時間に遅れるので、果たしてどうしたら良いものなのか?一瞬パニックとなってしまいました。旅行会社のいい加減な販売体制とANAのいい加減なシステムのお陰で出鼻を挫かれてしまいました。急遽、JAL便に変更しましたが、サポート体制に不備があり、大分空港と伊丹空港合わせて30分ほどのロスタイムが出てしまいました。ANAの今までのイメージは何処かへ飛んでいきました。行きにあまり文句を言っても折角の旅行が台無しですから、帰りにANAと旅行会社に対して謝罪して頂くように考えました。前途多難な旅なのか?不安が過ぎりましたが、伊丹空港で温かく出迎えてくれましたコーディネーター兼ヘルパーの野見さんとカメラマン(二人とも女性)にお会いし、今まで曇っていた表情も一変にその時の天気と同じ様に晴々としました。伊丹空港の搭乗ロビー建物に車椅子トイレがないことに対しても些かショックでした。大きな空港なのに建物が古いからなのかな?それでも後付でも良いから改築して欲しいものですね。
近畿タクシーのリフトで出迎えていただき、ロスもあったせいか急いで予定の場所に向けて高速を走らせました。いよいよユニバーサルガイドが始まったと実感しました。到着までは、野見さんとの打合せと同時にカメラが終始回っていました。
第一の観光地、王子動物園に到着してから第二弾の出迎えを受けました。今回のセミナーのコーディネーターの神戸芸術工科大学教授で関西セミナーの副支部長であられる相良先生と神戸市役所ユニバーサルデザイン都市推進係長の今井さん、WING KOBEのコンシェルジュの坂田さんとスタッフの方達に温かく出迎えて頂きました。早速、園内を見学することになり、コンシェルジュの案内で象・パンダ・コアラ・亀を見て終わりました。久々に身近で動物を見ることができてとっても癒されました。ここで気づいた点は、象の周りが舗装されていなく、車椅子一人で見ることは困難だと思いました。せめて車椅子が行き来できる範囲でも良いから舗装されるとよいでしょう。パンダの係員は障害者や高齢の見学者がいた場合は説明しなから優先的に前に誘導する位の配慮があっても良いのではないだろうかと思いました。あとは、グレーチング(溝の金網)の隙間が広くて、少し怖い思いをしました。電動車椅子だと大丈夫なのですが、手動車椅子だとキャスターがはまり込んで転倒の原因になってしまいます。ここは、ガイドヘルパーの介助技術が試される箇所ですね。出来れば隙間の細かいものに変えられると良いでしょう。現在は動物園離れが多いなか、この王子動物園は子供達の遠足で賑わっている光景を見て、大変微笑ましく思いました。動物たちを見て何かを感じて欲しいものだなと思いました。時間的に全部見るのは厳しく短めで終わり、インタビューを受けて、次の目的地であるハーバーランドのモザイクへ向かいました。
神戸市の場合、全部とは言えませんが、歩道が良く整備されているなと思いました。他府県と比較しての感想ですが、車道と歩道の段差が緩くしてある優しい配慮に関心しました。が、欲を言えばもう少し緩やかにも出来るなとも思った次第です。何気ない小さな配慮で多くの市民が安心して暮らすことができるから、こういった街づくりは行政・企業・学生・一般・障害者団体等がネットワークを組み、疑似体験してみて、その人達(重度の方)の気持ちになって、初めてユニバーサルな都市が出来ることでしょう。
疑似体験は、車椅子に乗り一人で様々な箇所(グレーチング・段差・スロープ・砂利道・整備されていない歩道・食事・買物・公共交通機関の乗物など)を、また、視覚・聴覚・片麻痺の各障害者・高齢者に変装をして街を散策して、当事者の気持ちを少しでも理解して頂き、まちづくりに取り組んで欲しいものですね。
次の目的地のハーバーランドへ到着して昼食を摂りました。車椅子でも自由に動けるレジャーランドであり、レストラン・ショッピング・クルージング・遊園地などが集中し、とっても賑わっていました。食事は、神戸だとやはり神戸牛と思い、皆さんでステーキ屋さんに入り美味しく頂きました。こんなに贅沢しても良いのでしょうか?食事を終えた後はトイレ休憩し、次の目的地へ移動しました。クルージングです。
モザイク発着の大きな観光船(コンチェルト)に乗船し、明石大橋まで1時間30分のティークルージング(15:00〜16:30)を楽しみました。乗船下船の際は男性の乗務員の方4人で介助して頂けます。団体の場合は大きなスロープを準備して頂けます。トイレは入りづらいので乗船前に済ませておくと安心できます。出迎えのフルート演奏と個室を用意して頂き、とても優雅な時間がとれ、大阪湾・関西空港・明石大橋・神戸市の端から端の街並み・六甲山を一望することが出来、感無量でした。つい震災の事を思い浮かべながら、良く生まれ変わったなと凄く逞しく感じとれました。障害者や高齢者が被災したときの状況や復帰迄の過程、今後のこと等をお伺いしたいものだなと思いました。コンチェルトを経営されている南部社長は次の日のパネリストでもあられる方で、お会いするのがとても楽しみでした。今度神戸にきたらディナー・クルージングに乗ってみようかな。その時には車椅子トイレが完備されていたら助かります。楽しみです。
下船後は東京の中さん一行と合流し、鞍本さん親子にお会いでき、何故かホットした気分でした。皆さんで写真撮影をして、再び別行動をとりました。
ホテルのチェックインを済ませて、休む間もなく、夕食のため南京町へ向かいました。10分位の距離で到着。南京町は良く整備されていて、美味しい中華料理が食べられました。これもガイドヘルパーとしての野見さんの良きアドバイスがあったからこそですね。
食事後、ホテルへ直行し、20時〜22時まで入浴介助として2人のヘルパー(男性)にお手伝いして頂きました。基本的な手順で安心して入浴することが出来、疲れもとれて就寝することができ、長い一日が終了しました。
入浴で気づいた点として、出入り口の間口が狭い事・洗体場所がない・手すりが少ない・非常ベルがない・洗面台が大きすぎる・タオルが高い位置にある・トイレの水が流しにくい等。シャワー椅子やボードを用意して頂いたことに関しては感謝したいです。いつも思うのですが、この部屋の設計に果たして重度の障害者が立ち会ったか疑問です。日本の建物・部屋は壁やドアが多すぎたり、間口が非常に狭かったりします。尺とインチの違いもあるのか?バリアフリーの言葉が要らないオープンな設計・施工をして頂きたい。ホテルに限らず、公共施設・道路・公共交通機関・お店・公園・駅・バス停等など、都市計画にあたりユニバーサルデザインを上手く取り入れて頂きたいものです。一番良い方法として、モデル区orモデル町を造り、エリアを拡大していくと一人でも多くの市民に浸透しやすいでしょう。リーダーがリーダーを育成し、ネットワークが拡大していきますから、セミナーの回数を増やし、理解ある法人や学生や一般市民を増やしていく事ですね。
二日目は、セミナー開催地まで公共交通機関を利用して移動しました。地下鉄とポートライナーを乗り継いで、第一目的地の花鳥園へ向かいました。何故かホームと乗物に段差があるのに何時も何処でも憤りを感じています。何故、ホームの高さ・乗物の乗降口の高さや間口が一定(全国的・全企業・全駅)に出来ないものでしょうか?法律や条例ができ、人が変わり、初めてソフトとハードがひとつになり、ユニバーサルデザインが展開されることでしょう。バスもタクシーも基準を一つに出来ないものでしょうか?ポートライナーでは係員が簡易スロープでテキパキと介助してくださいました。
花鳥園は本日のパネリストであられます加茂社長が経営する社会福祉性の高い都市型空間で、花・鳥・魚・人が融合し、安らぎと癒しを提供しています。まず、ここで関心した点は社長が福祉に非常に関心を持たれている事でした。来客者用にかなりの数の車椅子を設置され、エレベーターも車椅子トイレも完備されてます。扉以外はすべてバリアフリーだったので頚損者にとっては居心地がよい場所でした。気温が26℃ほどで、中さんも言っていましたが、快適でした。花も鳥も魚もすべてが珍しいものばかりで、また訪れてみたい観光地です。花に囲まれてのセミナー打合せと昼食はまるで映画のロケ地を思わせるかの様に素晴らしいものでした。多くのお客さんで賑わっていました。フクロウや他の鳥を見た後はセミナー会場へ。
ニチイ学館ポートアイランドセンター大会議室に於いて、「日本福祉のまちづくり学会関西支部第29回関西セミナー」が開催されました。先ずは、基調講演としてNPO法人ウィズアス代表の鞍本さんが行い、その後にユニバーサルガイド体験報告として、東京の中さんと大分の末永が行ないました。休憩後、パネルディスカッションがありました。パネリストとして鞍本代表・花鳥園の加茂社長・神戸クルーザーの南部社長・兵庫頚髄損傷者連絡会事務局長の宮野さん、そして司会としてコーディネーターの相良教授が進行され、定刻の17:00を30分ほど経過したところで終了しました。短いながらも非常に実りのあるセミナーが開催されたことで大変勉強になりました。欲を言えばもう少し時間が欲しい気もしましたが、この心残りは今回名刺交換させて頂いた方々と今後も何らかの形で情報交換しながら、一緒にユニバーサルデザインを取り入れたまちづくりを展開してゆきたいと思っています。個人的なハプニングがこの後に二つありましたが、詳細は控えさせて頂きます。
震災後に神戸市は生まれ変わった様に、皆が被害に遭って皆で助け合いました。日本で本格的にボランティア活動が始まったのも、この震災後であります。私も昨年、NPO法人を設立し、ボランティア活動しています。市民の思いが一つにあるかの様に、神戸市が全国のモデル的リーダー的存在として位置づけしていただき、頑張って貰いたいものです。
2日目の夕食は、ハーバーランドのモザイクで食べ、その後に六甲山頂の展望台へ登りました。天候が良かったせいか最高のロケーションとなり、和歌山県・大阪府・兵庫県の神戸から東がとても眩いくらいに輝いていました。1000万ドルの夜景が脳裏に焼付いています。とても寒い夜でしたが、今回は山から海から陸から神戸市を眺めることが出来、最高の神戸旅行が出来ました。3日目はもう一つ欲張って、生田神社へ参拝して帰路、大分へ直行しました。神社は、スロープと溝にグレーチングがあると良いでしょうね。あと欲を言って、車椅子トイレ&車椅子駐車場があると、ゆっくりと参拝できる事でしょう。
誰でもトイレは、ネーミング的に優しい印象を与えて良いですね。ただ、モラルの悪い日本人がどういった使用方法をするかが問題です。ほんの一部の人達が常識離れの使用をするために、このトイレしか使えない人達が困っているのが実情です。優しさが反対に冷たい福祉社会を生み出していることもあります。車椅子駐車場もかなりモラルが悪い結果を齎しています。建物に近く、広く、使い易すく、いつも空いている。誰でもが使い易い駐車場であるが、ここしか使えない車椅子の方にとっては空いていないと非常に過酷なことでもあります。本当に必要な方(障害者・高齢者・妊婦さん・怪我人など)のことを考えることなく、自己中心でしか考えていない道徳に欠けている愚かな方が多いことに憤りを感じます。佐賀県が県下全域で進めているパーキングパーメットを導入すると良いかも知れません。私たちも前向きに考えています。千葉県で条例が制定されましたし、障害者差別禁止法も前向きに考えています。車椅子ステッカー・障害者運転ステッカーが市販で簡単に手に入ることも非常に問題なことです。悪用されているマナーの悪い方が多いことに対して怒りしか出ません。日本は、非常に病んでいます。
今回の神戸旅行で大変お世話いただいた関西セミナースタッフの皆様・神戸市役所・NPO法人ウィズアスの皆様・神戸学院大学の糟谷先生・コーディネーターの相良教授・パネリストの皆様、本当に有難うございました。
兵庫頚髄損傷者連絡会の宮野さんとは、今度大分で再会することを約束し、神戸をあとにしました。ユニバーサルデザインでまちが変わり、人が変わり、福祉が変わることを願っています。
はじめまして。
私は東京頸損連絡会に一応所属しております、中順也(なかじゅんや)と申します。先日、兵庫県神戸市後援、日本福祉のまちづくり学会関西支部主催《第29回福祉のまちづくり関西セミナー》テーマ「神戸ユニバーサルツーリズム、みんな遊びにでかけよう!」という催しに東京から一人で参加してきました。そこで色々と面白い経験をして、その体験記を書きましたので少々お付き合い下さい。
本文に入る前にちょっと自己紹介です。私は1988年16歳の時ラグビーの試合中に受傷し(C3,4)、左腕だけ腕の曲げ伸ばしができるので、普段は自助具を使って車椅子の操作と食事をし、テーブルの上の細かい動作(パソコン、携帯電話、リモコン、本のページめくりなど)はマウススティックで行うケーソンです。車椅子は自分の身体に合わせて作ったティルティングの付いた車椅子にアイシン精機のタオライト2(電動パワーユニット)を装備したもので行動しております。ちょこちょことあちこち旅をしているので「流浪のケーソン」などと呼ばれています。(ウソです)
日本福祉のまちづくり学会は、すべての人が安心して暮らすことのできる街、住まい、交通、くらしについて、法律や社会福祉などと工学などあらゆる分野が結集し、さまざまな「福祉のまちづくり」について研究・開発していくことを目指して、平成9年7月設立されました。(日本福祉のまちづくり学会関西支部サイトより。)
まず何故私がそのセミナーに参加することになったかと言うと、9月の中頃、兵庫県頸髄損傷者連絡会の金髪名物事務局長であり、私と会えば兄弟と呼び合う宮野秀樹氏より、今度10月13日(土)に神戸であるセミナーが開催されるので、前日の12日に神戸の町を観光してもらい、13日にその体験を皆の前で話してほしい、すべて「ご招待」やで、と言う電話があったのです。思わぬ誘いに即「OK」の返事をしたかったのですが、私は泊まりで一緒に行ってくれる介助者というものが皆無に近く、どうしたものかと悩んでいると、「神戸まで来ればユニバーサルツーリズムコンシェルジュ神戸事務局「WING KOBE」という障害者・高齢者の神戸の旅をサポートする人達がやってくれるで」と言うのでした。しかし神戸まで来ればと言われても、どうやって神戸まで行くねん、と悩み多き三十五歳が数日間考えた結果、「東京駅まで行ければ新幹線で新神戸駅まで乗り換え無しで3時間。向こうでは介助者も用意してくれると言っているし、しゃあない一人で行くか」という結論に至り、参加することに決めたのでした。
10月初めから「WING KOBE」の方たちや神戸学院大学総合リハビリテーション学部の糟谷さんと電話やメールで打ち合わせをし、日程は10月12日(金)〜14(日)の2泊3日で行くことに決定。なぜ13日に終わるのに14日までいるのかというと、せっかく兵庫まで行くし宮野氏もパネリストとして参加するというので、常々兵庫の秘境に独りで住むケーソンがどんな生活をしているのか興味があったのと、何か怪しいことをやっているのではないかという噂もあり、それを確かめるのにいい機会だったので、図々しくもセミナー後宮野氏の車に便乗し、宮野宅へ泊めてもらうことにしたからなのでした。
12日(金)、朝6時30分自宅を出てタクシーで東京駅へ。8時10分、新幹線の個室に乗り込む。室内で聞くためケータイに音楽やラジオを目一杯録音してきたもののスピーカーだと全く聞こえず3時間何もする事が無くなる…。11時5分新神戸駅に無事到着。美人の乗務員に連れられ改札に着くと、「WING KOBE」の皆さんや福祉のまちづくり学会の方々、総勢8人(位)が出迎えてくれました。いやはや恥ずかしいではありませんか。安堵と緊張で引きつった笑顔で挨拶をすませ、新神戸駅向かいの新神戸オリエンタルアベニュー内のカフェで一服。時間もないのでそこから早速観光へ出発、地下鉄に乗り三ノ宮センター街へ。
総合案内は「WING KOBE」コンシェルジュの紗綾さんが担当、町の説明からエレベーターやトイレの場所まで事細かく案内をしてくれる。ちなみに電動車椅子の方なので目線とペースが一緒で非常に行動しやすい。三ノ宮センター街は、私の興味を引きそうなものが無くただ通り過ぎていくだけでしたが、その間も細かくセンター街の事を説明してくれていました。そのまま南京町へ行き昼食(しかし、しっかり食べておかなかったため後で血糖値が下がりヘロヘロになる)、食後中国物(中国風?)の雑貨店へ。雑貨好きの私にはたまらない店ばかり。そこから旧居留地を通りメリケンパークへ。しかし、感じたのは神戸の町は道路から歩道に上がる時や降りる時の段差が殆ど無く、後日調べてみると神戸市は『神戸市バリアフリー道路整備マニュアル』というのがあり、高齢者や身体障害者の利用の多い場所の歩道の幅、歩道の勾配、横断歩道部には0〜2cmのすり付け縁石を採用する、など道路整備基準というものがあるそうで(神戸市建設局道路部のサイトより)、どおりで歩道は車椅子二台が並んで走れるくらい広いし、私のパワーの無い電動車椅子でも移動しやすい筈だと、一人感心した次第でありました。メリケンパークでは震災の写真や紗綾さんなどから当時の様子を聞く。なんともいたたまれなくなる。それからすぐ隣にある本日の宿、ホテルオークラ神戸で休憩。ホテルオークラ神戸はなんとあの藤原紀香と陣内智則という人達(正直よく知らない)が結婚式を挙げたとこだそうだ。私の部屋は22階の港全体を見渡せる素晴らしく景色の良いバリアフリールームで、ベッドは電動の背上げ機能が付いている。国内外のバリアフリールームをいくつか利用してきたけれど、これは初めてで、非常に助かりました。
休憩後、神戸ポートタワーの下を通り、神戸ハーバーランドの海際に広がる複合商業パーク、モザイクへ。そこで紗綾さんと別れ、残った人達で煉瓦倉庫レストランへ。5時30分頃ちょっと早い夕食。食後ホテルへ戻り皆さんと別れ、介助者の交代。それまでの介助の方が私の介助の仕方を次の方に抜かりなく説明してくれて、すごく助かりました。交代した介助のHさんと坊主頭同士で肩を組み、暫く港の夜景を眺めた後(ウソです)、ホテルの人に手伝ってもらい、ベッドへ移乗、就寝。
13日(土)いよいよセミナーの日です、9時30分朝食を済ませチェックアウト、ロビーで介助の交代、セミナーの行われるニチイ学館ポートアイランドセンターへ。ニチイ学館へはホテルから少し移動し地下鉄に乗って三宮駅へ行き、ポートライナーに乗り換え「ポートアイランドみなみ駅」で降りると直ぐのところにあります。そこへ行く前に、すぐ隣にある神戸花鳥園に寄り、見学会及び昼食です。神戸花鳥園とは、まさに花と鳥(特にフクロウが沢山)のパラダイスで、子供から高齢者から障害者から、とにかくみんなで楽しめるところです。花に囲まれ鳥と戯れ、いやはやなんとも癒されます。
その後、ニチイ学館へ行き、13時30分シンポジウムがスタートしました。初めに「WING KOBE」代表の鞍本長利さんの基調講演、次に私と大分県から参加されたケーソンの末永さんと一人ずつ体験報告、時間も10分間とたっぷり。準備が大変だったこと、昨日訪れた場所のこと、旅行で支援費が使えるようにならないか等々、話すことを決め皆の前へ。10分後、殆ど何もしゃべれないまま席に戻る…。関係者の皆様、役立たずですみませんm(_ _)m
その後、パネルディスカッション、宮野氏をはじめパネリストの方々が今後の福祉のまちづくりについて熱い議論を交わす中、私は早くこの場から立ち去りたいとセミナーが終わるのをひたすら待つのみでした。セミナーが終わり、関係者の方々の顔をなるべく見ないように挨拶をすませ、そそくさと宮野氏の車へ。助手席に乗り移してもらい、見送ってくれた方々に「すみません、すみません」と心の中でつぶやき、宮野宅へ向かいました。
今回の旅の感想ですが、神戸の町もきれいで車椅子でも移動しやすく素晴らしかったのですが、何よりも「WING KOBE」はじめ福祉のまちづくり学会関西支部の方々の明るくあたたかい人柄にふれられ、いやはやなんとも忘れられない素晴らしい経験をさせて頂きました。また、もし神戸に行ってみたいけど、介助者もいないしちょっと…、と思っている方は「WING KOBE」の方にぜひ相談だけでもしてみて下さい。きっとやさしく相談に乗ってくれます。細かいことは上記の<参考情報>に記したサイトをご覧下さい。
ではでは以上、「神戸一人旅」中順也でした。宮野宅訪問記「兵庫の秘境に暮らすケーソンは実在した!」の話も書きたかったのですが、都合上、割愛させて頂きます。