頸損だより2010夏(No.114) 2010年6月20日発送

ブレス・トゥ・ヴォイス -Breath to Voice-

− 「息」から「声」へ −     連載 第8回



2007年6月9日明石において“人工呼吸器使用者の自立生活を実現するために“という市民公開講座を兵庫頸損連絡会で開催した。市民公開講座の終了後、その実行委員会が立ち上げていたメーリングリストの愛称が、”ブレス・トゥ・ヴォイス“となった。人工呼吸器使用者や高位頸髓損傷者など最重度の四肢麻痺者の自立生活を考え話し合い、情報を提供し実現していくためのメーリングリスト。ブレス・トゥ・ヴォイス(Breath to Voice)とは、息をするのもままならなかった人達が、声を上げ、大きな運動のうねりをつくっていきたいという願いから名づけられた。この市民公開講座に参加した人工呼吸器を使用する仲間は、その後何をめざし、どんな行動を取っていってるのか。その後の動きを伝えていきます。

●頸損連絡会の人工呼吸器を使用するメンバー有志で、共通する課題や呼吸器当事者に有効な情報を自分たちで共有していこうと、情報交換&交流会を昨年2009年から始め、その第5回目の集まりを4月に開きました。今回はその内容をレポートします。

第5回人工呼吸器使用者情報交換&交流会レポート

大阪頸損連絡会 吉田憲司

こんにちは、吉田です。4月11日に5回目の交流会を行いました。

● 呼吸器メンバー情報交換&交流会4/11報告について
[西宮総福センター13時〜17時]
(1)参加者
・米田、井上、吉田、池田、神吉、鳥屋
(2)内容
・池田英樹さんの北海道旅行を撮った映画上映「映像のチカラ」5/2紹介(神吉)
・バクバクの会折田さん岸本さんの箕面での自立生活を報告書から紹介(鳥屋)
・ポムハウスのホームページ紹介(鳥屋)
・当集まり呼吸器メンバーの連絡網作成、グループのネーミング検討(米田)
・「もしも○○だったら、あなたはどうする」アンケートの、メンバーへの提案(米田)
・今後の生活、例えばグループホームについてどう思うか(米田)
・居宅介護の支給時間数拡大に向けての動き報告(米田)
・マイクを使ったコミュニケーションの紹介(吉田)
・マインドマップの紹介(吉田)
・災害時どうするか(井上)
・ヘルパー、ボランティアの人集めについて(井上)
・心理学の学校体験報告と今後に向けて(池田)

○次回 7月後半予定

今回は、人工呼吸器ユーザーとして誰もが抱えている”地域社会で生活していく事ができるのか?”という問題を中心に話が進みました。

頚損の人でも一人暮らしをするケースが増えているところを見ると自立のためのモデルというものができつつあるように思います。
しかし、人工呼吸器ユーザーではまだ聞いたことがない。
他にもグループホーム等の既存のモデルに自分たちを当てはめて考えてみても想像できません。

在宅という選択肢を完全に捨てるようなことは考えていないし収容所のようなところには間違っても入りたくない。
このような考えはごく自然な欲求なのでしょうか?

それとも財政問題を無視した贅沢なわがままなのでしょうか?

ショートステイすら受け入れ先のないような現状でどのような選択肢が人工呼吸器ユーザにはあるのでしょうか?
少なくとも”在宅”以外の選択肢を私は知りません。

「人工呼吸器 グループホーム」あたりのキーワードで検索してみましたがどうも思うようなものが見つからない。
どこでもいいから国内で1ヶ所くらいは見つかるのでは?
そんな期待もあったのですけど。
本当に一箇所もないの?

「人工呼吸器 一人暮らし」で調べてみるとALSの人が幾つかヒット。
人集めはボランティアや学生、知人への声かけ等、これで24時間介護を実現しているのか?
多少は自発呼吸があって人のいない時間があっても良いのか?
詳細はわからないところがありますがこれはこれで参考なります。

現状は厳しいようですがそれぞれのケースで、それなりに対応しているところはあるようなので希望はあるようです。
頚椎損傷向けのモデルなるようなケースがないか、今後も探していきます。

それにしても”人工呼吸器”で検索をかけると延命治療やら”終末期医療”等のネガティブなイメージの言葉もついてきます。
健常の状態からより遠い状態へ向かうようなイメージがつきまとっているような気がします。

何しても”人工呼吸器”というものが身近な存在ではない以上その響きに皆さん一歩引いてしまうのも仕方のないことなのかもしれません。

人工呼吸器を使っている人にとっては部屋の片隅に置いてある空気清浄機ぐらいに日常的なものにすぎないのですがもっと多くの人に健常の状態に近づくためのアイテムだということを知ってもらう必要があると思います。

気の重い話もありましたが、鳥屋さんが持ってきてくれたバクバクの会折田さん岸本さんの箕面での自立生活についての報告書は気持ちを明るくしてくれました。

事業としては一応3月で終わりとのことですのでしたのでそのあとのことが気がかりでしたが今後も自立生活は続けられるそうです。

人工呼吸器ユーザーは正直言って今後の展開が描けない袋小路に陥っている状態です。
シェアハウスという形態での新しい自立モデルでこう着状態に一石を投じてくれたくれました。
是非とも一度見学させてもらいたいです。

ポムハウスのホームページ
http://www.renkyo-kujira.org/index.html


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