頸損だより2009夏(No.110) 2009年6月27日発送

みんなの情報ひろば

※このコーナーは、みなさんから寄せられた情報を紹介していきます。こんなんあるよ! とか、こんなん知ってる? という情報があれば事務局までお知らせ下さい。みなさんからの情報待ってます。okeison@yahoo.co.jp


その1
手ぶら拡声器「ギガホン」って?

 頸髄損傷で肺活量が少なく、大きな声が出せなくて、人混みや人との距離が少し離れた場での会話がなかなか難しいと感じられた方はいませんか? 手ぶら拡声器「ギガホン」は、ハンズフリーマイク・アンプ・スピーカーの全てを身体や車椅子などに装着できます。ハンズフリーで動く範囲が限定されません。(ワイヤレスマイクですと電波の届く範囲が限定されてしまいます) ちょっとした交流の場や、会議なんかの場でも手軽に使えると思います。

商品名:ギガホン
  有限会社南豆無線電機
  0588-222-446

雑踏でも会話ができる携帯拡声器、ギガホンを使ってみて

会員 吉田憲司

 私は人工呼吸器使用者で自発呼吸はできません。
 人工呼吸器が送り込んだ空気の一部を使って声を出すことができますが文節単位で話すのもやっと、そして声量も少ないものですから外出の際には外の様々な音に掻き消されてしまい、外ではなかなか会話が成立しませんでした。
 携帯拡声器のギガホンという商品があるということを知ったのは会のメーリングリストです。さらに詳しく知りたいと思いギガホンのサイト見てみるとデモ機の貸し出しがありましたので早速申し込んでみました。3日後に届いたら商品は大きすぎず、重すぎず車椅子にぶら下げても邪魔にならない大きさ。マイクを接続していろいろ話し掛けてみたりしました。いつものように力一杯、声を出さなくても部屋の端から端まで十分に話は伝わり、これがあれば外出して誰かと話すとしても楽と思いました。
 一生懸命話してもなかなか相手に聞き取ってもらえないということは結構辛いことです。正直、外で誰かと話すことも面倒に感じるようになってきていたのでそんな時にギガホンにめぐり合えたことは幸運でした。即、購入でした。
 このギガホンは日常生活用具として申請すれば、携帯用会話補助装置として、給付金(補助金)を受けられる場合があります。うちの場合、市役所に問い合わせたところ日常生活用具の”会話補助”という項目で申請し自己負担分は1割でした。他の市町村でもこれでいけるかどうか?聞いてみるとそこの市町村の障害福祉課に問い合わせてみないと何とも言えませんということでした。
 自分は声が小さくてなかなか会話の輪に入りにくい。でも声が届けば精神的な苦痛はあとかたもなく消えてしまう。そういうこともあるのだと教えられた一品です。

その2
声で家電を操作できる「ボイスキャン」って?

※この投稿文は神奈川頸損連の機関誌「葉話友」から引用させていただいてます

 音声認識のソフトウエアです。環境制御装置(学習リモコン)として使うには、“なんでもIR”(テクノツール社)が必要です。あらかじめ自分の声を登録することなく、セットアップすれば使えます。外部スイッチで作動させる場合は、“なんでもスイッチUSB”(テクノツール社)が必要です。
 IP電話を使ったSkype(スカイプ)での通話もできます。

商品名:ボイスキャン  http://www.tech-siro.co.jp/
 有限会社テックシロシステム Tel:082-241-2677

ボイスキャンを使ってみて

会員 大竹保行(広島県 頸損歴25年53歳 C4)

◆セットアップと費用
 私は台湾製のパソコンXP(ACER社、8.9インチ、54,800円)を買って、セットアップしました。基本のセッティングはテックシロシステム、赤外線信号や言葉の登録は近所の電気屋に任せました。電話のセッティイングはしていません。音声と外部スイッチで同時に動かせるようにしました。
 費用は、“ボイスキャン”(25,200円)、“なんでもIR”(22,050円)、“なんでもスイッチUSB”(27,090円)、高感度マイク(オーディオテクニカ社:9,240円)、およびセッティング料(約2万円)がかかりますが、これらは日常生活用具(情報通信支援 ※パソコンは対象外)から10万円(うち1万円は自己負担)が給付されました。ただし、市町村によってどこまで支給されるか、判断が分かれる場合がありますので、あらかじめ確認を取っておく必要があります。
◆実際に使ってみて
 音声で環境制御装置を動かすのは、周りの人に気を遣うと同時に、声を出すことに疲れます。例えばテレビを点ける場合は、「おんせいにんしきかいし」「てれび」「てれびつける」と発声します。マイクの近くで発声した方が認識は良いし、声を張り上げなくても済むのですが、会話中に誤作動する場合があります。特に数字の「いち」「に」「さん」……など短い言葉に反応します。機器の登録を多くすると、反応が鈍くなったり、誤作動を起こす確率が上がります。言葉が短くても長過ぎても認識が上手くいきません。
 会話中の誤作動を防ぐ対策として、時間が経てば音声認識モードをOFFするよう設定したり、言葉で「おんせいにんしきていし」と言うことで回避できます。
 また、初期画面のタイトル項目が、電話、テレビ、DVD、照明、エアコンの5個(写真参照)しかなく編集することができません。したがって、コンポはDVDの中に入れ、扇風機はエアコンの中に入れることになりますが、言葉選びに苦労します。タイトル項目が自分で自由に編集できるように改善しないと、このシステムの評価はできません。
◆まとめ
 この値段で、完成度の高い環境制御装置を望むのは無理なのでしょうか? 音声で機器を制御するには確実性に劣ります。このシステムをメインに生活を組み立てるのは危険でしょう。チャンネルを増やすなど補助的で気楽な活用をすれば、音声認識はなかなか面白いですよ。声でテレビなどの機器を動かすとみんなビックリしたり、関心したりするので偉くなったような気がします。
 外部スイッチで作動させれば確実性は上がりますが、それなりの機器が必要ですし、他の環境制御装置と比べると完成度は低いです。このシステムの将来は、テックシロシステム社がどれだけユーザーの声を聞いて改善するかということと、セッティングやアフターサービスを充実させるかに掛かっているように思います。
 ※パソコンのキーボードを押せる方は、“なんでもIR”だけで環境制御装置として使えます。これって値段の割に、結構すぐれ物なんですよ。


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