頸損だより2008春(No.105) 2008年3月22日発送

『無年金障害者の訴訟報告と予定、活動について No.34』

学生無年金障害者大阪地裁訴訟原告 谷川信之

2001年7月、全国9地裁で30名(のち1名は取り下げ)が原告となって一斉に提訴した学生無年金障害者裁判は、3地裁で勝訴、20歳前に初診日があったとする勝訴を含めると29名中13名の救済が認められるという大きな成果を得ました。

しかし、高裁段階では敗訴が相次ぎ、控訴審では大阪訴訟原告団が最後となりました。その結審を10月18日に迎えようとしていた矢先の9月28日に東京・新潟(最高裁第二小法廷)の、10月8日に広島(最高裁第三小法廷)の原告たちへの「全面敗訴判決」という信じられないような事態が起こりました。別々の小法廷なのに、判決文はほとんどコピーであり、国側の主張を鵜呑みにしたお粗末きわまりないものです。

最高裁の裁判官には、内閣府出身や元社会保険庁長官の方もおり、真の国民側にたった真摯な判断ができないのではと疑義をもたらざるをえません。

原告・弁護団・支援者は正直ショックであり怒り心頭の様です。でも諦めるわけにはいきません。最後まで正論を真正面から打ち出して検討させ、少しでも展望を開きたいと思っています。

この6年にも亘る裁判中に亡くなられた2名の原告のためにも、障害者が安心して暮らせる年金制度、社会保障制度の確立が急務です。

10月18日の大阪高裁での裁判で、原告側の弁護団が「最高裁判決についての意見書の提出をするために結審を延ばしてほしい」と申し入れたところ、それが認められ、1月16日(水)の午後に結審の日が延び、原告2名の意見陳述と弁護士3名の意見が述べられました。

これは私たち原告側の意見を十分に聞こうとする裁判官の誠意ある態度の表れであると元気づけられています。もし、私たちの言い分が十分に忖度されるなら、勝訴も大いにありうるのではないかと、私たちは一縷の望みを持っています。

格差がますます拡がり、3人に1人が200万円以下の不安定労働者、国民年金保険料の実質納付率が5割を切るほど滞納・未納者が増え、空洞化した年金制度であり、無年金予備軍が増大している今、過去の無年金者の救済は年金制度改革にとっても重要な意味をもっています。

この訴訟での勝利を突破口にして、前進させたいものです。

障害者が人間らしく生きていくために、「年金」も「介護」も必要な時に必要なものを受けられるということが不可欠で、絶対条件であります。

そこで、4/25判決までに残された期間は短いですが、その間に出来る限りのことはやろうと決意し、団体・個人の要請ハガキなどを全国から大阪高裁の裁判官宛に集中して送ることにしました。

皆様のご協力をよろしくお願い致します。


≪学生無年金障害者大阪訴訟控訴審 判決≫

戻る