漸くダウンジャケットを脱げそうな3月末に、標題の原稿を求められても・・・と思っていたら、あっという間に梅雨。皆さんに読まれる頃には、いよいよ本格的な夏が到来。ジリジリと照りつける陽射しも日増しに強くなり、暑さは大の苦手の頸損には過酷な季節です。クーラーの効いた涼しい場所へ退散してしまうという方法もありますが、昨今のクールビズ流行と原油高騰のあおりで公共施設はあまりあてにできません。それどころか、審議会などに出席しても、エアコンがあまり効いていないので頸損にとっては過酷な会議になるようです。そこで、冬に続いて「涼しい夏のすごし方」で暇を潰してください。
まずはクーラーの効率的な使い方をご紹介します。しかも、電気代の節約にもなります。テーブル等の大きな家具の配置も見直して、冷気の流れをスムーズにすると冷房効果も微妙に違ってきます。冷房効果を高める工夫としておすすめしたいのが、扇風機の併用です。冷気は部屋の下の方に、暖かい空気は上の方にたまる性質があります。それを扇風機の風で効率良く循環させようというのです。扇風機を部屋の一角に設置し、首の角度を上方に向け、空気がうまく循環するようにすれば、部屋の冷えが一段と良くなり、体感温度もかなり違ってくるはずです。昼間にタンスなどを少し空けて冷やしておくと、夜になっても冷気の量が多い分涼しくなります。また、カーテンが「ある」と「ない」とでは部屋の冷え方は確実に違います。昼間でも夜でもクーラーを使用する時はカーテンをきっちりと閉めると効果的です。厚手の遮光カーテンや二重カーテンがあればさらによいでしょう。また、自動車のガラスに貼り付ける遮光シートが便利です。値段もそう高くはありませんので、特に陽当たりの厳しい窓の上側等に貼り付けておくと効果が期待できると思います。ベランダに花木をおいたり、洗濯物を昼に干して打ち水代わりに使うなどというのはいかがでしょう。風鈴やモビールで、耳、目で涼しさも感じられます。
昨今流行の快眠グッズも紹介しておきます。敷きパッド、シーツ、掛け布団などは感覚のない頸損には実感がないかも知れないけど、気分だけでも。枕も、冷感製品から冷やさないタイプのアイスノン(商品名「遊眠」)まで様々あります。アイスノンが冷えすぎる上に、夜半にぬるく気持ち悪くなるのが嫌な人にはお勧めです。
日焼け対策。暑いからといって安易に肌を露出すると日焼けします。頸損は代謝が遅いので、その日の夜半から翌日の夜当たりに日焼けの後遺症に苛まれます。外出時に日焼けを防ぐのは、夜を快適に過ごすために必要です。日焼け止めは、ジェルからミストタイプ、ウエットティッシュにしみ込ませた汗取りパット兼用のものまで様々です。しっとりからパウダーっぽいものまで触感も様々ですので、お気に入りのものをどうぞ。物理的に遮光するものとしては、腕カバー、スカーフ、帽子に取り付けるシェードなどいろいろとありますが、過信せず組み合わせて使うことをお薦めします。
とはいっても、やはり衣類でも冷感グッズが直接的で、人気が高いようです。ここ数年は、水に濡らして使うポリマー(高分子)を使用したものが増えています。このポリマーは水を含むと体積が一気に数十倍に膨らみ、ゆっくりと乾燥するので、気化熱による冷感効果が長持ちします。帽子、バンダナ、スカーフなど頭や頸の周辺に利用するものが中心で、しかもオシャレなものも多く、スポーツ量販店などで販売されています。直接肌に吹き付けるクールビズスプレーはメントールやミストを使っていて、虫除け効果のあるものも販売されていますので、アウトドアにも最適です。清涼感のあるクリームやジェルは、塗った部分がスースーして、涼しさを体感できます。また、保冷剤を利用したベストなどもありますが、頸損にはちょっと使いづらいかも。
さて、残るは「食」なんでしょうけど、これは皆様それぞれのすごし方にお譲りして、、、(と逃げる)。まあ、だまされたと思って、どれかひとつでもお試しください。